漫画_翔んだカップル
「翔んだカップル」は、週刊少年マガジンに1978年3月19日号~1981年3月11日号まで掲載され大ヒットした漫画です。

翔んだカップル
高校入学のため地方から上京してきた主人公・田代勇介(たしろゆうすけ)が、ひょんなことから同じ高校に入学した山葉圭(やまばけい)と一軒家で共同生活を送ることになるという、一言で言ってしまえばラブコメです。
ラブコメだったのですが、徐々に人間関係がドロドロになりシリアスな物語となっていきます。だいたい作者の柳沢きみおにはこの傾向がありますね。
しかし、まぁ、第3回講談社漫画賞少年部門受賞するほどに人気も評価も高く1980年に映画化されます。
映画_翔んだカップル
鶴見辰吾と薬師丸ひろ子の初主演映画としても知られる映画版「翔んだカップル」は1980年7月26日に東宝系で封切られました。

翔んだカップル
田代勇介:鶴見辰吾、山葉圭:薬師丸ひろ子の他に中山わたるを尾美としのりが、杉村秋美を務めた石原真理子は本作がデビ;ユー作です。そして織田隼人は西田浩が務めています。
監督は、「セーラー服と機関銃」、「魚影の群れ」、「台風クラブ」などで有名は相米慎二で初の監督作品です。
映画版「翔んだカップル」は、第2回ヨコハマ映画祭で新人監督賞を相米慎二、脚本賞を丸山昇一、そして薬師丸ひろ子は主演女優賞を獲得しています。また、第4回日本アカデミー賞では、話題賞の作品部門で「翔んだカップル」、俳優部門で薬師丸ひろ子が受賞しています。
薬師丸ひろ子はカワイイし、原作のイメージは壊れていません。しかし、映画公開から2ヶ月後に始まったテレビ盤「翔んだカップル」はそれを上回る面白さなんです。
テレビ_翔んだカップル_桂木 文
テレビ盤「翔んだカップル」は、1980年10月3日から1981年4月10日まで全27話、フジテレビ系で放送されました。
映画版で山葉圭役を務めた薬師丸ひろ子は確かにカワイイ。しかし、しかしです。テレビ盤で山葉圭役の桂木文、彼女にはかなわないでしょう。
その可愛さは、「翔んだカップル」の翌年に出たファースト写真集「ひと粒」でも確認できます。

ひと粒
更に写真集は1982年「ひとりぼっちのコンチェルト」、1990年「やすらぎ」、1993年には竹書房から「for you」と全部で4冊出ています。
竹書房というところがマニア心に嬉しいのですが、そうです桂木文、頑張ってヌードにも挑戦しています。
そもそも桂木文のデビューは、1978年のテレビドラマ「ムー一族」です。そして同年に「短篇小説」でレコード・デビューも果たしています。
歌手活動としては「短篇小説」の後、「目覚めの午後」、「19才」と僅かにシングルを3枚しか出していません。好みにもよりますが、ジャケットで選ぶのであれば、「目覚めの午後」でしょうか。

目覚めの午後
カワイイですよね?!さて、そんなアイドル桂木文をヒロインに持ってきたテレビ盤「翔んだカップル」ですが、思わぬ方向に番組が進んでいき、結果テレビ界に革命を起こすことになります。
テレビ_翔んだカップル_効果
テレビ版の主要キャストは、田代勇介:芦川誠、山葉圭:桂木文、中山わたる:宮脇康之、織田隼人:轟二郎です。ですが、原作にはない柳沢慎吾が演じた梨本慎吾が大暴れすることになります。というよりも、柳沢慎吾が大暴れしているのですが。。。
番組で目を引くのが当時はまだ珍しかった目が飛び出したり、星が飛んだりというコンピュータグラフィックスによる効果、そしてパロディです。
「鉄腕アトム」から「太陽にほえろ」まで毎回様々なパロディがちりばめられています。更に劇中では、長渕剛や郷ひろみ、ジョン・レノンなどの曲が何でもアリという感じで使われており、勇介の部屋には矢沢永吉の、圭の部屋には薬師丸ひろ子のポスターが貼られていたりもします。
そして何と言っても画期的だったのがNG集ですね。
テレビ_翔んだカップル_NG集
今でも様々な番組でよくある人気のNG集。「翔んだカップル」では毎回番組の最後にNG集として2〜3個流していたのですが、実は「翔んだカップル」が初めてNG集を採り入れた番組なんです。
スタッフが間違えて2分程早く編集してしまったために、苦肉の策として最後にNG集をくっつけて時間調整したところ、これが人気となり定番化したというのが真相です。
余りに人気だったために、第13回と最終回(第27回)は、丸ごとNG集となっているほどです。
NG集で人気が出てくるのと同時に番組はどんどん脱線していきます。
主人公の芦川誠、桂木文よりも轟二郎、柳沢慎吾が存在感を増してきてストーリーは原作から逸脱しオリジナルの世界へ。原作が途中からシリアスな方向へ向かったのとは対照的にギャグの世界に入っていきます。
轟二郎と柳沢慎吾の個性が強すぎたということでもあり、NGが多かったということでもあるのでしょう。

轟二郎
そう言えば、轟二郎が劇中で用いた「ボキ(僕)はね」という言い方が流行りました。最後はストーリーがあるのやらないのやら、何の話なのか、誰が主人公なのかさえも分からなくなるほどのハチャメチャぶり。しかし、またこれが受けて、「翔んだライバル」、「翔んだパープリン」とストーリーは全く別物ですがシリーズができました。
テレビ_翔んだカップル_最終回
最終回も実に画期的なものでした。
最終回といっても、最終回(第27回)はNG集でしたから、実質的には第26回が最後となります。
その第26回が画期的だったのです。圭、勇介、織田の三人が共同生活をしていた家のキッチンで笑い合っているところをカメラが引いていくと、なんと!その様子を他の出演者が全員で観ており、主要キャストの1人1人を教師役だった佐藤B作が紹介し、出演者が順番にあいさつをしていくというものでした。
ストーリーとは直接の関係は何もありませんが、何でもアリの「翔んだカップル」らしい妙に感動的で素晴らしいエンディングとなっています。
このような番組は2度と出来ないのでしょうね。