伝説的ロックバンドBOØWYがヴィジュアル系へ与えた影響・系譜を辿る!! Part4

伝説的ロックバンドBOØWYがヴィジュアル系へ与えた影響・系譜を辿る!! Part4

BOØWYが、解散から30年を経た今も多くの音楽ファンやアーティストから熱い支持を受け、語り継がれる 伝説的ロックバンドだといわれるのには理由があります。 日本の不良とロックの関係性をネクストステージに導き、ビートロックと呼ばれる海外にはない日本オリジナルの スタイルを確立し音楽シーンに絶大な影響を与えたからです。 そして、ヴィジュアル系もまたその影響を受け独自の進化をしてきたのです。 今回はそんな進化の過程で誕生したソフトヴィジュアル系とBOØWYとヴィジュアル系バンドの共通点について 語っていきます!


ヴィジュアル系ビートロックバンドの激減!"脱・黒服"が進み "ヴィジュアルのソフト化"へ!!

1995年に入り、"脱・黒服" "ヴィジュアルのソフト化"の流れはさらに加速していきました。
LUNA SEAや同期デビュー組である黒夢・GLAY・L'Arc-en-Cielといったバンドは
よりポピュラリティーを強めていき、商業的な成功を収めていく事となりました。
LUNA SEAのシングル「DESIRE」はオリコンチャート1位を記録し、初の東京ドームライブ
"LUNATIC TOKYO"を成功させました。
またギタリスト臣の脱退を乗り越えリリースされた黒夢のアルバム「feminism」も
オリコンチャート1位を記録し、続くシングル「BEAMS」もヒット。
またこの年には、戦略的に黒服を纏っていたSIAM SHADEが脱・黒服してメジャーデビュー。SOPHIA・CASCADEもメジャー進出を果たしたのです。

1996年、GLAYはシングル「グロリアス」をヒットさせ、アルバム「BEAT out!」は
オリコンチャート1位を獲得。
続くシングル「BELOVED」も大ヒットとなり、同タイトルのアルバム「BELOVED」は
ミリオンセラーを達成。
L'Arc-en-Cielは、シングル「風にきえないで」「flower」「Lies and Truth」を立て続けに
ヒットさせ、アルバム「True」はミリオンセラーを記録。
ヴィジュアルも大きく変化し、hydeは女性的なイメージから脱却し、フェミニンな
美少年路線を打ち出しました。
黒夢は反旗をひるがえすように、アルバム「FAKE STAR」をリリースしパンクモードへ移行。

こうした流れに触発され、ソフトヴィジュアル系タイプのバンドがシーンに増殖しはじめます。
端的に言ってしまえば、ソフトヴィジュアル系とは"脱・ヴィジュアル系"の動きから生まれた
ヴィジュアル系バンドの新しいスタイル。
後に、黒夢の清春は「ヴィジュアル系と呼ばれる枠から抜け出そうと思ったが、結果として
ヴィジュアル系の幅を広げてしまった」と語っていました。

この他にも、GLAYに続きYOSHIKIのプラチナムレコードからDearがメジャーデビュー、
名古屋系バンドFANATIC◇CRISISはソフトヴィジュアル系路線に変貌を始め、
D≒SIRE YUKIYAはインディーズレーベルのKreisを設立、さらにBreak OutというV系に特化した
テレビ番組の放送が開始されるなど、時代の変動を予感させる出来事が相次いで起こりました。

また、ソフトヴィジュアル系バンドが台頭し始め頃から、ヴィジュアル系ビートロックバンドは
激減していきます。
これはソフトヴィジュアル系が、ヴィジュアル系ビートロックに取って代わった存在だという
見方も出来ますよね。

吉川晃司からの影響を感じるスタイルでメジャーデビューした”Kill=slayd”!!

布袋寅泰とのユニットCOMPLEXを活動停止した吉川晃司は、ソロ活動へと戻り
吉川流のビートロックを追求した作品を発表し、不動の地位を確立していきました。
いわゆる"東芝在籍時代の吉川"はビート系ファンから評価が高く、ヴィジュアル系バンドにも
大きな影響を与えていました。
そういった吉川晃司からの影響を感じるスタイルで、1997年にメジャーデビューしたのが
Kill=slaydなんです!
GLAYのTAKUROとのプロジェクトSTEALTHやC4の活動で知られるTOKIがヴォーカルを務める
バンドで、当初はD'ERLANGERインスパイア系のバンドだったのですが、徐々に吉川色の強い
ビートロックタイプのバンドへ変貌していきました。
中でも「Phirosophia」は超の付く程の名曲、ビート系ファンは必聴です!

シングル「とまらない鼓動」でメジャーデビューを果たした”VINYL”!!

シングル「とまらない鼓動」で1997年にメジャーデビューを果たしたのは、
ex.STRAWBERRY FIELDSのヴォーカリスト福井祥史と、ex.黒夢のギタリスト鈴木新(臣)の
ユニットVINYLです。
ビートロック、ジャパメタを基盤にしたキャッチーなロックンロールを聴かせ、
オムニバス「LEMONed Collected by hide」に「BE」で参加、シングル「とまらない鼓動」
「20世紀のマスタード」「ずっとそばにいて」の3枚、オリジナルアルバム「Go to VINYL」の
1枚を残しました。

Break Outは功罪相半ば?ソフトヴィジュアル系の隆盛!!

1998年、ソフトヴィジュアル系と呼ばれるバンド群は隆盛を極めていきました。
先発バンドたちの目覚ましい活躍はもちろんのこと、GLAYやDearに続きRAMARが
シングル「ヒマワリ」でプラチナムレコードからメジャーデビュー。
Kneuklid Romanceがソフトヴィジュアル系タイプへ路線変更しメジャデビュー。
Break Outが輩出したLastier、L'luvia、D-SHADEがメジャーデビュー。
Kreis出身のBlüeがメジャーデビュー。
その他にもILLUMINA、ALL I NEEDらがメジャー進出するなど、その勢いは絶頂を迎えました。
これ以降も、1999年のJanne Da ArcのメジャーデビューやメディアミックスバンドΛuciferの
登場を経て、2000年代初頭までソフトヴィジュアル系バンドは一定の勢力を保っていきました。

一方で、V系バブルと呼ばれたポストヴィジュアル系ムーブメントは翳りを見せ始めます。
そのブーム衰退の一因として考えられるのが、GLAYやL'Arc-en-Cielらの商業的成功に便乗した
ヴィジュアル系バンドの青田刈りです。
また、それを扇動した存在としてテレビ番組Break Outを批判する者も多く、同番組出演者も
痛烈に批判していました。
しかし、ヴィジュアル系の存在を一般層まで浸透させた功績は大きく、功罪相半ばだと言えます。

マスメジャーとコアアンダーグラウンド・BOØWYとヴィジュアル系バンドの共通点!!

BOØWYの「何処にも属さない、誰にも似たくない」「俺たちはパンクでもニューウェイヴでも
ない、BOØWYだ」という"アンチ右へ倣え精神"。
これは、ヴィジュアル系という言葉で一括りにされるのを拒み、唯一無二の存在を目指した
ヴィジュアル系バンドたちと繋がるところがありますよね。

またBOØWYは、洋楽のモノマネのようなバンドを嫌い、あくまで日本製のロックを追求し
「歌謡曲でも演歌でも良いものは良い」というスタンスを持っていました。
保守的なロックファンからは「歌謡ロックなどロックの歴史として語る価値もない」と
言われながらも、音楽的革新と大衆性を両立させ、歴史を変える伝説的ロックバンドと
なっていきました。

対するヴィジュアル系バンドたちも、ヒットチャートで戦えるロックとメジャー志向を
持っていました。
同じように「格好だけのバンド」「女子供が聴くミーハーな歌謡ロック」と蔑まされながら、
メジャーシーンと戦い、ロックバンドに市民権を与えました。
すなわち、BOØWYとヴィジュアル系に共通するものは、マスメジャーと
コアアンダーグラウンドを併せ持ったバンドのアイデンティティなのです。

ヴィジュアル系バンドを一括りにし「薄っぺらい歌謡ロックのアイドルバンド」と
蔑んだ人たちがいました。
表面的にしか物事を捉えられない人間は放っておけと言わんばかりに、彼らの音楽は
世界水準のクロスオーバーサウンドで、革新性と芸術性、そしてアンダーグラウンドの
空気感を漂わせていたのです。
近年、90年代ヴィジュアル系バンドが再評価されてからは、権威付けされたジャンルを
引き合いに出し「ヴィジュアル系というよりもはや○○の域に達している」という評価を
与える者もいました。
そういった洋楽至上主義・権威主義的な価値観を嘲笑うように、彼らの音楽は
下世話なまでに歌謡曲濃度が高く、大衆性を帯びたものでした。

かつて氷室京介は、BOØWYを「本物のロックンロール」と自負していました。
一部では批判されながらも、マイナー路線にも逃げず売れ線にも魂を売らないBOØWYが
"本物のロックバンド"であった事は歴史が証明しています。
そしてまた、BOØWYと同じスピリットを持ち、90年代に日本の音楽シーンを席巻した
ヴィジュアル系レジェンドたちも"本物のロックバンド"であったと、古代レリーフは
語っています。

関連する投稿


布袋寅泰と長濱蒸溜所のコラボウイスキー第2弾!『BEAT EMOTION-ROMANTICIST-』が登場!!

布袋寅泰と長濱蒸溜所のコラボウイスキー第2弾!『BEAT EMOTION-ROMANTICIST-』が登場!!

長濱蒸溜所より、布袋寅泰とタッグを組んだウイスキー「BEAT EMOTION」ブランドの新作として『ROMANTICIST(ロマンティスト)』が発売されます。発売予定日は5月27日。


いまさら人に聞けない『GACKT』ってどんな人?を名曲と共におさらいしよう!

いまさら人に聞けない『GACKT』ってどんな人?を名曲と共におさらいしよう!

格付けチェックてお馴染み『GACKT』大河俳優でもあり、歌手でもあることは知っているが、しっかり活動を知らない人にソロ活動25周年を迎えたGACKTの、日本クラウン時代の未配信だった作品が、国内・国外の主要な配信サイトで2025年3月12日より配信解禁を記念して、名曲と共にGACKTの歌手活動を振り返ります!


布袋寅泰『GUITARHYTHM VIII』発売記念!「GUITARHYTHM」の世界を堪能できる期間限定バーがオープン!

布袋寅泰『GUITARHYTHM VIII』発売記念!「GUITARHYTHM」の世界を堪能できる期間限定バーがオープン!

長浜浪漫ビールが運営する日本最小規模のウイスキー蒸溜所「長濱蒸溜所」が、布袋寅泰のアルバム『GUITARHYTHM Ⅷ』の発売を記念し、POPUPバー「Bar BEAT EMOTION」を表参道に期間限定オープンします。


ピンズカプセルトイシリーズ『THE ARTIST COLLECTION』に初の国内アーティストとしてBOØWYが登場!!

ピンズカプセルトイシリーズ『THE ARTIST COLLECTION』に初の国内アーティストとしてBOØWYが登場!!

ユニバーサルミュージックが、ローソンエンタテインメントと共同で企画/制作するピンズカプセルトイシリーズ『THE ARTIST COLLECTION』のシリーズ第7弾として、初の国内アーティストとなる「BOØWY」のカプセルトイを発売します。


アニメ界の巨人・前田真宏の唯一無二の創造の軌跡に迫る「雑・前田真宏」展が池袋・名古屋・心斎橋のPARCOで開催!!

アニメ界の巨人・前田真宏の唯一無二の創造の軌跡に迫る「雑・前田真宏」展が池袋・名古屋・心斎橋のPARCOで開催!!

1月31日より、アニメーション監督・前田真宏(株式会社カラー所属)の初となる展覧会「雑・前田真宏」展が池袋PARCO 本館7FのPARCO FACTORYで開催されます。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。