今回紹介する、アオシマ版ダイターン3、2種のプラモデル
今回は前後編で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、アオシマ製プラモデル群から、『ガンダム』の富野由悠季監督の名作『無敵鋼人ダイターン3(1978年)の、当時のプラモデルや最新キットを紹介していきます!
まず今回は、ここまでの番外編で、イデオンやザンボット3でも紹介した、アニメスケール版と、ポケットパワー版のダイターン3を紹介します!
アオシマ アニメスケール 1/920 ダイターン3 1981年4月 300円
発売当時のパッケージ。この画ではジャベリンとファンを手にしているが……
アオシマのアニメスケール小サイズについては、これまでに『伝説巨神イデオン』(1980年)『無敵超人ザンボット3』(1977年)等でも触れてきたが、基本的に300円の統一箱サイズが基準なので、そこへスケール表記を盛り込もうと思うと、イデオンもザンボット3もダイターン3も、あと初動の残り一つ『無敵ロボトライダーG7』(1980年)も、それぞれかなり中途半端なスケールになってしまい、スケールの統一感が皆無で、結論からいえば、それらスケール表記は「気分と数字」として以外に意味はないのだという気にはなってしまう。
完成したアニメスケールダイターン3。真っ白な成型色。武器を持たない素手。アオシマアニメスケールの共通仕様
ガンプラで、ガンダムが1/144を名乗ったのは「1/144」というスケールが、鉄道模型やミリタリーモデルの世界では、国際標準スケールであるからだ。
ガンプラは初動で、偶然スケールが「作ってみたら1/144に近かったから」国際標準スケールに便乗したという経緯があるわけで、だから一番最初のガンダムやザクは、当初のアニメ作画内からのサイズからすると、正確な1/144スケールではないのだ。
サイドビュー。バックパックの垂直尾翼のボリュームがあるので、ボディの薄さは気にならない
そこへもってきて、アオシマの場合、1/810や1/920など、黙っていればバレない端数まで正確に記載してしまう正直者さが、今にして思うと愚直なまでに真っすぐで、こうした姿勢はビジネスとしては成功しがたいが、目先の小銭よりも大事な信用を得るスタイルであるといえよう。
もっとも、愚直に正直すぎて、初動のアニメスケールで、『イデオン』の敵メカ、ドグ・マックのスケールが1/610になっていて、その後改めてイデプラだけ1/600統一スケールを出し直そうとしたときに、一番困ったという逸話も、アオシマらしい微笑ましい話として聞こえる(当時の関係者にとっては、微笑ましいどころの問題ではなかったのだろうが……)。
バックビュー。バックパックのノズルのディテールまで作り込まれている。この辺りはガンプラに負けていない
さて、今回紹介するダイターン3は、そんな300円箱サイズ統一のアオシマアニメスケールシリーズでは、ナンバリング的にNo.1の称号が与えられており、商品枠第一号と紹介すべきだろうが、実際はアオシマから提供していただいた資料によると、同月にザンボット3も同時にリリースされているし、webの情報によれば、No.4にあたるイデオンの発売が1981年の2月と記されていることも多く、おそらくこの辺りのナンバリングは、あくまでアオシマ社内での商品管理の便乗上のものであり、市場には、イデオン、ダイターン3、ザンボット3、トライダーG7の4つが、ほぼ同時に1981年の初春に、模型店へ送り出されたものと思われる。
当時、ほぼ同時期に店頭に並んだ、アオシマアニメスケールの富野ロボット3体。当時必死に塗装した模型少年も多かったはず
造形は、ガンプラほどには垢ぬけてはいないが、アニメスケールの中ではイデオンと並んで、プロポーションと可動のバランスは良い。
確かにダイターン3も、他のアオシマロボットプラモの例に漏れずトップヘビーで上半身の大きさに対して、下半身が貧弱な印象を受けるが、それが特に酷かったザンボット3と比較すると、ザンボット3ではレゴンが付属していなかった両腰に、ダイターンスナッパーのメインパーツになる部品が付いていることと、両脚の内側のスパンが、ザンボット3よりも広く設けられていることなどから、若干ではあるが全体のシルエットのバランスは良くなってはいる。
可動はまずまず。肩はしっかり回転する構造になっているので、肩上のアーマーを少し浮かせて接着しておくと、肩回転と干渉しない
可動に関しては、当時のガンプラを基準とすれば、可動範囲的に評価が厳しくならざるを得ない部分もあるが、可動箇所的には問題はない。
開脚は出来ないが、それは初期ガンプラ1/144も同じであり、ザンボット3のような、肩の回転可動を邪魔する襟アーマーもない。両肩に乗ったアーマーが、微妙に肩アーマーと干渉するが、両肩のアーマーを少し浮かせれば逃せるので、腕を前に突き出すポーズも可能だ。
肘の曲がり角度は45度程度
肘は見た目ほどには曲がらないが、それでもポーズの表情は付く。肘の関節が、本来のロボットとしての関節部分に当たる、白と青の境目ではなく、前腕の上部を分割して曲がる構造だが、その際、前腕外側にモールドされた星形ディテールが無粋に分割されないように、わざわざ別パーツになっているのは、この時期のロボットプラモの分割としてはポイントが高い。今風に言えば「塗装派に優しい分割」だろうか。
下半身の可動範囲
下半身は、一応脚の付け根、膝、足首に可動箇所が設けられているが、それぞれの最大可動範囲が30度ぐらいずつなので、精一杯足を動かしても、半歩足を後ろにずらしたぐらいしか効果が出ないのは惜しいところ。
脚正面のブレードを、足首と一体化させて、脛から独立させて動かせるなど、パーツ分割はいろいろと工夫が見られるのではあるが。
もっとも、この当時のデザインだし、この当時のキットだしで、脚を少しでも可動させると、自立はほぼ不可能になる。
アニメスケール版ダイターン3の頭部
顔の出来も悪くない。口のディテールの刻まれ方も、ダイターン3独特の、威風堂々さ加減がしっかり表れている。バンダイのベストメカコレクションと、アオシマのアニメスケールの「300円ロボプラモ」で「顔が失敗した主役ロボ」は見当たらないが、それは無条件で良いことと言えるだろう。
放映当時のクローバーの合金玩具ダイターン3
ダイターン3は、前作『ザンボット3』の商品的ヒットを汲んで、最初からクローバーは12アイテムの商品を展開させて成功させた。
さすがにこの合金トイは、カタログには「正確に変形します」と書かれてはいるものの、武装やパーツが過剰装飾で、アニメではもっとシンプルなのだが、逆にアオシマのアニメスケールが、ザンボット同様、何も武器が付いていない仕様なのが惜しまれる。
せめてパッケージにあった、ジャベリンとファンぐらいは付けて欲しかったところだ。
アオシマアニメスケールの、近年の再販のパッケージ
アオシマのアニメスケールは、主役ロボクラスだけが近年、二度ほど再販されたが、それぞれでパッケージデザインを微妙に変えている。
1/144ガンダムやザクと同じで、それだけ「当時のあのプラモ」的思い入れの対象として、アオシマのアニメスケールはファンが多かったことの証でもある。
当時の番宣キャラクター
アニメ『無敵鋼人ダイターン3』は、前作『無敵超人ザンボット3』とは一転して、主役が子どもから大人へと変化し、アダルトでコミカルな作風へシフトしたが、それは大きく、当時の『007』ブームの再燃と、再放映による『ルパン三世』(1971年)ブームの影響があったと思われる。
もっと露骨な言い方をしてしまえば、主人公のキャラ描写やその裏にある、ある意味ザンボット3よりも残酷過酷な運命の設定が、80年代的軽薄ネアカなキャラに生まれ変わってヒットしていた『ルパン三世』のルパンへの、痛烈なアイロニーとして構築されたのかもしれないという可能性はある。
なんか中途半端なポーズだが、これでも必死に、名乗りの決めポーズをとらせようと頑張った結果の状態である
可動アクションフィギュアとして見ると、いろいろ残念な箇所が多いモデルだが、アニメスケールNo.1という意味合いでとらえるのであれば、「バンダイとガンダム」以外の組み合わせが、そのフォーマットを踏襲しても、ロボットの魅力とメーカーの意地と努力さえあれば、それは「バンダイとガンダム」だけの現象ではなく、ジャンルになり得るのだということを、どこよりも早く証明したのがアオシマであり、アニメスケールシリーズであったことは間違いはない。
というか、この商品の良し悪しは、今の物差しで測る筋合いのものではなく、「あの当時」これらのロボットアニメに心躍らせて思春期を過ごした少年たちの、原風景となって価値を齎し続けてくれているのである。
アオシマ ポケットパワーNo.12 ダイファイター 1981年4月 500円
今回入手できた、ポケットパワーシリーズのダイファイターのパッケージ。な・ま・く・び・だァーッ!
しかし、そんなアオシマを侮ってはならない!
来るべきガンプラブームに対抗するに当たって、ガンプラの仕様を猿真似するだけでは、追いつきは出来ても追い越せはしないと腹をくくったのか。
それとも、自社には自社のブランドイメージと、蓄積してきたノウハウと、自社商品仕様を好んでくれる子ども達こそが本来の顧客であるとの信心からか。
やってくれましたアオシマ!
ティーンズ向けのアニメスケールの展開開始とほぼ同時期に!
やってきました! アオシマ伝統の「生首メカ」です!
ポケットパワーNo.10 ダイターン3パッケージ
ポケットパワーNo.11 ダイタンクパッケージ
アオシマのイデオンのポケットパワーシリーズでも解説したが、ポケットパワーシリーズは「ロボット単体」と「共通のロボット素体による2種の変形」の、3種のキットがまず単独で発売され、その後それら全てのパーツを集めた「スペシャルデラックス」というキットが発売される流れを持っている。
この方式は既に1980年末から1981年にかけて、イデプラで行われており、その際、イデオン自体は分離合体するものの、イデオン単独では他メカに変形するギミックを持っていないため、他の2種のポケットパワーイデプラが、尋常ならざるトンデモメカに変形するという紹介は、以前この連載でも書き記した()。
今回のこの、ポケットパワーダイターンシリーズも、ボックスアートを見る限りでは、そこそこリアルに完成しそうな雰囲気だけは漂わせている……生首以外は。
そう、『無敵鋼人ダイターン3』のメカデザインは、着実に玩具で再現できる変形や合体で定評のある、『機動戦士ガンダム』の大河原邦男氏によるものなのだ。
だから、ダイターン3も、ダイファイターやダイタンクへと、劇的にシルエットを変化させつつも、実は実際の変形そのものは、意外と単純だったりするというのが大河原芸風でもあるのだ。
なので、アオシマのプラモデルでも、ダイターン3の変形は、他のアオシマサンライズロボットの変形や合体よりも、比較的アニメ設定に忠実で、再現度の高い物が多い……しかし、生首……。
完成したダイターン3
まずは、素組で完成させたダイターン3の状態から見ていこう。商品名は「ダイファイター」だが、当然基本形態のロボット状態から変形は始る。
ちなみに、今回のこの『ガンプラり歩き旅』での、イデプラ以降のアオシマ番外編では、イデプラの時に言及した「駿河屋の乱」で、アオシマプラモが大量にタダ同然の値段で市場に流出したデッドストック品の恩恵があったと書いたが、このダイターン3のポケットパワーは、イデオンの同シリーズと違って「駿河屋の乱」には含まれておらず、なので今回紹介するに当たっては、純粋にアンティークトイの市場で地道に探すしかなく、当然本来であれば、ダイファイターにもダイタンクにも変形できる「スペシャルデラックス」を用意したかったのであるが、何分アンティーク市場で、限られた時間の中で出会えたのはこの「ダイファイター」キットだけなので、ご容赦願いたい。
ポケットパワーダイターン3のサイドビュー
1981年のこの時期、アニメスケール、ポケットパワ―シリーズ、合体ロボットシリーズで、ダイターン3のアオシマプラモが一気に出揃った。キットのギミックや可動範囲への評価を抜かせば、プロポーション、塗装のしやすいパーツ分割という点では、ダイターン3単体では、実は一番バランスが良いのがこのポケットパワー版であったりもするのだ。
ポケットパワーダイターン3のバックビュー
しかし、大変残念なことに、写真をご覧になれば分かる通り、ポケットパワー版ダイターン3では、背中の大きな翼をはばたかせるバックパックが丸ごとオミットされている。他の部分は秀逸なだけに、ここは残念でならなかった。
ポケットパワーダイターン3の、上半身の可動範囲
可動の方は、上半身は先に紹介したアニメスケールと殆ど変わらない。
首と手首、肩の回転、そして肘の関節は見た目ほどは曲がらなくて45度程度。しかし、ポケットパワーの方は、肘関節はしっかり上腕と前腕で別れている。
ポケットパワーダイターン3の、下半身の可動範囲
一方下半身の方は、こちらはダイタンクへの変形ギミック優先で、ロボットとしての関節可動は基本的に取り入れられていない。
腰後面と腿は一体化されているので、前にも開脚にも可動はせず、膝も180度曲がるのだが、これは今も書いたダイタンクへの変形ギミックのためで、なので可動軸も膝の最後面に設けられているので、ポージングに活かせる角度には脚は曲がらない。
なので、ロボット形態として飾る場合は、表情を付けられるのは上半身の腕のみと考えた方が早い仕様である。
バックパックがないことだけ除けば、この当時のダイターン3の立体物としては優秀なプロポーションを誇っている
さて、そろそろこの辺で、ポケットパワーイデオンで見た悪夢と我々は、対峙しなければいけないだろう。
そう、ロボットプラモとしてプロポーションが良かろうと、可動範囲がどうであろうと、この商品は「ポケットパワー」なのであるから。
そのポケットパワーの神髄と実力を、ここで検証せねばなるまい。
出ました! ポケットパワーの真の主役「謎のカプセル」
今回は、この謎カプセルから、どんな便利グッズが飛び出すのか?
そういえば、四次元ポケットから様々な便利道具を取り出すロボットを描いた漫画界不朽の名作『ドラえもん』が2度目のアニメ化をされたのもダイターン3等と同時期だが、まさかアオシマ的には、スーパーロボットにドラえもん的要素を闇鍋的にぶち込んだのがポケットパワーシリーズであるとか、そんなことはない……よねぇ?