『修羅の門』とは?
『修羅の門』
全日本異種格闘技選手権までの流れ
そのことを知った神武館館長の龍造寺徹心は、九十九に戦いの場を与えるべく、全日本異種格闘技選手権の開催を発表。記者会見を行ない、「名実ともに日本で最強の男を決めよう」と大々的に参加者を募るのでした。
大会には九十九が出場することが表明され、さらに驚くことに神武館の代表として、館長の徹心も出場することも発表されました。このことは日本の格闘技界に大きな波紋を与え、九十九に道場破りされた格闘技団体など、それぞれの分野で実力ナンバー1を誇る格闘家たちが次々に参加を表明することになります。
トーナメントで優勝するためには対戦相手・当り順による有利・不利は付きものですが、九十九は敢えて実力ある強者たち全員と戦うことを自ら選んだのです。周囲はざわつきましたが、九十九の有利にトーナメントを勝ち進めることを自分から捨てる選択に異を唱える者はいませんでした。
こうして九十九は全日本異種格闘技選手権において、本命と呼ばれる格闘家全員と戦うといった組み合せが実現しました。
陸奥九十九VS竹海直人
グローブはずしなよ
試合が始まろうとしたとき、グローブを着用して試合しようとする竹海に対し、九十九は「グローブをはずしなよ」と声をかけます。大会ルールでは、グローブの着用は出場者の意思に委ねられていました。
グローブをはずすのはルール違反に該当せず、九十九も素手で戦うつもりです。しかし、竹海は、キックボクシングはグローブを着用して戦う競技であること、対戦相手の多くはアマチュアであり、素手で殴ると怪我をさせてしまう危険が高くなるという理由からグローブを着用して戦うつもりでいました。
九十九の言葉に、竹海はあくまでグローブをはずさないという姿勢を崩しません。
いよいよ試合開始
試合開始の直後から、竹海は多彩なパンチのコンビネーションをみせ、九十九にクリーンヒットさせるのでした。強烈な攻撃をまともに受けた九十九でしたが、ダウンせずに踏みとどまり、その様子をみた竹海も追撃はせずに九十九の様子を伺います。すると九十九は口を開き、「やっぱりグローブじゃ人は殺せないよ。グローブをはずそうよ。」と言います。
しかし、竹海は頑なにグローブをはずそうとせず、ファイティングポースを崩そうとしないことから、九十九はグローブをはずさせることを諦め、本格的に竹海と向き合って試合を始めるのでした。
竹海と九十九のヒジ技
再び竹海がヒジを繰り出そうとすると、その瞬間に攻撃したはずの竹海が後方に吹っ飛びました。九十九の口から「陸奥圓明流肘技・蛇破山」と技名が語られ、ヒジ打ちしたような格好をしており、竹海は九十九のヒジを受けて大きなダメージを受けました。
あまりに早くて見えなかった攻防ですが、スローモーションで動画が再生されると、竹海がヒジを当てようとした瞬間、九十九は正拳をヒジに当てにいき、その拳によって、ヒジの攻撃を下方に流していたのです。そして、攻撃を流すだけで九十九の動きは止まらず、そのまま流れるように、竹海の鎖骨辺りにヒジを叩き込んでいたのです。
ラジャダムナンの奇跡
この光景はラジャダムナンの奇跡とまで言われたものの再現で、竹海とムエタイ王者との試合で、ムエタイ王者を倒したときにみせたフィニッシュパターンを思い浮かべるものでした。
あまりに速い攻撃に防戦一方の九十九でしたが、九十九自身も動きのギアを上げ、竹海のハイキックに上段回し蹴りを合わせます。両者の蹴りが相打ちで極まると、九十九は振り返って戦うことを止め、舞台袖にいた木村に、救急車を呼ぶように言います。
急に戦うことを止めた九十九を不思議に思う木村でした。しかし、竹海も立ち尽くしたままで、九十九に攻撃を仕掛けてこようとはしません。この時、すでに竹海の意識は失われていて立ったまま気絶していました。
お互いに蹴りが入って相打ちにように見えた応酬でしたが、九十九の上段回し蹴りは竹海のハイキックを僅かに上回り、その意識を断ち切っていたのです。注目するべきポイントは、キックボクサーが本気で放った蹴りに対して、九十九の上段回し蹴りが上回ったということでしょう。
こうして九十九は真正面からキックボクサー・竹海直人に立ち向かって勝利を収めました。
『修羅の門』第二部を読み直そう
第二部の序盤と九十九VS竹海戦を振り返っていきましたが、如何だったでしょうか?
序盤も面白いですが、ここから『修羅の門』の魅力はさらに加速していき、この後にも、血湧き肉躍るといった展開が続いて本編に惹き込まれてしまいます。
ぜひこの機会にご覧になって、陸奥圓明流や陸奥九十九の伝説を見届けてくださいね。