カワラバト
日本全国どこででも見られる全く珍しくもなんともない鳥、鳩。ですが、鳩は世界に約42属290種いて、そのうち日本には5属13種もの在来種がいるって知っていましたか?
おそらく皆さんが毎日のように目にしている鳩は「カワラバト」というやつです。
一般に鳩と言えば「カワラバト」の事を指しますが、まぁ、確かにこいつは珍しくない。
なぜ珍しくないのかというと、この「カワラバト」、実は1500年程前に日本に渡来した外来種なんですが、5000年以上前から世界各地で家禽化されて広まった飼養品種なんです。でまぁ、日本でもどこにでもいるわけなんですね。
そんなこんなで、「カワラバト」は在来種でないだけではなく、野鳥とみなされていないのです。なので、日本に生息する5属13種の在来種リストからは除外されています。
では、どのような鳩が日本に生息しているのでしょうか?順に見ていきましょう。
キジバト
「カワラバト」に次いで目にする機会が多いのが「キジバト」です。それほど珍しくはないとはいえ、「キジバト」はキジバト属でりっぱな在来種の野鳥です。
特徴は翼にある黒と赤褐色の鱗状の模様です。確かにキジのようでもありますね。
さて、一般的に目にする機会がある鳩はここまででしょう。ここから先はなかなかお目にかかれない鳩ばかりですよ。
リュウキュウキジバト
キジバト属には「キジバト」以外に日本ではあと2種生息しています。そのうちの1種「リュウキュウキジバト」。
リュウキュウと名付けられているように、奄美諸島、琉球諸島に分布しています。「リュウキュウキジバト」は、「キジバト」の亜種ですね。
ご存じかとは思いますが、「亜種」というのは種の中をより細かく分けるもので、生物の補助的な分類階級の一つです。
「リュウキュウキジバト」は、庭園や公園などにも訪れ、繁華街の並木でも営巣しているということですから、沖縄では珍しくはないようですね。
シラコバト
同じキジバト属といっても、「キジバト」「リュウキュウキジバト」とは見た目がちょっと違う「シラコバト」。
生息区域は、千葉県北部、茨城県南西部、埼玉県東部ということで、関東地方北東部ではお馴染みのノバトです。
「ぽっぽっぽー」で始まる童謡の「鳩ぽっぽ」は、「シラコバト」の鳴き声をモチーフにして作られたとされています。
カラスバト
日本の在来種として最も多いのがカラスバト属です。5種もいます。その代表となると、やはり「カラスバト」ですね。
カラスなのか、ハトなのかはっきりしろ!と言いたい気もしますが、光沢のある黒い羽毛で全身が被われるということでこのネーミングとなったようですが、決してカラスには似ていないです。なので、カラスにもハトにも失礼なネーミングではないかと思うのですが、いかがでしょう?
「カラスバト」は、四国、九州、伊豆諸島、隠岐、沖縄諸島、五島列島、薩南諸島に分布しています。
カラスに似ているとは思いませんが、「カワラバト」と比べると、尾羽が長くてキレイな鳩ですよね。
アカガシラカラスバト
カラスバト属の2種目「アカガシラカラスバト」。名前からお分かりのように、頭が赤いわけです。頭と言うか、顔も首も赤いようですが、どう見ても既にカラスではないですよねぇ。
「アカガシラカラスバト」は、小笠原諸島に分布する固有亜種なのですが、生息数が小笠原群島で40〜60羽、南硫黄島で数十個体程度と推定されている国内で最も絶滅が危惧される鳥類であります。ということもあり、国の天然記念物となっています。
ヨナクニカラスバト
「ヨナクニカラスバト 」は先島諸島に生息する日本固有亜種です。先島諸島とは言うまでもなく、日本の南西諸島に属する琉球諸島のうちの宮古列島・八重山列島の総称です。
限られた地域にしか生息しておらず、非常に警戒心が強いということで、現地の人でも「ヨナクニカラスバト 」を目視することは稀だそうですよ。
他にカラスバト属には「リュウキュウカラスバト」と「オガサワラカラスバト」の2種が居たのですが残念ながら絶滅してしまったようです。
ただ、近年のDNA調査では亜種がいくつかの諸島部で生存が確認されています。
アオバト
次いで「アオバト」。アオバト属です。「アオバト」は北海道から九州まで全国各地で繁殖する留鳥です。留鳥というのは渡り鳥ではない鳥のことです。渡らないんです。渡らない鳥、つまり、その地に留まっている鳥ですね。
なので目にする機会が多いのでしょうが、鳥に関心がない人は、これが鳩だとは思わないのではないのかもしれないですね。色が鳩らしくないです。なんせアオですから。まあ、アオといってもミドリですけどね。
いつもは森林に生息している「アオバト」ですが、夏から秋にかけて海水を飲むために海岸に現れたりもします。海水を飲むのは塩分やミネラル補給のためと考えられていますが、はっきりとした理由は分かっていません。鳩が海水を飲むなんて面白いですよね。
リュウキュウズアカアオバト
日本にアオバト属は3種類いるのですが、その2種類目「リュウキュウズアカアオバト」です。赤なのか青なのかはっきりしてほしいというネーミングですね。これでは赤にも青にも失礼でしょう!しかも、青といいながらも緑ですからね。
それはともかく「リュウキュウズアカアオバト」です。生息地は屋久島から沖縄本島です。
「リュウキュウズアカアオバト」は、人家周辺の庭木でもたまに見ることができるようです。
チュウダイズアカアオバト
アオバト属でもう1種、先島諸島(宮古列島、八重山列島)に生息する「チュウダイズアカアオバト」。
「チュウダイズアカアオバト」も「リュウキュウズアカアオバト」も屋久島以南の南西諸島、台湾、フィリピン北部に分布する「ズアカアオバト」の一種です。
和名の由来となっている赤色の部分(頭の上部)があるのは、台湾以南の亜種でけで、実は日本に生息する2亜種にはないんです!赤い部分が!!!
因みに「チュウダイズアカアオバト」は「リュウキュウズアカアオバト」より一回り小さいのですが、違いはそれくらいだそうです。
ベニバト
日本産のハト類で最も小さいのがベニバト属の「ベニバト」です。全長約23cm。どこでも見かける「カワラバト」が全長30~35cmなので、かなり小さいですね。
中央アジア東部および中国の中部で繁殖し、冬になるとインド、東南アジア、台湾、そして西日本にやってきます。
リュウキュウキンバト
さて最後はキンバトです。インド、中国、ベトナムなどなど多くの国で見られますが、日本では宮古島以南の南西諸島に留鳥として生息しています。なので和名は、キンバト属「リュウキュウキンバト」ですね。日本では国の天然記念物となっています。
如何でしたか?日々鳩を意識して見ている人は少ないのではないかと思いますが、日本にもこれだけ変わった鳩がいるんです。今見ておかないと絶滅してしまって永遠に見れなくなる危険性がある鳩がいるんですよ。
文明のおかげでネットでいつでも手軽に見ることが出来はしますが、やっぱり生で見たいですよね。見つけると感動間違いなしです!
なので、もっと自然を大切にしましょう。環境破壊はイカンなぁと改めて思った次第です。