森田まさのりによる野球漫画ROOKIES(ルーキーズ)。熱血教師の川藤幸一が赴任先の二子玉川学園で、安仁屋ら不良少年達と向き合い、野球を通じてスポーツや青春の素晴らしさを共に実感していく物語。そして、川藤により発せられた名言で一番有名ではないかと思われるのが『夢にときめけ! 明日にきらめけ!』です。
将来ある生徒達に対しての発言ですが、あまりにも情熱的であり、ある意味で自己陶酔的にすら捉えられかねない言葉です。ですが、実直な人柄の川藤は、気恥ずかしさもなく直球で生徒達へと伝えていきます。最初は戸惑い、馬鹿にしていた生徒達も次第に心を開き、川藤を信頼していくこととなりました。
己の理想に忠実で、生徒想いの川藤。彼らしい名言は他にもあります。「人生に目標があるなら、堂々と口に出して言うべきだ」「夢に燃えてる奴の目はもっとキラキラしてるモンだ 燃え方が足りんと見えるな」「どんな無謀なことにも挑戦できる。これはまだ何も知らない素人の特権だな」など。
また、劇中で一匹狼で野球部の仲間と距離のあった新庄に対しては、「手って不思議だよな。握れば拳、開けば掌。掌っていうのは手の心っていう意味だ。俺はいつか、お前が自分からこの拳を開いてくれる日が来るって信じてるからな。」という言葉を送っています。そして、新庄は徐々に仲間との壁を取っ払うことに成功。川藤の想いに行動で応えています。
実写ドラマや映画化もされた同作。2013年時点で累計2100万部を突破しています。また、同年にはパチンコ・パチスロメーカーのサミーより発売された「CRルーキーズ」で初のアニメ化もされています。
賭博黙示録カイジ『自分を救うのは自分だけ!』
心がざわざわとするシーンが次々と展開していく漫画・カイジ。グータラな毎日の中にいた伊藤開司(通称:カイジ)が、借金返済の為に招かれた裏の世界。ギャンブル狂が支配する世界で、カイジは死線を越え続けていきますが、そんな中で生まれたのがご紹介の名言。『自分を救うのは自分だけ!』。
これはカイジが参加したギャンブル「鉄骨渡り」でのひとコマ。高所に設置された鉄の一本橋を、決められた順位内に渡り切るのが目的のレースでした。身体能力が大いに試されるこの“人間競馬“に挑戦中のカイジが、心で強く思った渾身の名言でもありました。
「期待するなっ…!他人に…!自分だっ…!自分…!」「自分を救うのは…自分だけ…!」と極限の状況下で、自分を鼓舞するべく辿り着いたある種の真理でもありました。
「電流鉄骨渡り」「Eカード」など、手に汗握る緊迫のギャンブルが続く同作。続編の「賭博破戒録カイジ」以降、シリーズ化され2017年からは「賭博堕天録カイジ 24億脱出編」が連載されています。
ギャンブルにおいては自分に厳しい反面、他人へはお人よしな一面をみせるカイジ。これからも滅茶苦茶な展開が予想されます。
もののけ姫『生きろ・・・そなたは美しい』
1997年公開のスタジオジブリ作品・もののけ姫。米良美一による主題歌「もののけ姫」も透明感のある楽曲で、物語の世界観を効果的に演出していました。
ご紹介の名言は、山犬に育てられた人間の娘サンと少年アシタカとの出会いでのひと言。『生きろ・・・そなたは美しい』。アシタカが瀕死の状態ながらも、サンに投げかけた言葉でした。人を憎むサンは聞く耳を持たずに、「なぜ私を助けた!?」と助けてくれたアシタカに強く問いかけます。しかし、アシタカから美しいと言われたサンは、動揺します…。
サンの強い生き様に美しさを感じたアシタカ。私達の日常でも全力で、必死に生き抜こうとすれば、見た目ではなく内面からも美しくなれるのではないのでしょうか。その努力をきっと誰かが認めてくれます。
アシタカ
サン
ご紹介した名言は、重厚な物語の中でも印象的なシーンでした。また、糸井重里によるキャッチコピーも「生きろ。」であり、糸井と鈴木敏夫プロデューサーの間で、数十案もボツとなる激しいやり取りを経て決定されたものでした。
2020年から始まったコロナ禍。“一生に一度は、映画館でジブリを。”と銘打ち、「もののけ姫」を含めた宮崎駿作品計4作が、全国の映画館で再上映されました。映画館離れを起こしていた人々もこれには反応。興行収入1位から3位まで独占という結果をもたらしました。
ポスター
新世紀エヴァンゲリオン『奇跡を待つより捨て身の努力よ!』
熱狂的なファンを持つTVアニメ・新世紀エヴァンゲリオン。その中心キャラであり、宅飲みでの豪快なビールの飲みっぷりも魅力的な葛木ミサト。仕事となると一転、戦闘時には冷静かつ大胆に指揮を執る姿が勇ましくもあります。
今回ご紹介する名言は、エヴァを模して造られたロボットの披露会で暴走が起こった際のひと言。自動停止という奇跡を待たずに止める際に発せられた『奇跡を待つより捨て身の努力よ!』です。
また、葛木ミサトの名言には他に「奇跡ってのは、起こしてこそ初めて価値が出るものよ」などがあり、葛藤を抱えながらも前向きに物事へと取り組む姿勢が伝わってきます。
葛木ミサト
2021年3月に公開された映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。公開から42日間の累計で興行収入77億円を突破し、観客動員数も500万人超えを果たしています。まさに時代を超えて愛されてきた同作の魅力が、数字に反映された格好となりました。