無名新人とロートル選手が集まったチーム
インディアンスのアリゾナキャンプに招集する選手は、オーナーが球団役員に手渡した書類にありました。そこにあった選手の名は、まるで聞いたことのないような選手や、すでに峠を越してしまっているロートル選手ばかり。そんな正体不明の選手が集まって、キャンプが始まります。
刑務所に服役していた球は速いけどノーコンのリッキー・ボーン。信仰の自由を求めてアメリカにやってきた、ストレートには滅法強いブードゥー教信者のペドロ・セラノ。足のケガからメキシカンリーグに落ちていた、ベテランキャッチャーのジェイク・テイラーなど。更には、招集もされていないのにキャンプに紛れ込んだ俊足のウィリー・メイズ・ヘイズ。
集まってくる選手を見ていた、フロントのチャーリー・ドノヴァンと監督のルー・ブラウン。実は監督も、オーナーが選んだ万年最下位チームからの招集。そのブラウンは、個性豊かな選手たちのことをオールスター・キャストだと言って笑っていました。
ポンコツチームはオーナーの悪だくみ
クリーブランド・インディアンスは、アメリカン・リーグの創設時から存在している伝統ある球団です。メジャーリーグベースボール(MLB)アメリカンリーグ中地区に所属するプロ野球チームで、ホームグランドはオハイオ州クリーブランドにあるプログレッシブ・フィールドとなっています。2022年より、インディアンスの名前は、ガーディアンズに変更されました。
映画では、この時点で34年も優勝から遠ざかっている弱小球団として登場。球団のオーナーが亡くなって、未亡人のレイチェル・フェルプスが亡き夫の跡を継いだことから始まります。新オーナーとなったレイチェルは、クリープランドが大嫌い。市との契約で、年間の観客動員数が80万人以下になれば、本拠地の移転が可能になるということから、マイアミに移転することを目論みます。そのため、勝てないチームを作って観客が来ないような画策をしたのです。
極端なノーコンが治った訳
刑務所から入団したという、変わった経歴を持つルーキーピッチャーのリッキー・ボーン。ものすごい剛速球を投げるのですが、コントロールが相当にひどいのです。監督のルー・ブラウンは、人を殺す前にコントロールを覚えさせろとコーチに指示をするほど。ある日、頑張ってるリッキー・ボーンでしたが、彼を監督室に呼び2軍で勉強するのもいいのではと話します。壁にかかった写真を見て、あのノーラン・ライアンも最初は2軍で勉強したんだと話すのですが、ボーンには見えない様子。
その様子を見たブラウン監督、紙に文字を書いてリッキーに読ませようとしますが
、リッキーには見えません。ノーコンの原因を察した監督、その時からリッキーに眼鏡をかけさせます。とりあえずは登板前だったのでダサいフレームの眼鏡に。それを見ていたヘイズは、これじゃ女にもてないぜって。鏡を見たリッキーも、これは今日だけで後は自分に合うのを買ってくるといいますが、監督は、見えることが一番だと言って立ち去るのです。しかし、眼鏡をかけたことによって近眼が克服できたリッキーは、メキメキと成績も向上し活躍をしはじめます。
チームが一丸になる時
リッキーが打たれ、ニューヨーク・ヤンキースに惜敗した日、フロントのチャーリー・ドノヴァンが監督のルー・ブラウンを訪問します。この日でチームは60勝61敗、それでもドノヴァンは、君たちはよくやったとチームをたたえるのです。それに対して60勝61敗がいいのかと聞き返すブラウンに、ドノヴァンはチームがチームだからなと答えます。実はドノヴァンは、前年度までの監督で、チームのことは一番よく知っていたんです。
その時ブラウン監督は、このチームは捨てたもんじゃない。ベテランが実力を発揮し、若手が育ってきた。ベストナイン候補も、2・3人いるし、優勝だって夢じゃないと言うのです。それは本気かと聞くドノヴァンに、ブラウンは後はチームを奮い立たせるきっかけだと言うのです。それを聞いて、寂しそうな顔をしたドノヴァンが、きっとオーナーが邪魔をするだろうと答えたのでした。
オーナーの企てを知った監督のブラウンは、全員でミーティングを行い、このままでは全員がマイナー行きになるかクビになると告げるのです。そこでジェイクが、じゃあ、俺たちが優勝するしかないと言うと、全員がテンション高く同意し、一気にチームに勢いが湧き出てくるのです。
快進撃が始まる
ここから、シーズン中というのに猛練習が開始されます。試合の方も、リッキーの気迫あふれる快投もあって、怒涛の快進撃を続けていくのです。気が付けば、町の人々は老若男女を問わず、インディアンスのTシャツを着てインディアンスの帽子をかぶり、インディアンス一色になっていました。
球場にもどんどんとお客さんが来るようになり、最初数人だった応援団の周囲には、ぎっしりと観客で埋まるのです。そして遂にニューヨーク・ヤンキースと首位に並び、最終戦で優勝を争うことになります。
ドタバタの決戦前

ついに同率で、ニューヨーク・ヤンキースと対決の日がやってきました。しかし、試合前にトラブルが発生。ロジャー・ドーンの浮気を知った妻のスザンヌ・ドーンが、報復として試合前夜にリッキーに近づいたのです。行為を遂げた後のスザンヌが、ロジャーの妻だと告げて帰っていき、翌日リッキーと浮気したと夫に告白。困ったリッキーは、ジェイクからロジャーと顔を合わさないように指示をされます。
そんな時にヘイズが飛んできて、今度はセラノが生贄用のチキンを用意しろと言ってる、みんなゲロゲロだぜって大騒ぎ。しょうがないので、ジェイクはセラノにこれで我慢しろと言って、ケンタッキー・フライドチキンを。こんなドタバタの中、何とか準備も終わり、いよいよ決戦場に向かうのです。
緊迫の試合経過
この時のスタジアムは、チャーリー・ドノヴァンの夢が実現して超満員になります。大歓声の中、インディアンスのナインが守備に付くのですが、このときリッキーはベンチの外から試合を見ていました。この日は両軍投手の出来が良く、6回まで0行進の緊迫した内容。しかし、7回にハリスが2ランホームランを浴び、ヤンキースに2点のリードを許します。その裏のインディアンスの攻撃もすでに2アウト、勝負あったか思われた瞬間、ドーンがレフト前にヒットを放ちセラノに繋ぎます。
しかし今日のセラノは、全打席三振。ベンチでは、ヘイズが代用チキンが悪かったとの泣き言。この打席も、バットにかすりもしません。あっという間に2ストライクと追い込まれ、ここで打席を外したセラノ、捧げものをして祈ったのに神のこの仕打ちは何だと怒り、もうお前なんか知らない、俺自身がやると言って打席に戻り集中します。そして投じられた3球目、放った打球はレフトのはるか場外に飛び出す大ホームランで同点になったのです。
手に汗握る9回の攻防
そして同点での最終回、ヤンキースは2アウト満塁で、アメリカンリーグの三冠王である怖い怖いクルー・ヘイウッドが打席に。ここで、ブラウン監督はハリスを諦め、リリーフにリッキーを送り出すのです。ブルペンから出てきた時の大歓声は、映画だとわかっていても鳥肌が立ちますね。
しかし、投球練習が終わったリッキーの下に、三塁手のドーンが向かいジェイクを慌てさせますが、事なきを得てヘイウッドとの対決です。クライマックスのこのシーン、見事な剛速球でヘイウッドを3球3振に切ってとり、9回裏の攻撃に繋ぎます。
しかしインディアンスの攻撃もあえなく2アウト、ここでヤンキースの守護神デュークがマウンドに。1番ヘイズは内野ゴロに倒れますが、俊足を生かしてセーフにします。ここで打者はジェイク、ヘイズは1球目に見事な盗塁も決め、後はジェイクのヒットを待つだけとなりました。
しかし、この場面でジェイクはとんでもない行動にでます。なんと、レフトスタンドを指さしてのホームラン予告。そのすぐ後の投球は、このパフォーマンスに報復するようなビーンボールが。しかし、倒れこんで避けたジェイクは、再びホームラン予告。この時のスタジアムは、大歓声と足踏みで最高潮に達していました。
そして運命の3球目、なんとジェイクはバントをするのです。必死の走塁で1塁はきわどくセーフに、この時投球とともにスタートを切っていたヘイズが、3塁を回ってホームに突入していました。ファーストからの返球を受けたキャッチャーが素早くタッチをしますが、間一髪セーフになり、見事にインディアンスは優勝を果たしたのです。
試合とともにロマンスも進行
この物語の中で、試合が経過していくとともに、ジェイクのロマンスも並行して進んでいきます。シーズン直前の食事中に、以前恋人だったリンに偶然出会うジェイクは、彼女とよりを戻そうとするのですが、既に彼女は婚約をしていました。諦めきれないジェイクは、試合を見に来ていたリンの後をつけて彼女の家に。一晩を共にした二人でしたが、翌朝ジェイクが起きた時には、彼女は出かけた後でした。
その後、遠征でクリープランドを離れていたジェイク、再び彼女の家を訪れて時は、引っ越した後だったのです。諦めかけていたジェイクでしたが、ヘイズが仕事場の図書館から後をつけて家を見つければいい。体当たりで口説き落とせとせっつきます。そしてジェイクが訪れた家は、リンの婚約者の家でした。そこで打ちのめされたジェイクはリンを諦めることに。
優勝決定戦に勝利し、グランドが歓喜の渦となっている時、ジェイクの視線の先にリンがいました。それも指にあったはずの婚約指輪がありません。リンは婚約を解消して大切な試合に駆けつけて来たのでした。リンを抱き上げ、グランドに戻った二人の回りにメンバーが集まり、フィナーレとなります。
思わぬ未公開シーンがあった

ここからはほんの付け足しになるのですが、あまり知られていない裏話を。実は、映画メジャーリーグには、カットされた未公開シーンが存在するのです。それは、優勝決定戦の試合前のこと。オーナーのところに、監督のブラウンが訪れます。目的は、クビになる前の辞任でしたが、オーナーのレイチェルがこんな話を始めます。これまでの数々の嫌がらせは、チームを鼓舞するためで、死んだ夫が大切にしていたチームを誰よりも愛していたと。
更に、本当に負けさすのなら、全員マイナー送りにした。メンバーをスカウトしたのは全てが私だったとも。ただ、ヘイズは例外だけどね、と説明するのです。戸惑うブラウンにレイチェルは、メンバーには話さないようにと告げ、今夜は頑張ってと励まします。レイチェルがインディアンズの応援するシーンも撮影されたのですが、試写の反応を見た結果、悪役に徹した方が盛り上がるとして、カットされたのでした。全てがパッピーエンドのメジャーリーグも見たかったかもですね。
最後のおまけに

この映画メジャーリーグでは、DVDと日本テレビの日本語吹替のみ、なんと端役の吹替に当時の有名プロ野球選手が声優をしているのです。ヤンキースの監督を江夏の21球の江夏豊が、ヤンキースのキャッチャーはミスタータイガースの掛布雅之、そしてインディアンスのコーチを黄金期のジャイアンツのエース堀内恒夫が担当しています。セリフは少ないのですが、プロ野球ファンならDVDの吹き替えで確認するのも楽しいですね。
そして、現実のクリーブランド・インディアンスは、1995年にはアメリカンリーグの優勝チームになっています。ただ、2021年のシーズン終了後、チーム名を「クリーブランド・ガーディアンズ」に正式変更するという発表がありました。これは、先住民を表す名称が人種差別的と問題視されたためです。しかし、長年インディアンスの名前に親しみを覚えている地元ファンからは、反対の意見が多数上がっているそうです。