「夢幻伝説タカマガハラ」は1997年に連載スタート
アニメ化を果たし大人気だった「セイントテール」が最終回を迎え、「なかよし」1997年2月号より連載がスタートしました。その後約3年間の連載を経て、1999年6月号にて最終回を迎えています。KCなかよしより、単行本全5巻が発売されています。現在は電子書籍としても読むことができます。

夢幻伝説タカマガハラ(1) (なかよしコミックス) Kindle版
日本神話をモチーフにした世界観
物語は、現代の「中ツ国」と別世界の「高天原(タカマガハラ)」が舞台となっています。
日本神話でも、地上世界の中ツ国、神々が住む天上世界の高天原とされていますね。「夢幻伝説タカマガハラ」では、高天原が舞台として有名な「天の岩戸伝説」を物語の軸としているようです。
異国情緒を感じさせる世界観のセイントテールとは真逆の和風ファンタジー。「なかよし」ではあまり見られない世界観で、当時は斬新だったのではないでしょうか。

怪盗セイント・テール 1 (講談社コミックスなかよし) (日本語) コミック – 1995/6/1
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あらすじ
冒頭
小学5年生の若狭結姫は、ある日空から降ってきた不思議な勾玉を手に入れます。
勾玉を持って鏡の前に立つと、鳴女(なきめ)と名乗る女性が鏡の中に現れました。
鳴女は自分を、結姫たちの住む地上世界・中ツ国とは別世界である、高天原という世界の遣いの者であると言います。彼女が仕える高天原の太陽・天照(アマテラス)が病に伏し、2つの世界が危機に瀕していると結姫に訴えます。そして、この危機から世界を救えるのは、勾玉を持つ者しかいないと。
鳴女の話をいまいち信じられないまま眠ってしまった結姫が目覚めると、そこは高天原の砂漠地帯でした。勾玉よって中ツ国での意識を持ったまま、高天原の世界に誘われてしまったのです。
隆臣との出会い、勾玉を持つ仲間たち
砂漠で戸惑う結姫は、隆臣と呼ばれる盗賊の頭領に拾われます。
隆臣の面影は、結姫が想いを寄せるクラスメイト・甲斐隆臣にそっくりでした。
隆臣は勾玉を持つ結姫を見て、彼女が伝説の救世主”地平線の少女”ではないかと考え、利用価値を見出し、結姫と行動を共にします。憧れのクラスメイトとは正反対の隆臣に反発するものの、彼の不器用な優しさに次第に惹かれていく結姫でした。
結姫と隆臣は、勾玉を持つ残りの4人“天つ神(アマツカミ)”を探し仲間に加えていきます。探し求めた仲間たちは、結城の中ツ国での同級生たちでした。そして仲間とともに、天照を救うべく天岩戸を目指します。
旅の中で結姫たちは、人々によって傷つけられた自然生物に奇跡を起こしながら、人間の身勝手な欲望を目の当りにし、自然との共生について考えさせられます。やがて中ツ国でも異変が顕れ始め、世界の危機が近いことを悟ります。隆臣に隠された秘密、天岩戸伝説の真実に辿り着いた結姫たちに残酷な決断が迫られます。
旅の果てに
旅の中で結姫たちは、人々によって傷つけられた自然生物に奇跡を起こしながら、人間の身勝手な欲望を目の当りにし、自然との共生について考えさせられます。やがて中ツ国でも異変が顕れ始め、世界の危機が近いことを悟ります。隆臣に隠された秘密、天岩戸伝説の真実に辿り着いた結姫たちに残酷な決断が迫られます。
主なキャラクター紹介
主人公・若狭結姫

夢幻伝説タカマガハラ(5) (なかよしコミックス) Kindle版
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甲斐隆臣(隆臣)
因幡壮太(颯太)
和泉那智(那智)
日向泰造(泰造)
相模圭麻(圭麻)
鳴女
ビンガ
伽耶
月読
最終回後、実は続きがあった!?
壮大なスケールで描かれた結姫たちの旅は「なかよし」1999年6月号にて最終回を迎えました。作り込まれた世界観やキャラクターたちのその後が気になりますよね。
実は作者である立川恵先生が、結姫たちのその後、中学生になったお話を同人誌にて発表しています。

エムティースタジオ (立川恵) Girl's Ceremony
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連載終了後も個人で描かれるほど、立川恵先生にとって想いが深い作品だったのかもしれません。今でこそ異世界ファンタジーの作品は多くみられますが、当時のなかよしではCLAMPの「魔法騎士レイアース」以上のものは無かったように思われます。
日本神話という難しい題材をモチーフにし、環境問題をも提議しながら、読者である小中学生の心に響いた「夢幻伝説タカマガハラ」。名作を生み出す立川恵先生のありあまる才能が伺えます。
大人になった今、もう一度読み返して見ると、味わい深いものがあるかもしれませんね!