若かりし大竹しのぶ    超マジメ! 超清純! 初めての男性と結婚! なのに「魔性の女」「あざとい」といわれてしまう業の深さ。

若かりし大竹しのぶ 超マジメ! 超清純! 初めての男性と結婚! なのに「魔性の女」「あざとい」といわれてしまう業の深さ。

超清貧な家に生まれ、高校1年生で芸能界入りした美少女は、清く正しく、そしてすごく押しの強い生き方を敢行。結果、自在に人を惑わし男を虜にする「魔性の女」と呼ばれるに至った。


大竹しのぶの母方の祖父は、吉川一水。
キリスト教の大家で、娘(大竹しのぶの母親)を「江すてる(エステル、旧約聖書に登場する名前)」と名づけた。
大竹しのぶの父親、章雄も熱心なクリスチャン。
吉川一水の聖書の講座に出席したとき、エステルと出会った。
大竹しのぶも「マリア」という洗礼名を与えられ、兄1人、姉2人、妹1人という5人兄弟の中で育った
小学校に入ったとき人見知りがひどく友達ができなかったが、秋に転機が訪れた。
学芸会の「桃太郎」でキジ役に選ばれ、それまで内気で自分から話すことなどできなかったのに、セリフはなぜか大声でいえたのである。
大きな声を出した後、恥ずかしくて下を向いてセーターのボタンをいじったが不思議な快感を覚えた。
そして本番、多くの父兄が見守る中、
「オーイ、船が出るぞ」
という最後のセリフをいった後、拍手を受け
「なんて気持ちいいんだろう」
以後、超活発な少女に変貌した。

東京電力に勤めていた父親が結核を患い、教員免許を活かし、空気のきれいな埼玉県入間郡の男子高校の数学教師となり、一家で引っ越し。
父親は毎週、日曜日、誰もいない学校に行き、1人、汗だくになりながらトイレ掃除。
自転車の後ろの乗ってついていった大竹しのぶは、半日がかりでトイレを掃除する父親をみて不思議に思った。
「お父さんがは先生でしょ。
偉いんでしょ。
なのになんでトイレ掃除しなくちゃいけないの?」
「トイレは汚いよね。
みんな、掃除なんかしたくないと思っているだろ。
誰かきれいにしなかったらずっと汚れたままじゃないか。
だからしてるだけだよ」
背中を向けたまま答える父親に
「意味はわからなかったけど、なんとなく胸にズシンと響いた」

しかしその後、父親の肺は悪化し、仕事を休んで自宅にいることが多くなり、母親が働き始めた。
参観日に父親が来ることになり、大竹しのぶはガラガラと戸を開ける音で振り返らなくても
「来たな」
とわかった。
独特の緊張感の中、授業が進む中、先生が問題を黒板に書いて
「さあ解いてみましょう」
生徒が全員、机のノートに集中し下を向くと、父親が動き出した。
教室を回って1人1人のノートをチェックするのをみて、大竹しのぶは
(みんな気づかないで)
と祈ったが
「ミッちゃん、答えが違うんじゃないかな。
もう1度考えてごらん」
という声がして、全員が父親と顔を真っ赤にするミッちゃんに注目。
(もうアウトだ)
と思ったが
「そうそうそう、それでいいんだよ、ミッちゃん」
というすっとんきょうな声がして、教室は爆笑に包まれた。


東京23区から埼玉の田舎に引っ越した大竹しのぶは、毎日、自然の中を1時間以上歩いて登校するようになり、さらにパワーアップ。
明るく、勝気で、目立ちたがり屋で、感動するとすぐ泣いてしまう大竹しのぶは、クラスの中心的存在。
普通は男子がやる学級委員長に、女子の圧倒的な支持を受け、小2からずっとに選ばれ続けた。
男子の反感を買って嫌がらせを受けることもあったが、絶対に負けず、クラスの文集に
「1度でいいから大竹を泣かしたい」
と書かれたこともあった。

体育の時間にフットベースボールをやったとき、男子に
「大竹、勝負しようぜ。
負けた方は罰ゲームで点差の数だけ校庭を走る。
どうだ」
といわれ
(売られたケンカは買うしかない)
と男子チーム vs 女子チームで対戦。
23点差で負け
「じゃあ走ってもらおうか。
23周だぞ」
といわれた。
「エーッ本当に走るの?」
「私、ヤダなあ」
「カンベンして」
嫌がり、逃れようとする女子もいたが
「みんな、頑張って走ろ。
ネッ」
といって校庭を走り始めた。
4時間目の授業時間が終わり、給食の時間になったが、まだ23周を走れない。
離脱する女子が次々と出る中、意地で走り続け、23周を走り切ったのは自分を含めて3人だけ。
ゴールした途端、2人が倒れてしまい、大竹しのぶは平気だった咄嗟に倒れた。
その後、救急車が呼ばれ、
「この子は大丈夫」
と自分だけ救急車に乗せてもれえず、教師に
「お前の責任だ」
と怒られた。

学級委員長をやっていてイヤだったのは、給食費を集めるときに
「・・さんと・・さんは明日、必ず持ってきてください」
といった後、必ず
「アッ、私もだった」
といわなければならないことだった。
それは誰かをかばおうとしたのではなく本当に払えなかったからだった。
働けない父親と5人も子供がいる家は、やがて生活保護を受けるようになった。
すると給食費は免除になって
「アッ、私もだった」
はいわなくてよくなったが、代わりに自分だけ先生に呼ばれて関係書類を渡されるようになって
「なにそれ?」
と聞かれると
「えー、わかんない」
とトボケた。

家にはテレビがなかったので、正直、みんなの話題についていけなかったが、
「面白かったよね」
といって輪の中に忍び込んだ。
ハツエちゃんの家が火事になって
「テレビも焼けちゃったんだって。
かわいそ」
という話を小耳にはさむと、ハツエちゃんに仲間意識、そしてテレビのない惨めさを分かち合える友ができたうれしさを感じた。
掃除の時間に1人で雑巾がけをしているハツエちゃんを見つけると
「今だ!」
と並んで雑巾がけ。
「大変だったね。
火事でテレビも焼けちゃったんだって?
あのね、今まで内緒にしてたけど実はウチもテレビがないの」
とついに秘密を告白。
ハツエちゃんはキョトンとしながら
「私んチ、もうテレビ買ったから」
思わぬ返しに衝撃を受けながら
「あ、そうなんだ。
よかったね」
つくり笑いをして、まるでなにもなかったように雑巾がけを再開した。

家の食事は、ずっとご飯と卵だけ。
あるとき両親が知人から借金したことを知ると、妹はパッと顔を明るくしていった。
「やった!
今日はおかずが出るかも!」
父親は、いつも横になって本を読んでいた。
テレビはないのに本はたくさんあり、父親は
「1日30分でいい、ページでもいいから本を読みなさい」
と勧めた。


また父親はクラシック音楽も好きで、特にベートーヴェンとチャイコフスキーが大好き。
レコードやステレオはないがラジオでクラシック音楽が流れると、目を閉じて、人差し指で指揮。
「しのぶ、おいで。
田園交響曲が始まるよ」
ある日、大竹しのぶは、ラジオの前に呼ばれてベートーヴェンの音楽鑑賞につき合うことになった。
父親は完全に世界に入り込み、
「ホラッ、村人たちが広場に集まってきたよ」
「みんな歌っているね」
「お祭りなんだ。
ダンスが始まるよ」
「あっ、嵐だ。
村人が逃げるように去っていくよ」
「雨が上がったみたいだね。
ほら空がだんだん明るくなってきた」
などと解説。
大竹しのぶは、美しい外国の村に天空から光が差し込み、広場に戻ってきた村人と一緒に踊る自分をイメージした。
本、音楽、父親の指導によって想像力を育んだ大竹家。
4姉妹が一緒になると誰かが自然と
「♪夏が来ーれば思い出す」
と歌い出し、残りの3人が
「♪はるかな尾瀬、遠い空」
と続き、ハモりながら合唱。
大竹しのぶは、お祭りののど自慢大会で「ドナドナ」を歌って2等賞になったこともあった。

中学校に進学し、入学式が終わろうとしたそのとき、保護者席から大きな声がした。
「あの、ちょっと一言いいですか?」
「どうぞ」
壇上の教師が答えると大竹しのぶの父親は静まり返る講堂の中をツカツカと進み出た。
そして登壇すると
「みなさん、覇気が足りない!」
といきなりぶちかまし、注目されながら平然と続けた。
「まったく元気が感じられません。
入学式だというのに、そんな顔をしてどうするんですか。
背筋を伸ばして、もっとシャキッとしなさい。
今日から中学生なんだから、イエスかノーか、ハッキリいえる人間になりなさい。
そのためには何が必要かわかるかな?
それはファイトだ。
みなさーん、これからはファイトをもって進んでください!」」
教師生徒、保護者、全員がアゼン。
父親だけが目をキラキラさせていた。

関連する投稿


西本智実&三浦祐太朗が出演!山口百恵作品オーケストラ公演『ノスタルジー2025』のセットリストが発表!!

西本智実&三浦祐太朗が出演!山口百恵作品オーケストラ公演『ノスタルジー2025』のセットリストが発表!!

山口百恵の作品をフルオーケストラで演奏する真夏の音楽の祭典「西本智実『ノスタルジー』with三浦祐太朗-山口百恵名曲集2025-」(新制作版)が開催されます。


2丁拳銃    愛人12人の小堀裕之と経験人数、生涯1人の川谷修士、そしてその妻、小堀真弓、野々村友紀子は、同じ1974年生まれ

2丁拳銃 愛人12人の小堀裕之と経験人数、生涯1人の川谷修士、そしてその妻、小堀真弓、野々村友紀子は、同じ1974年生まれ

NSC大阪校12期生、1993年結成の2丁拳銃が、2003年にM-1への挑戦を終えるまで。


【1975年】50年前に一番売れた曲は『昭和・・・』オリコン年間トップ10を振り返る!

【1975年】50年前に一番売れた曲は『昭和・・・』オリコン年間トップ10を振り返る!

今から50年前の1975年、歌謡界ではどのような曲がヒットしたのでしょうか。今回は、オリコンの年間シングルチャートトップ10を紹介し、ミドルエッジ世代の方にとって、恐らく聴きなじみがあるであろう10曲を振り返ります。第1位は、・・・・あのデュオの曲です。


いつの間にかアイドルからりっぱな女優になっていた浅田美代子

いつの間にかアイドルからりっぱな女優になっていた浅田美代子

劇中歌だったとはいえデビュー曲が大ヒットしたことでアイドル歌手のイメージがついた浅田美代子。が、いつのまにやらりっぱな女優になっていました!まぁ、もっとも最初から女優ではあったんですけどね。 90年代までの女優としての浅田美代子をご覧ください!


【1955年生まれ】2025年で70歳!見えない!若々しい人気女優たち!

【1955年生まれ】2025年で70歳!見えない!若々しい人気女優たち!

2025年(令和7年)は、1955年(昭和30年)生まれの人が古希を迎える年です。ついに、昭和20年代生まれの人は全員が70歳以上となり、昭和30年代生まれが70歳代を迎える時代になりました。今の70歳は若いとはと言っても、数字だけ見ると高齢者。今回は、2025年に70歳となる意外な人気女性俳優7名をご紹介します。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。