『帝都物語』とは?
荒俣宏さんによる小説を原作として、実写映画・アニメ・漫画などマルチメディア展開されたコンテンツとなります。大正時代から昭和初期を舞台に物語が展開されており、帝都の破壊を目論む魔人と、それに立ち向かう人々との戦いを描いた作品となっています。
史実や実在した人物をストーリーに絡ませていますが、風水・陰陽などの神秘的な要素を取り入れたSFチックな内容に仕上げられているのが特徴的です。
アニメ版『帝都物語』のあらすじ
OVA版として制作された『帝都物語』は、原作小説の『神霊篇』から『龍動篇』にあたる内容を映像化したものとなっています。この点においては、実写映画『帝都物語』と同様です。
明治末期、実業家の渋沢栄一は陰陽師や物理学者に協力を求めて『東京改造計画』を進めていました。『東京改造計画』とは、帝都を軍事的・神格的に守りを固めようとするもの。しかし、平将門の怨霊をつかって帝都を崩壊させようとする魔人・加藤保憲が現れたことで事態は急変します。加藤は平将門の霊媒となる霊能力者・辰宮由佳理を見つけますが、平将門の力をうまく扱えず、その代わりに、由佳理の胎内にサイキックパワーを潜ませるのでした。後に、由佳理に宿った命をめぐって悲劇が訪れます。
魔人・加藤のの野望を阻止すべく、陰陽師である平井保昌や文豪の寺田寅彦が立ち上がり、激闘を繰り広げるのでした…
アニメ版『帝都物語』の魅力・面白いポイント
魔人・加藤が放つ圧倒的な存在感
声優を担当しているのは嶋田久作さんで、実写映画においても加藤保憲役を演じた俳優。
アニメ版のキャラクターデザインも実写映画での加藤保憲そのもので、実写映画のイメージをそのまま再現しているといった印象です。実写映画での嶋田久作さんの怪演ぶりは、後世の映画界に語り継がれるほどのインパクトを残しました。そういった意味でも、このキャスティングは映画ファンにとっても嬉しいものでしょう。
このインパクト抜群の存在が与えた印象は大きく、後世の作品においても、この加藤保憲をオマージュしているであろうキャラクターが生まれています。
ベガ / ストリートファイターⅡ
白熱のサイキックバトル
実写映画では再現しきれなかったところもアニメ映像なら、原作に近いイメージで描くことが可能となり、その迫力のある戦いぶりに思わず息を飲んでしまいます。
自分自身を犠牲にして戦ってくれた能力者たちも充分に強くて、魔人・加藤をいいところまで追い詰めましたが、結果的には魔人・加藤の圧倒的な強さを強調することに。神秘的な力をもつ能力者同士の戦い、それだけで少年誌の人気コミックのような魅力があって、ついつい視聴するほうも熱くなってしまうものがあります。
辰宮雪子の出生の秘密
そのことで、雪子の出生の秘密は終盤まで明かされることなく、視聴者を本編に惹きつける要素になっていました。確かに実兄である洋一郎と由佳理の子供であるなら、近親相姦の末に生まれたことになり、禁忌の存在ということになってしまいます。
母親である由佳理や洋一郎がその事実を隠していたことも自然のことのように思えます。
しかし、雪子自身は洋一郎が父親であることを知っていた様子で、自ら洋一郎をお父様と呼んだことで出生の秘密が明かされました。その事実を知っていながら、伯父として接して日常生活を送るのも辛かったことでしょうね。
それぞれの恋愛模様
恵子は良妻を演じながらも、洋一郎と由佳理の只ならぬ関係に気付いている様子。健気で立派な女性であるがゆえに、その境遇が可哀想になってきて胸が痛くなります。
結果的に恵子は魔人・加藤との戦いに敗れ、鎮めるためと言いながら、身も心も捧げてしまいます。仕方なく自分自身を犠牲にしたようにも見えますが、最後の恵子の満ち足りたような表情は自分の本当の居場所を見つけたような気がしてなりません。
帝都崩壊という大きな野望を扱った物語ではありますが、登場人物たちの間で激しく揺れ動く恋愛感情を描き、結末もそこに帰結するといった締め括りをしています。お互い心の隙間を埋め合うようなカップルが誕生して、微笑ましい終わり方だったように思います。
アニメ版【帝都物語】の本編動画
アニメ版【帝都物語】まとめ
アニメ版『帝都物語』の魅力といえば、魔人・加藤の圧倒的な存在感、白熱したサイキックバトル、辰宮雪子の出生の秘密、どろどろした恋愛模様といったところを挙げさせていただきます。
価値観は人それぞれなので、本編を視聴して色んな感じ方をすると思います。こんな場面や要素も面白いポイントとしては外せないでしょう、といったご意見があなら、ぜひコメントに残してくださいね。この機会に、『帝都物語』アニメ版・実写の映画版を見比べてみては如何でしょうか。