【プロ野球】阪神の工藤!日ハムの工藤!西武の工藤!1980年代に活躍した3人の工藤投手

【プロ野球】阪神の工藤!日ハムの工藤!西武の工藤!1980年代に活躍した3人の工藤投手

"1980年代に活躍した工藤投手" といえば、今でこそ「工藤公康投手」を挙げる人がほとんどでしょうが、その当時には、パ・リーグで最多勝のタイトルを獲得した工藤投手、セ・リーグで21年ぶりの優勝に貢献した工藤投手もいました。今回は、そんな "3人の工藤投手" を振り返ります。


3人の工藤投手

今回ご紹介する、1980年代に活躍した "3人の工藤投手" とは、以下の3人です。

氏名 所属球団 プロ在籍年度 通算成績
工藤一彦 阪神 1975〜1990年 66勝63敗4S
工藤幹夫 日本ハム 1979〜1988年 30勝22敗0S
工藤公康 西武(後にダイエー、巨人、横浜) 1982〜2010年 224勝142敗3S

勝利数に差はあれど、いずれの投手も通算成績では勝ち越しています。



活躍した年度を見ると、1980年代の初めに活躍していたのは、阪神の工藤一彦投手日本ハムの工藤幹夫投手で、1980年代の途中にプロ入りしたのが西武の工藤公康投手でした。今でこそ "工藤投手" といえば、優勝請負人、200勝投手、日本一5回の名監督として名を馳せた工藤公康投手が思い浮かびますが、1980年代当時は工藤一彦投手、工藤幹夫投手の活躍も話題になりました。



では、年齢順(活躍年度順)に "3人の工藤投手" を振り返ります。

工藤一彦(阪神)

生年月日:1956年5月20日

出身県:茨城県

出身校:土浦日本大学高校

ドラフト:1974年 2位指名

プロ在籍年度:1975〜1990年

通算成績:66勝63敗4S 防御率4.04




工藤一彦は、土浦日大高時代は甲子園のエースとして活躍。3年時の1974年は、春夏いずれも2回戦まで進み、その年の茨城国体ではなんと優勝を果たしています。当時は、同学年の銚子商・土屋正勝、鹿児島実・定岡正二、横浜・永川英植らとともに「高校四天王」と呼ばれ、その年のドラフト会議をにぎわせました。工藤はドラフト2位指名を受け、阪神タイガースに入団します。



入団して最初の4年間は二軍生活が続き、初めて一軍で先発したのは4年目の1978年8月でした。翌1979年から先発ローテーションの一角を任されるようになり、1982年、1983年は二年連続で二桁勝利を記録。そして、あの "1985年" を迎えます。



この年は中継ぎでの登板が主でしたが、数少ない先発登板の一つが、あの "バックスクリーン3連発" があった4月17日の巨人戦でした。工藤は7回表まで登板し3失点を喰らいますが、その裏、バース、掛布、岡田の3連発で逆転。工藤も勝ち投手となり、21年ぶりのリーグ優勝に向けて勢いをつけた試合となりました。西武との日本シリーズでは第3戦に登板し、"西武の工藤&阪神の工藤" のW登板が実現しています。



引退後は、野球解説者を務める一方、甲子園球場の近くに「enjoy BAR elephant 26」というお店を開業。店名の由来は、ニックネームの「ぞうさん」と現役時代の背番号「26」です。

工藤幹夫(日本ハム)

生年月日:1960年9月30日

没年月日:2016年5月13日

出身地:秋田県

出身校:県立本荘高校

ドラフト:1978年 2位指名

プロ在籍年度:1979〜1988年

通算成績:30勝22敗0S 防御率3.74




工藤幹夫は、秋田県出身で高校時代は県立本荘高校のエースとして活躍。甲子園出場は果たせなかったものの、プロからの注目度は高く、1978年のドラフトで2位指名を受け、日本ハムファイターズに入団します。



入団当時はアンダースローの投手でしたが、サイドスローやオーバースローにも挑戦し、スパイダー投法と呼ばれました。最初の2年間はほとんど二軍生活でしたが、3年目の1981年から主に一軍で登板するようになります。投法をサイドスローに固定し、ペナントレースの結果は2勝9敗。ところが、その年の巨人との日本シリーズでは6試合中5試合に登板する活躍で、特に第1戦では、抑えの江夏が打たれた後を無失点で締めてサヨナラ勝ちを呼び込みます。第3戦も、中継ぎで好投し勝利。結局、日本シリーズで日本ハムがあげた2勝はすべて工藤が勝利投手となりました。



そして、迎えた翌1982年。日本シリーズで注目を集めた工藤はさらに飛躍し、なんと20勝4敗、防御率2.10とリーグトップの好成績を収めます。最多勝、最高勝率のタイトルを獲得し、ベストナインにも選出されました。その一方で、9月には右手小指を骨折。にもかかわらず、西武とのプレーオフ第1戦ではサプライズ登板を果たし、見事6回を無失点に抑えます。しかし、この時の無理が後遺症となり、1984年はわずか1試合の登板、1985年以降は登板なし。1988年に野手に転向するも、その年を最後に引退しました。



引退後は、地元秋田でスポーツ店を経営しながら地元の野球チームに携わるも、2016年に肝不全のため55歳の若さで亡くなっています。

工藤公康(西武)

生年月日:1963年5月5日

出身地:愛知県

出身校:名古屋電気高校(現・愛工大名電高校)

ドラフト:1981年 6位指名

プロ在籍年度:1982〜2010年

通算成績:224勝142敗3S 防御率3.45




工藤公康は、高校時代は、名古屋電気(現・愛工大名電)のエースとして活躍。3年の夏の甲子園では、ベスト4まで進み、準決勝ではエース金村義明を擁する報徳学園に惜敗するも、その年のドラフトの注目株となります。金村、槙原、工藤の "ビッグスリー" が注目される中、なんと工藤はドラフト直前にプロ入りを拒否。ところが、西武が6位で強行指名し、すったもんだがありながら、西武ライオンズへの入団が決定します。



西武では、一年目から一軍で中継ぎとして登板。本格化したのが1985年で、最優秀防御率のタイトルを獲得し、チームの2年ぶりの優勝に貢献しました。その後は、パ・リーグを代表するエースとして活躍し、西武ライオンズの黄金時代を築きます。



FA権を取得してからは、ダイエー、巨人と渡り歩き、ダイエーでは球団創設11年目の初優勝巨人では2度のリーグ優勝・日本一に貢献します。横浜に移籍後、最終年2010年は西武でプレーし、その年に引退しました。実働29年はプロ野球歴代最高記録で、最高勝率4回は歴代最多タイ記録です。通算224勝は歴代13位の記録です。



引退後は、古巣ソフトバンクホークスの監督として、3度のリーグ優勝と5度の日本一を達成しています。

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