「たかなシアター六番街」-ハウス・ジャック・ビルト-

「たかなシアター六番街」-ハウス・ジャック・ビルト-

たかなシアター六番街、今回お届けするのは「ハウス・ジャック・ビルト」です。


最近の楽しみと言ったら映画の公開を待つことくらいで、他はあんまりない。



きっとアレだよアレ、6月って祝日がないから心が荒んじゃったのだよ。



そもそも週5日出勤っておかしいと思いません?なぁ?なぁ?なぁ?なんで世の中は5勤2休にしたのだろう。誰か教えて下さい、エロい人。



まぁもうすぐふりぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜らんすになる亜妖ちゃんには、会社員だなんて言葉とは無縁になるんですけどね!



「ふりぃらんすになって何するの?」って?ニートだよ!(嘘です)

ハウス・ジャック・ビルト

思いっきり最近の映画でスミマセン

まず言い訳させて欲しいんだけど、本当は今回某運転手の映画とか、某ホテルの映画とか書こうと思ってたんです。



でもでも〜この映画、「ハウス・ジャック・ビルト」を観たら、紹介せずにはいられませんでした。



ま、これも言い訳なんだけど、この作品の舞台設定が1970〜80年代だからいいかなぁと思いまして……(う〜ん、こじつけ!w)

監督はあの「ダンサーインザダーク」「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」でお馴染みのラース・フォン・トリアー氏。

鑑賞した者を奈落の底へと突き落とした、「ダンサーインザーダーク」は特に有名ですね。

「うぉぉ、アレダメなんだよな……」と思った方はこの作品、無理かもしれません。



R18指定ということもあり、カンヌ国際映画祭では退席者が100人を超えたとか。

ですが個人的には鑑賞して良かった!と心から感じた作品ですので、ネタバレなしでご紹介致します。



ちょっと見てみたいけど勇気がない方は、ワタクシのコラムを読んでから決めましょう。

ゾッとするほど、魅力的

R18指定と聞いて、ワタクシはそれなりの覚悟をして行きました。



「鑑賞前に肉食べるのやめよ」とか、ね。



でもいざ映画館に着くと、マック広げて食べてる奴とかいたからたまげたんですけども。



「コイツ……出来る!」と思って見ちゃいました、スイマセン。てか映画館は持ち込み禁止デスヨ!



先に言っておくと、R18のわりにゴア描写は少なめ。ちょっと拍子抜けしました。

SAWシリーズ観られるなら全然余裕なんじゃないかなと思います。



それよりも主人公の頭のイカレ具合、そっちの方が大問題です。



この作品は「incident(出来事)」と称して5つのチャプターに分かれており、主人公・ジャックの12年間に渡る殺人を訥々と語ったもの。



ジャックとある男性の会話がところどころに挟まれおり、彼の心情や思想を語っています。



チャプターごとに「incident2」とか画面に出されるのですが、どう考えても

これにしか見えないワタクシが居た。ゲームのやり過ぎです。



「incident1」は初めて人を殺した日の出来事。



ジャックは独身の技師。見た目も普通で、頭がおかしいなんて全く分からない程の好青年。



冒頭部分だけなら、彼が殺人鬼になるなど予想はつきません。



ですが最初の殺人は衝動的。



付き合いの長い人間に憎しみが溜まって殺す~とかではなく、出会ったばかりの女性にカッときて、つい殴り殺してしまうというもの。



まぁ序盤の女性は殺されても仕方ないくらい腹が立つので、あまり同情できないのですが。



ここから彼の殺人劇が幕を開けたのでした。

死体は借りていた元ピザ屋の冷凍庫に保管しておき、殺人を重ねるたびに増えていくのです。



そしてジャックは誰かを殺す度に写真を撮り、ウフフと眺めていたり……もう本気のラリパッパですね。



一人、また一人と殺していくたびに、殺人への興味が増していくジャック。絞殺も回数を重ね、「このくらいの力で死ぬ」とデータを測っているくらいです。



「悪いことをしている自覚はあった」と作中で語っているのですが、ホントかよと言いたくなるレベル。



彼の中で、殺人はきっとアートの一環なのでしょう。



死体をまるで芸術作品のように扱ったり、「悪事を働いている」よりも「作品を創りあげている」ように見えます。



よくある殺人鬼のように、警察にバレないようにコソコソと~といった繊細さがあまりありません。



途中から「バレてもよかった」と語るまでに、彼の行動は過激化していきます。



「そろそろ警察気付こうや!」ってくらい、無能警察24時なんですが。



海外映画あるあるですね。あいつら仕事しろ。

観ていて頭が変になる?

上記を読んだだけでもジャックやべぇ……となりますが、実際はもっとヤバいです。



まず発言に一貫性がありません。



殺人に携わると人格も口調もコロコロ変わり、まるで多重人格の仙水忍のよう。(まさかの幽白ネタ)



マジで急にミノルになったりカズヤになったり、あんな感じです。幽白読んだことない人ゴメンネ。



そして警察にまで一貫性のない発言をかまし、わざと疑いをかけられるように仕向けるのが何より恐ろしい。



彼の上っ面の行動だけ見ると「おちょくってんのか!」と思いがちですが、普通にそんなことしませんよね?



行動はエスカレートしていき、突然人を轢いたり、ひと手間加えて殺したり、バリエーションが増えていくのにも狂気を感じる。



常にスリルを求めているのか、ジャックの深層心理が深すぎて怖い。マジモンのサイコパスです。



観ているうちにきっと嫌悪感に襲われること間違いなし。



このトリアー氏映画あるあるですが、生理的嫌悪感を抱かせるのが本当にうまい。

グロもゴアも結構耐性があるワタクシですら「うわぁ……」と思うシーンがありましたから。



直接的にお化けが出るとか、内臓ビロビロ出てくるとか、そういったものではないから余計に怖いのかもしれません。



うまく言えないんですが、今時の言葉であらわすと「見ていて不安になる」みたいな……。



本当にね、スクリーンを前にしていると胸がザワついてくるんですよ。



そこに追い打ちをかけるように、見ていて不安になってくるイラストや映像を作中に引用してくるから尚更ザワっとします。ゾクっともします。



ですがもう突き抜けていて、観終わった後には謎の爽快感に包まれます。



「不快なのに爽快!?」と皆さんを混乱させてしまうかもしれません。



でも本当に、ここまでくるとぶっ飛んでいて逆にいいわ!ってなるんですよ。

(多分ならない人もいるだろうけど)



私個人の感想としては、途中で退席するのはもったいないと思いますね。

ジャックの恐ろしさや、不快感に負けて離席しちゃんだろうなぁ、と想像できるけど、最後まで観ないと「一体今まで誰と会話していたのか?」が分からない。



そこを知ってこそ、また観方が変わるのではないかなぁと思います。



きっと「不快が爽快」言ってるワタクシも、ジャックに毒されているんだろうなぁ……。

で、結局おすすめなわけ?

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