1975年
1975年。1975年を代表する出来事と言えば、3月に「ペヤングソースやきそば」が発売されたということに尽きるのではないでしょうか?!この事実は外せないですね。

ペヤング ソースやきそば
他にも缶コーヒー「ジョージア」が発売されたり、スーパー戦隊シリーズの1作目「秘密戦隊ゴレンジャー」が放映開始されたり。そうそう、ローソンが設立されたのもこの年です。
1975年もいろいろとあったわけですが、音楽はどうか?といますと、今でも歌い継がれている、忘れることの出来ない曲揃い。
それでは早速いってみましょう。レコードの売上枚数でみる「邦楽年間ベスト10」!
第10位 冬の色
いきなり大物の登場ですね。第10位は、52.9万枚を売り上げた山口百恵の「冬の色」です。昭和を代表する歌手の1人となる山口百恵ですが、この7枚目のシングルで初のオリコンシングルチャートの1位を獲得しています。

冬の色
この時、山口百恵は15歳11ヶ月。この年齢でのオリコン1位は女性ソロ歌手としては当時の最年少記録だったそうです。
B面が「伊豆の踊子」となっていますが、これは同名の山口百恵主演の東宝映画の主題歌です。
第9位 我が良き友よ
かまやつひろし の「我が良き友よ」が70.1万枚を売り上げ第9位です。大ヒットして代表曲となったわけですが、かまやつひろし はこの歌詞のバンカラなイメージが嫌だったそうですよ。ムッシュというあだ名がついているくらい相当にスタイリッシュな人だっただけに嫌がったのも納得ですけどね。

我が良き友よ
作者の吉田拓郎とは前年「シンシア」で共演しています。旧知の間柄だっただけに、イメージをひっくり返したようなこの曲に かまやつひろし は相当驚いたそうです。
隠れた名曲として近年評価が高いB面の「ゴロワーズを吸ったことがあるかい 」(作詞・作曲:かまやつひろし)で、そのうさを晴らしています。(笑)
第8位 心のこり
近年、演歌というジャンルが注目されることが少なくなっているように感じますが、昭和と言う時代ではポップスと演歌のバランスが上手くとれていました。良いことです。
さぁ、8位に入りました。70.7万枚の売り上げ、細川たかし の「心のこり」です。

心のこり
4月1日に発売された「心のこり」は、細川たかしのデビュー曲です。この曲によって第6回日本歌謡大賞、第17回日本レコード大賞を始め、多くの新人賞をひとりじめしています。
新人であるにも拘らず、民謡で鍛えられたという高音の伸びは流石です!ここにレジェンドが誕生したというわけです。
第7位 22才の別れ
かぐや姫の5枚目にあたる大ヒットアルバム「三階建の詩」に収録されていた「22才の別れ」。当時から良い曲だとは言われていたこの曲を、かぐや姫解散後に伊勢正三が結成した「風」のデビュー曲に持ってきて70.8万枚の大ヒットとなりました。

22才の別れ
印象的なイントロのギターは、アレンジを担当した石川鷹彦が弾いています。
かぐや姫では、ほとんどの曲を南こうせつが作っており、伊勢正三はそれまで作ったことがなかったのだそうです。初めて作った曲が「22歳の別れ」と「なごり雪」だというのですからスゴイものですね。
第6位 ロマンス
この年、細川たかしと激しく新人賞を争ったのが岩崎宏美です。その彼女のセカンドシングル「ロマンス」が、77.1万枚を売り上げ第6位となっています。

ロマンス
デビュー時の岩崎宏美といえば、気取りがないオキャンなイメージ。下町の女の子。しかし、どこにでも居そうで居ないところがミソ。なんだか良く分かりませんね。分かりませんが、そんな感じだったんですよね。
いやぁ。良い曲ですねぇ。作詞:阿久悠、作曲:筒美京平という黄金のコンビです。このコンビ、なんでも筒美京平が先に曲を書いて、後から阿久悠が歌詞を付けるというスタイルで作ってたんだそうです。松本隆も後から詩を書くそうですが、だからこんなにポップなのでしょう。
第5位 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
77.7万枚を売り上げたダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」。シングルジャケットを見るとお分かりのように、カップリング曲の「カッコマン・ブギ」と両A面扱いになっています。
とは言え、「カッコマン・ブギ」が上に記載されています。これは前作の「スモーキング・ブギ」がヒットしたので「カッコマン・ブギ」で2匹目のドジョウを狙った。戦略としては当然でしょう。が、レコーディング時から「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」は面白いと誰もが思っていたのだそうです。それがあっての両A面というわけです。

港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」は阿木燿子の作詞家としてのデビュー曲です。バンドのヴォーカリストで作曲家でもある夫の宇崎竜童とのコンビでヒットメーカーとなり、この後、山口百恵をはじめとして多くの歌手に楽曲を提供し大ヒットさせています。
第4位 時の過ぎゆくままに
永遠のアイドル、ジュリーこと沢田研二がこの年もやってくれました。売上枚数79.1万枚で第4位、「時の過ぎゆくままに」です。名曲ですよねぇ。

時の過ぎゆくままに
「時の過ぎゆくままに」は、ジュリーが主演を務めたTBS系ドラマ「悪魔のようなあいつ」の主題歌でした。3億円事件を題材としたこのドラマも面白かったです。
この曲で第6回日本歌謡大賞 放送音楽賞、第4回FNS歌謡祭 下期優秀歌唱賞などを受賞しています。
作曲者の大野克夫はジュリーとはバンド(「PYG)仲間で、「勝手にしやがれ」や「サムライ」、「カサブランカ・ダンディ」など多くの曲を提供しています。
先の「ロマンス」とは逆に、「時の過ぎゆくままに」は阿久悠の詩が先にあり、6人の作曲家による作曲コンペだったんだそうですよ。
第3位 想い出まくら
さて、いよいよベスト3です。1975年度、シングル売上ランキング第3位。売上枚数79.4万枚、小坂恭子の「想い出まくら」です。

想い出まくら
小坂恭子は、第7回ヤマハポピュラーソングコンテストにおいて「恋のささやき」でグランプリを受賞しデビューしています。「想い出まくら」は、彼女の3枚目のシングルです。
「想い出まくら」。不思議なタイトルですよね。これだけで、このタイトルだけで、思わず引き込まれてしまいます。
第2位 シクラメンのかほり
小椋佳とはいったい何者だ?!と多くの人が思ったものです。フォークソング好きの間では知られていたとはいえ、一般的にはまだ無名の存在でした。その小椋佳が作り、布施明が歌った「シクラメンのかほり」が87.9万枚の大ヒットとなりました。

シクラメンのかほり
「シクラメンのかほり」は、第17回日本レコード大賞。第6回日本歌謡大賞。第8回日本作詩大賞。第4回東京音楽祭国内大会・ゴールデンカナリー賞。第4回FNS歌謡祭・グランプリなど、この年の賞という賞を総なめにしています。
多くのヒット曲を持つ布施明ですが、意外なことに「シクラメンのかほり」が唯一のミリオンセラー(売上累計・105.2万枚)なのだそうです。
布施明をもってしても唯一。ミリオンセラーというのが高い壁だということが、改めて分かりますね。
第1位 昭和枯れすゝき
さぁ、第1位です。「昭和枯れすゝき」。1975年度の売上枚数ランキングの第1位に輝いたのは、 さくらと一郎 です。売上枚数は99.5万枚でした。

昭和枯れすゝき
先ず、ジャケットが最高ですね。そして「昭和枯れすゝき」という自虐的なタイトル。これまた最高です。TBS系ドラマ「時間ですよ昭和元年」の挿入歌となったことで注目され大ヒット。第8回全日本有線放送大賞を受賞しています。
「昭和枯れすゝき」も累計では100万枚を突破(累計150万枚)しているものの、1975年はミリオンセラーが1枚も出ませんでした。70年代でミリオンセラーが出なかったのは、75年と77年だけです。とはいえ、どの年も素晴らしい曲が必ず売り上げの上位を占めていることは間違いありません。
さて、それでは翌年1976年はどのような曲がヒットしたのでしょうか?またの機会をお楽しみに!