これが『ダンジョンキーパー』だ!

『ダンジョンキーパー』はイギリスのブルフロッグという会社が開発し、1997年にアメリカのエレクトロニック・アーツから発売されたゲームです。
主人公は悪のダンジョンキーパーとなり、金塊を部下に掘らせて資金を手に入れます。それを元手にして、今度はダンジョンに設備を整え、部下を鍛えて、やって来る敵を迎え撃つというシミュレーションゲームなのです。
シミュレーションゲームとは?
ゲームには様々な種類があることはご存知だろうと思います。例えば『インベーダーゲーム』に始まるシューティングゲーム。『ドラゴンクエスト シリーズ』などで有名なロールプレイングゲーム。他にもパズルゲームや、レーシングゲーム、スポーツゲームなどがあります。
そんなたくさんあるゲームの種類の中に、シミュレーションゲームというものがあります。
ちょっとこの文章ではわかりずらい気もするので、もう少しわかりやすく具体例をあげて説明したいと思います。
例えばスポーツゲームというものがあります。それが野球であれば、通常はプレイヤーはピッチャーとして球種を選んで投げたり、バッターとして球にタイミングを合わせて打ったりするわけです。それを直接操作するのはプレイヤーである、あなたです。
それに対して野球シュミレーションゲームでは、あなたはピッチャーやバッターに指示を出すことしかできません(それすらもできないゲームもあります)。ピッチャーにはそれぞれ投げられる球種や球速、コントロールの良さ等が数値として決まっていて、その数値の組み合わせによって結果が決まるのです(ただし運の要素もあります)。
恋愛シミュレーションゲームの場合は「プレイヤーのルックスや成績やスポーツ能力などが数値として」決まっていて、それで彼女ができるかどうかの結果が決まります。
都市建設シミュレーションゲームでは「都市の治安や交通の便、税率」などで住民の満足度が決まり、それで都市が発展するかが決まります。

では今回の『ダンジョンキーパー』はどのようなシミュレーションゲームかというと、名前を付けるとするなら、リアルタイム制ダンジョン経営管理シミュレーションゲームと言えるのではないかと思います。
資金を得てダンジョンを作成し、時には物を売ったりして経営する。クリーチャー(モンスターのことです)が資金を無駄遣いしたり、機嫌を損ねないよう管理する。『ダンジョンキーパー』は、そのようなことをリアルタイムで行うゲームなのです。
基本的な流れ
主人公は悪のダンジョンキーパーです。配下のクリーチャーを働かせるには、給料を払うだけでなく、手で叩くという暴力によって従わせることもできます。ただし機嫌を損ねたり時には死んでしまうので、加減も必要。

ゲームの基本的な流れとしては、まずはインプ(小鬼のようなもの)を召喚して、金塊を掘らせます。これを作った宝物庫に運ばせます。
その資金も使って、クリーチャーが寝るためのねぐら、食べるための鶏小屋、身体を鍛えるための訓練室を作ります。狭いと不機嫌になるので拡張、もしくは互いに仲が悪いクリーチャーもいるので、複数作って出会わないようにしたりもします。
他、魔法使い系のために研究室を作ったり、クリーチャーをグループ化させるために兵舎を作ったりもします。
こうしてどんどん掘らせて領土を広げ、いずれやって来る敵(勇者たちやライバルのダンジョンキーパー)のために訓練を続けます。
そして敵がやって来たら全力で立ち向かうことに。こちらのダンジョンハート(魔力の源)を破壊されるとダンジョンキーパーの負け、敵を滅ぼすとステージクリアです。
こういうところが凄い!

自由度が高い
最終的に敵を倒しクリアさえすれば、それ以外は何をやっても自由です。どこからダンジョンを作り始めてもいいですし、どこに何の部屋を配置してもいいのです。どんどんダンジョンを広げる作戦もあり。少しずつ堅牢なダンジョンを作る作戦もあり。作れる部屋の書類も豊富で、その部屋によって召喚されるクリーチャーの種類も変わってきます。戦略は本当に自由なのです。
敵を寝返らせることができる
敵を生け捕りにして牢屋に放り込み、拷問室に入れて苦しめ、寝返らせることができます。敵のリーダーも拷問して仲間にできるという、凄い自由度。
機嫌が悪いと働かない
クリーチャーたちには機嫌があります。お金がなかったり、ねぐらや食料がないと不機嫌になります。部屋の作りが悪いと不機嫌になります。そしてやることがなくて暇でも、不機嫌になります。プレイヤーは、彼らの機嫌も管理しなければならないのです。
こういうところがマニアックすぎる!

ナレーションが酷くて素敵
ステージの前後にナレーションが入り、気分を盛り上げてくれます。ステージ1はこんな感じです。
捕虜の扱いは繊細に
敵クリーチャーを生け捕りにすると、インプが牢屋に運んでくれます。さて、ここからが少し面倒です。敵クリーチャーをそのまま牢屋に放置しておくと、餓死してしまいます。なので食料を与えて体力を回復させてから、拷問室に連れて行きます。うまく行くと寝返りますが、敵ダンジョンの構造を吐くということもあります。なので回復と拷問を繰り返して、どんどん情報を吐かせるという技も。
研究室はお静かに
ウォーロック(魔法使い)の仕事は研究なのですが、近くにクリーチャーがよく通る通路があるとうるさいらしく、不機嫌になります。しかし一方、鶏小屋やねぐらが近くにない場合も不機嫌になります。こんな面倒くさい老人は嫌ですね。
実戦にまさる訓練はない?
捕虜にした敵と、こちらのクリーチャーを同じ部屋に入れて戦わせれば、クリーチャーは経験値が増えて強くなります。お互い死にそうになったら引き離して回復させ、また繰り返すという技も。
変態もいる
味方のクリーチャーであるミストレスは拷問されたり、叩かれたりすると喜びます。
現在では遊べない?
こんな傑作ゲームを、ぜひ皆様にもプレイしていただきたいのですが、ここで残念なことをお伝えしなければいけません。
発売されたのがなにせ1997年と約12年も前のゲームですので、現在のOSに対応していないのです。
現在2019年でも、公式のエレクトロニック・アーツのホームページより『ダンジョンキーパー(英語版)』を入手できるのですが、この必須動作環境はWindows XP/Windows Vistaとなっています。
いちおうWindows10でも、発売されていたパッケージ版を買ってこれをインストールし、互換モードで起動すればプレイできるという報告もちらほらとネットで見かけるのですが…これもやはり断言はできないようです。
しかし! あきらめないで! 2014年にはスマホ版『ダンジョンキーパー』が発売されているのです!

オリジナルとはかなり違うそうなのですが、あの名作が今もプレイできるというのは嬉しいことです。
さあ、あなたも最高の気分で悪役を演じよう!
『ダンジョンキーパー』で悪いことは良いことだ!