エピソードに事欠かなかった男、落合英二

エピソードに事欠かなかった男、落合英二

元中日ドラゴンズの選手で現在は韓国のプロ野球チームサムスン・ライオンズの二軍監督を務める落合英二の経歴や数々のエピソード、珍記録などを紹介します。


無名の存在からドラフト候補へ

落合英二は小学4年生で父の指導の下野球を始めました。
その後めきめきと成長をし、名門作新学院へ進学。
エース投手となるも同じ年代栃木県は優れた選手が多く、あの作新学院でも県大会を勝ち進むのは困難なことでした。

落合自身が高校在学中の最高記録は3年生の夏、県大会でのベスト4でした。
この時点では落合英二という男はまだ無名の存在でした。

高校卒業後は日本大学へ進学。
そこで頭角を現し優勝こそなかったものの主軸として活躍した。
球速も伸び、当時としては珍しかった150キロオーバーの球速をマーク。
国際大会などにも多く出場しドラフト目玉候補として注目されるようになります。

しかしドラフトイヤーとなる大学4年生の時投球の際に右ひじを骨折。
一時は選手生命も危ぶまれるほどだったため多くのスカウト陣は落合獲得を見送ります。
そんな中、中日ドラゴンズは落合を指名します。
回復可能、との判断で外れ1位ではありましたがドラフト1位で指名し、無名の存在だった落合英二はプロ野球選手となったのです。

ドラゴンズ現役時代の軌跡

サファイア王子

1992年、プロ入り1年目にはまず大学時代の故障した肘の手術を敢行。
骨折した箇所を止めるためボルトを埋め込むのが通常ですが、投手の生命線である肘であったため力の伝達が均一のいくようにとのことでサファイアを埋め込む大手術を行いました。

このことから一部ファンからは「サファイア王子」と称されるようになりました。

落合英二

霊感

肘の完治後1年遅れでプロデビューを果たした落合。
当初はショートリリーフ1イニング限定という起用法でしたがその後本格的に中継ぎに。
優勝争いの中落合も活躍します。

翌年には先発に転向。ここでも活躍を見せます。
このころから落合に関して聞かれるようになったエピソードが「霊感」です。

ある時、主砲であった大豊泰昭に「これを使えば打てる」と自分のバットを差し出し、大豊はその打席本塁打を放ちました。

また、同僚の山崎武司にもバットを選んだところプロ9年目にして本塁打王を獲得。

1999年には、テレビ番組の野球コーナーでどこの球場で優勝を決めるかと質問されると、「ブルペンが外にある球場で星野監督が胴上げされるのが見える」とこたえ、その年実際にブルペンが外にある神宮球場でリーグ優勝を決めている。

2009年には対阪神戦にて一死満塁の場面で藤井淳志が打席に立つと落合は「藤井が颯爽とベースを回る姿が見える。」といった。
藤井はホームランバッターというわけでもなく、このシーズン満塁の場面での打率も決してよくはなかったのにである。
結果、その打席で藤井はプロ初となる満塁本塁打を放ったのである。

セットアッパーとして

肝心の投手成績は試合ごとの波が激しくそれまで完ぺきに抑えていたのに突然崩れて点をとられ、ベンチに戻って星野監督に殴られる、なんて映像も流れたことがありました。。

1998年、転機が訪れます。
投手コーチに就任した宮田征典により当時の抑えであった宣銅烈に繋ぐセットアッパーに起用されたのです。
この起用が落合にハマり、自己最多となる55登板を記録し最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得しました。

以降もセットアッパーとして活躍し、中日の監督が変っていっても落合の起用法はほとんど変わることなく中日一筋で投げ切りました。

落合英二

現役引退

2006年、プロ野球の投球フォームのルール改正により落合もフォーム改造を余儀なくされ2軍で調整などしたが1軍に上がっても結果を出せず、シーズン途中で再び2軍に降格となった。

2軍降格が決まった日、ホテルの部屋に戻ると何人もの選手が声をかけに訪れたという。

その年チームはリーグ優勝を果たすが落合はその場に居る事は叶わなかった。

落合英二を慕う荒木雅博や朝倉健太は帽子のつばの裏に落合の背番号である「26」を書き込み、一緒に戦っているんだ、という気持ちで挑んだという。
監督胴上げの際にも落合を支えてきた永田トレーナーが「26」と書かれたプレートを掲げていたことは有名である。

ビールかけの際には福留孝介が落合のユニフォームでビールを浴び、そのビールのしみ込んだままのユニフォームを落合にわたしたらしい。

そしてその年に戦力外通告を受ける。
球団側はコーチのポストを用意したが現役にこだわりこれを固辞。
しかし現役の話はなく、引退となった。

記録の数々

プロ野球選手生活15年で37勝45敗24セーブの記録を残した落合英二ですが、
1球勝利、1球セーブ、1球ホールド、1球敗戦、そして0球登板(交代を告げられマウンドに上がるも雨天中断その後降板)という珍記録も持っています。

落合英二

指導者として

現役引退後

現役引退後は解説者を3年。

その後かつての同僚である宣銅烈が監督を務める韓国のサムスン・ライオンズにてコーチの研修を受け、その後コーチに就任し手腕を高く評価された。

その後日本に戻り千葉ロッテマリーンズのコーチにも就任したが2017年の秋季キャンプよりサムスンに合流し、2018年シーズンよりコーチに再就任した。

現在

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