刑事ドラマ
皆さんは刑事ドラマお好きですか?私は好きです。もう大好き。
刑事ドラマ。東映によると1950年代からシリーズで製作された映画「にっぽんGメン」や「警視庁物語」がその原点らしく、日本で初の刑事ドラマは1957年9月に日本テレビで放送された「ダイヤル110番」だそうです。
そして、1961年10月からは、日本初の1時間連続ドラマとして「特別機動捜査隊」が放送開始され、日本の刑事ドラマが確立されていきます。
「特別機動捜査隊」は全801話、なんと1977年3月30日まで実に15年半に渡って放送されました。現在でも60分刑事ドラマとしては最多放送回数を誇っています。まぁ、金字塔ですね。こいつが日本の刑事ドラマを完成させたといってもいいのかもしれません。
が、「特別機動捜査隊」を本流とするならば、そこから無数に枝分かれして制作された様々な刑事ドラマ、これが実に面白いのです。
刑事くん
日本FP協会が2019年に発表した「小学生が将来なりたい職業ランキング」トップ10に刑事は入っていません。刑事。人気がないようですねぇ。
最近高視聴率の刑事ドラマと言えば「相棒」ですが、しかし、杉下右京は中年には大人気とはいえ、小学生が憧れる存在とは言い難いですもんねぇ。もっと若い子にアピールする刑事ドラマが誕生すると将来刑事になりたいという子供が増えるんじゃないかと思います。
70年代、刑事は小学生の間で憧れの職業のひとつでした。その証拠に1971年に子供向けの刑事ドラマが制作され大ヒットを記録しています。桜木健一主演の「刑事くん」です。

刑事くん
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大ヒットしたテレビドラマ「柔道一直線」終了と同時に主役だった桜木健一を起用したことが「刑事くん」成功の要因でしょう。当時の桜木健一は勢いがありましたからね。
オープニングの「母さん!辞令だ!刑事になったよ!」というセリフが印象的で、子供たちはみんな真似をしたものです。
「刑事くん」は、1971年から1976年にかけて毎週月曜日の19:30 - 20:00に放送されていました。4部構成で桜木健一が主演したのは1部から3部(1971年9月6日~1975年11月17日)までです。4部は星正人が務めました。
太陽にほえろ!
最近は妙にリアリティがある。そうでなければ今のご時世ではウケないのかもしれませんが、もっと荒唐無稽であってもいいと思うんですよね。何の話かと言えば、刑事ドラマです。昨今の刑事ドラマは地味。昔は違ったんですよ、ピストルをバンバン撃って、車をガンガン壊してね。はみだし上等ってなもんだったですよ。
その代表といえば、そう、1972年から放送が開始された「太陽にほえろ!」です。

太陽にほえろ!
「太陽にほえろ!」は、「特別機動捜査隊」には及ばないものの全718話も制作されました。1972年7月21日から1986年11月14日まで毎週金曜日20:00~21:00に放映されていました。
「太陽にほえろ!」の特徴の一つに刑事の殉職と言うのもがあります。これは刑事ドラマにおいて大発明と言えますよね。
最初に殉職したのは萩原健一演じるマカロニでしたね。
当初はマカロニの成長物語として番組を制作していく予定だったものを、萩原健一が番組降板を希望したため殉職させることにしたそうです。このため後任となる主役刑事が次々と死んでいくことに!
主役の殉職は、ジーパン(松田優作)、テキサス(勝野洋)、ボン(宮内淳)、スコッチ(沖雅也)、ロッキー(木之元亮)、スニーカー(山下真司)、ラガー(渡辺徹)と続きます。それにしても演じた俳優がそれぞれスターになっていったのですから「太陽にほえろ!」の影響力はすごかったってことの証明でもありますよね。
ロボット刑事
1971年「刑事くん」、1972年「太陽にほえろ!」ときて、1973年は刑事ドラマとして、異色中の異色、問題作といってもいいような番組が制作されました。「ロボット刑事」。この番組を観たことのない方でも番組名からピンときますよね。そうです。ロボットが主役です。
「ロボット刑事」は、1973年4月5日から同年9月27日まで全26話、毎週木曜日の19:00 - 19:30に放送されていました。

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原作となるのは「週刊少年マガジン」で連載されていた漫画で、作者は「仮面ライダー」で旋風を巻き起こしていた石森章太郎ですね。
「仮面ライダー」との違いは、「ロボット刑事」は公務員と言うことでしょうか(笑)「ロボット刑事」の主人公K(ケイ)は、警視庁の特別科学捜査室に配属されているんですよ。
当時の石森 章太郎はものすごいヒットメーカーで、「仮面ライダー」」以外にも「変身忍者 嵐」「人造人間キカイダー」「イナブマン」に「秘密戦隊ゴレンジャー」と多くの変身ヒーローものを生み出しています。
日本中で変身ブームが起こっていたのですが、その真っただ中にあって「ロボット刑事」は変身しないんですよね。刑事ドラマとしてだけではなく、ヒーローものとしても異色だったんですよ。
俺たちの勲章
松田優作に中村雅俊という人気の2大スター夢の競演が刑事ドラマで実現しました。「俺たちの勲章」。1975年4月2日から1975年9月24日まで全19話、毎週水曜日20:00 - 20:55に放送されていました。

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2人ともカッコ良かったですよ。刑事ドラマといえば、仲間意識やチームワークを重視して描かれることが多いわけですが、主人公コンビは厄介者として孤立しています。作風は随分と違いますが「相棒」もその流れですよね。松田優作は「太陽にほえろ!」でもそうでしたが、アウトロー、それでもってスーツを着用しないという刑事スタイルを確立しましたね。ロボットでさえジャケットを羽織っていたのにね。(笑)
メインテーマは、トランザムが歌う「あヽ青春」。挿入歌は中村雅俊で「いつか街で会ったなら」でしたが、作曲を共に吉田拓郎が手掛けています。というか、 吉田拓郎は番組の音楽担当で、話題になりました。
西部警察
1976年1月にはパート3まで続くことになる刑事ドラマ「大都会」がスタートします。これは石原プロモーションによる制作だったのですが、実はもっとスケールの大きなドラマをつくりたかったのだそうですよ。それが実現するのは3年後になります。
ところで、「俺たちの勲章」で松田優作演じる中野祐二が打ちまくっていたのはS&W M29 6.5インチ(因みに中村雅俊演じる五十嵐貴久はコルト・ガバメント45オート)。警察では各自好きな拳銃を使っていいのかどうかは知りませんが、ついに、ショットガンを派手にぶっ放す人物が主人公となる事態が訪れました。そうです。石原プロが作りたかったスケールの大きなドラマとは、こういうことだったのです。
それは1979年10月から1984年10月まで放送された「西部警察」で実現したのでした。

西部警察
警視庁西部警察署捜査課の大門部長刑事(渡哲也)を中心とした“大門軍団”の刑事たちと、 それを見守る木暮課長(石原裕次郎)が凶悪犯罪に立ち向かう姿を描くポリスアクション作品。
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主人公は渡哲也演じる大門 圭介。いや、カッコよすぎるぞ大門。それにしても西部警察署捜査課の人たちは拳銃撃ち過ぎじゃないですかね?しかも街中で。さすがにこれは危険極まりないですよ。が、これがいいんです。西部警察は、これでなくてはいけません!
スカッとするとはまさしくこのことでしょう。これ以上のカタルシスなどこの世には存在しませんよ。制作はテレビ朝日と石原プロモーションということで、これ以降、石原軍団が確固たるものになっていくんです。
噂の刑事トミーとマツ
1977年「特捜最前線」スタート!これは10年間も続いた大ヒット番組です。「太陽にほえろ!」もそうですが、「特捜最前線」は刑事や犯人の人間模様を描く群像劇となっていました。これぞ正しい刑事ドラマ、王道と言ってよいでしょう。ヒットしたのも納得です。
しかし、1979年にそれとは対極にある刑事ドラマが制作され人気を博しました。毎週水曜日20:00~20:54まで放送されていた「噂の刑事トミーとマツ」がそれです。もう、何というか、番組名からして軽いです。

噂の刑事 トミーとマツ トミー
アメリカのテレビドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」をベースに制作されたと言われている「噂の刑事 トミーとマツ」。これはいわゆるデコボコ・コンビですね。このコンビネーションが絶妙だったのですが、「甘いマスク」を絵にかいたようなトミー役の国広富之が女性のハートをカッチリと掴みました!
噂の刑事トミーとマツ」は第1シリーズが1979年10月17日~1981年3月25日、第2シリーズが1982年1月13日~12月22日まで制作されました。
因みに、内容的に関連性はなかったのですが、1986年12月、同じく国広・松崎のコンビで「白バイ野郎!トミー&マツ」という単発ドラマが放送されています。
あぶない刑事
さて、80年代。80年代を代表する刑事ドラマは何でしょう?長寿番組と言うことでいえば「はぐれ刑事純情派」でしょうかね。1988年4月6日~ 2009年12月26日迄、全444話も制作されています。しかし、これは80年代を代表するというよりも、90年代も、2000年代も代表する作品となっていますね。
純粋に80年代を代表する刑事ドラマとなると、ここはやはり「あぶない刑事」ではないでしょうかね。

あぶない刑事
舘ひろしと柴田恭兵の共演で贈る、破天荒な刑事たちの活躍を描くバディ刑事アクション。港警察署捜査課のタカこと鷹山敏樹とユージこと大下勇次のコンビが、犯人逮捕のために横浜の街を駆け抜ける。
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「あぶない刑事」は、1986年10月5日~1987年9月27日まで毎週日曜21:00~21:54に放送されていました。
タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)のコンビは最高で、さらにカオル(浅野温子)とトオル(仲村トオル)のからみが良かったですよねぇ。
当初は半年間で終了する予定だったらしいのですが、徐々に人気が出てきて結局放送は1年間続きました。更に終了の翌年には早速続編となる「もっとあぶない刑事」がスタートしています。
また、テレビと並行し1987年「あぶない刑事」として劇場映画第1作が制作され、「またまたあぶない刑事」「もっともあぶない刑事」「あぶない刑事リターンズ」「あぶない刑事フォーエヴァー」「まだまだあぶない刑事」そして2015年2月に公開された「さらばあぶない刑事」まで7作も制作されています。
踊る大捜査線
それでは90年代。90年代を代表する刑事ドラマは何だと思いますか?長寿番組と言うことでいえば、そりゃ「はぐれ刑事純情派」でしょう。が、これはいい。これはもう90年代にとどまりませんから。
90年代を純粋に代表する刑事ドラマ、それはやっぱりこれしかないでしょう。1997年から放送が始まった「踊る大捜査線」ですよ。

踊る大捜査線
織田裕二演じる熱血刑事 青島俊作の「事件は会議室で起こっているんじゃない!現場で起こっているんだ!!」の名セリフが忘れられませんね。柳葉敏郎、深津絵里、ユースケ・サンタマリアと周りの出演者がとても良かったわけですが、とりわけ いかりや長介は素晴らしかったです。まさしく日本のモーガン・フリーマンですね。
しかし、青島くんの熱いセリフが印象的なのですが、「踊る大捜査線」って全体的にはユルイんですよね。勿論いい意味でですが、笑いの要素をふんだんに盛り込んであります。これがまた良かったというわけですよ。
「踊る大捜査線」は1997年1月7日から3月18日まで毎週火曜日の21:00 - 21:54に放送されました。その後はスペシャル版、映画、舞台、更にはスピンオフ作品までも作られたのは皆さんご存じの通りです。「踊る大捜査線」は、連続ドラマ版が終了してから人気が高まったという、ちょっと変わったケースの刑事ドラマですね。
2000年になると「相棒」がスタートします。なんだかんだで20年も続いている怪物番組です。今後「相棒」を超える刑事ドラマって出てくるんでしょうかね?いえ、きっと出てきます。なんたって刑事ドラマは不滅ですからね。これからも目が離せませんよ。