君は「少年ブック」を知っているか?!

君は「少年ブック」を知っているか?!

創刊から僅か10年で姿を消した少年ブックですが、当時は絶大な人気を誇っていました、その人気のひとつに、テレビ番組と並行して、若しくは先駆けてコミカライズされた作品が多いというのが挙げられるかと思います。しかもそれを人気作家が担当してるんですから今読んでもたまらんわけですよ。


少年ブック

少年ブックと聞いて、「懐かしい!」と思われた方も、「そんなもん知らん」と思われた方もお付き合いいただけると幸いです。

少年ブックは、1959年1月に創刊されました。作家陣は実に豪華!まぁ、当時としては若手だったのでしょうが、後に大家となられる方の作品が多数掲載されているんですよ。

昭和44年2月号 

少年ブック

少年ブックにはコミカライズ作品が意外に多く、しかもそれを有名作家が担当しているというところがミソなんです。興味深い作品ばかりですので、今回はそこんところをご紹介しますね。

因みに少年ブックは、1969年4月号を以って「別冊少年ジャンプ(後の月刊少年ジャンプ)」と統合され、廃刊となりました。
僅か10年ほどなんですね。されど日本の漫画界に確かな足跡を残した栄光の10年でもあります。

バンパイヤ

最初に登場して頂くのは、この時代、日本漫画界の最大のスター手塚治虫です。少年ブックには、「新選組」「ビッグX」「フライングベン」「グランドール」などを掲載しています。
アニメ化もされた「ビッグX」も素晴らしいですが、ここはひとつ「バンパイヤ」を推すことにします。

著)手塚治虫

バンパイヤ

実は「バンパイヤ」は週刊少年サンデーに連載されていました。少年ブックに連載されたのは第2部にあたります。
人間がオオカミに変身するという第1部に対し、第2部はウェコという猫のような動物が人間に変身すという物語です。手塚治虫らしい展開ですね。

「バンパイヤ」は、変身したオオカミだけがアニメという変則的な実写版としてテレビ化されました。主役は杉下右京としての役が近年すっかり板についている水谷豊。因みにこの作品は彼のデビュー作です。

このテレビ版、いくら異色の怪奇漫画が原作とはいえ、今となっては、とても子供向けの番組とは思えないような昭和独特のおどろおどろしさですね。

因みに「バンパイヤ(第2部」は、少年ブックが休刊となったことで未完となっています。

怪奇大作戦

「バンパイヤ」は確かに異色の怪奇漫画ですが、更に怪奇な作品が少年ブックには掲載されていました。その名もズバリ「怪奇大作戦」です。
「怪奇大作戦」もまた少年ブックに掲載される前に、影丸譲也(その後:中城けんたろう)の作画で少年キングに連載されていました。少年ブック版では作画は「8マン」や「月光仮面」で有名な桑田次郎が担当しています。

著)桑田次郎

怪奇大作戦

桑田次郎の画は実にスタイリッシュで見ていて気持ちのいいものですが、「怪奇大作戦」に関して言えば、テレビ版に軍配を上げざるを得ません。それほどまでにテレビ版は素晴らしい!制作した円谷プロダクションの最高傑作といってもいいのではないかと思える出来栄えです。

泥沼のベトナム戦争などもあり、世界的にも60年代後半は暗かったですね。「バンパイヤ」や「怪奇大作戦」はそうした世相を反映しているのでしょう。そこんところが今観ると面白いんですよね。2度と作ることが出来ない作品といっていいでしょう。

遊星仮面

なにも世相を反映しているのは「バンパイヤ」「怪奇大作戦」だけではない。当然です。どのような漫画も程度の差こそあれ世相を反映しています。世相、、、暗いんですよね、この時期。しかし、それ故に深い作品が生まてもいるわけですよ。

主人公のピーターは、地球人とピネロン人の宇宙混血児。宇宙混血児?! なんか、もう、そこんとこからして暗澹たる気持ちになりますね。そんな主人公が大活躍するのが「遊星仮面」です。
作者は楠高治で、桑田次郎のアシスタントをしていたというキャリアを持っています。

著)楠高治

遊星仮面

遊星仮面の声を務めたのは藤田淑子。「キテレツ大百科」のキテレツの声で有名ですね。「ガラスの仮面(2005年版)」の月影先生でもあります。

関連する投稿


映画「ベン・ハー」をフルで無料視聴できる動画配信サービスを比較!

映画「ベン・ハー」をフルで無料視聴できる動画配信サービスを比較!

『ベン・ハー』は、1959年公開のアメリカの叙事詩的映画。原作ルー・ウォーレス、監督ウィリアム・ワイラー。チャールトン・ヘストン、スティーヴン・ボイドらが出演したこの作品を無料視聴できる動画配信サービスをご紹介します。


映画「北北西に進路を取れ」をフルで無料視聴できる動画配信サービスを比較!

映画「北北西に進路を取れ」をフルで無料視聴できる動画配信サービスを比較!

『北北西に進路を取れ』は、1959年公開のアメリカのスパイスリラー映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はアーネスト・レーマン。ケーリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント、ジェームズ・メイソンらが出演したこの作品を無料視聴できる動画配信サービスをご紹介します。


司馬遼太郎の傑作歴史小説 『竜馬がゆく』が初の漫画化! コミカライズを手がけるのは『コウノドリ』の鈴ノ木ユウ

司馬遼太郎の傑作歴史小説 『竜馬がゆく』が初の漫画化! コミカライズを手がけるのは『コウノドリ』の鈴ノ木ユウ

司馬遼太郎の傑作歴史小説『竜馬がゆく』のコミカライズ版が連載開始されました。『コウノドリ』(講談社)の作者・鈴ノ木ユウさんによるもの。また、その『コウノドリ』が、4月28日(木)発売の「モーニング」22・23合併号より新シリーズ「新型コロナウイルス編」の集中連載が開始されます。


大ヒット映画作品を連発した映画監督『伊丹十三』家族・死因・本当に自殺?等々!!

大ヒット映画作品を連発した映画監督『伊丹十三』家族・死因・本当に自殺?等々!!

大ヒット映画作品を連発した映画監督で有名な伊丹十三監督。元々はマルチタレントとして活躍されていて実は監督デビューは51歳と遅咲きだったと言います。そんな伊丹さんを色々まとめてみました。


OVA版【エンジェル伝説】凶悪な顔・心優しい性格!北野誠一郎の武勇伝を振り返る!

OVA版【エンジェル伝説】凶悪な顔・心優しい性格!北野誠一郎の武勇伝を振り返る!

「きええええええええええええええええ」の奇声でお馴染み、北野誠一郎の活躍を描いた『エンジェル伝説』。原作コミックの人気ぶりから、OVA化も実現しました。今回の記事では、そんなOVA版『エンジェル伝説』の本編動画やストーリー・魅力を紹介したいと思います。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。