プロ野球の例年の山場のひとつに「マジック点灯」がありますよね。
優勝争いの激闘の最中、ついに点灯するマジック。贔屓の球団に灯れば歓喜、ライバル集団に点灯すれば背水の陣。
おおよそ8月後半から9月の点灯が通例ですが、ここではある意味で盛り上がらなかったかもしれない「あまりにも早すぎたマジック点灯」の年5選を紹介します。
1965年7月6日 南海ホークス 「M62」
えっとまだ夏前です、下手したら梅雨も明けていなかったかも(笑。
パ・リーグファンだった方、これではもう高校野球で盛り上がる他なかったかもしれませんね。
ちなみに、この年の南海は日本プロ野球界史上最速のマジック点灯ということになります。
どれほど凄かったのか、マジック点灯時(7月6日)のパ・リーグ順位表をご覧ください。
1 | 南海ホークス | 49勝 | 9敗 | 0分 | .8448 |
2 | 東映フライヤーズ | 27勝 | 29敗 | 1分 | .4821 |
3 | 東京オリオンズ | 26勝 | 34敗 | 1分 | .4333 |
4 | 西鉄ライオンズ | 23勝 | 31敗 | 1分 | .4259 |
5 | 阪急ブレーブス | 24勝 | 34敗 | 1分 | .4138 |
6 | 近鉄バファローズ | 25勝 | 37敗 | 0分 | .4032 |
そりゃそうなりますよね~。
ただし、この年の後半はけっこう負けています。
リーグ優勝したものの最終戦績は88勝49敗3分ですから、ここから実は39勝40敗と負け越しているんです。

攻守ともパ・リーグ優勝に貢献し、三冠王、MVPとなった野村
福岡ソフトバンクホークス
初モノ尽くしの3冠王、野村監督が最強現役プレイヤーだった時代です。
しかしながらこの年の南海は日本シリーズで巨人に敗れ、奇しくもこの年から巨人はV9の黄金時代を築くこととなりました。
2003年7月8日 阪神タイガース 「M49」
次にはセ・リーグ史上最速のマジック点灯、これまた夏本番を迎える前(?)のマジック点灯です。2003年ということで比較的最近の阪神。
星野竜から星野虎へ、監督として阪神移籍2年目のこの年のメンバーは今もって阪神史上最強との呼び声も高いです。
85年と03年。ファンが選ぶ過去最強阪神はどちらなのか、とても興味がありますよね。
いまは亡き星野監督率いる猛虎軍団、ぶっちぎりの強さを見せた2003年でした。
筆者個人は「超」がつくドラキチだったので、この年は中日の2位死守の方が気になっていました(阪神ファンの方、スミマセン)。
1995年7月22日 オリックス・ブルーウェーブ 「M43」
私たちの世代は1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大大震災をともに経験した世代でもあることでしょう。
「勇気を与える」べく、その年の地元プロ野球チームは大いに発奮してくれます。それは95年のオリックス、11年の楽天ともにそうでした。
95年は「がんばろうKOBE」を合言葉に、6月から圧倒的な快進撃を始めたのがオリックス。
前年の94年に大ブレイクしたイチローは、この年実に首位打者・打点王・盗塁王・最多安打・最高出塁率を獲得して、復興を志す神戸のシンボルとなりました。
また「守護神」平井の存在も忘れてはならないでしょうね。
この年、リリーフのみの登板で15勝27セーブとあわや最多勝に手が届きそうだった平井。
いかに彼が「守護神」で、チームが何度も蘇るような試合を戦ったかが分かるというものです。
【平井正史】かって被災者の想いを乗せてマウンドに上がったストッパーは、不死鳥の如く蘇った! - Middle Edge(ミドルエッジ)
2006年8月12日 中日ドラゴンズ 「M40」
ドラキチ的にはM40点灯後も、最後までハラハラしたシーズンが2006年。
興奮しっぱなしの一年でした。
落合監督3年目のシーズンで、2004年以来2年ぶり7回目のリーグ優勝を果たしたこの年。
歴代5番目の大きなマジックナンバーM40点灯も、「お盆真っ只中」8月12日というそこまで早い時期でない点灯日であることからは、成績がブッチギリなのに独走でなかった事実が伝わるのかもしれません。
そう、この年は中日と阪神2強の構図でした。
1 | 中日ドラゴンズ | 87勝 | 54敗 | 5分 | .617 |
2 | 阪神タイガース | 84勝 | 58敗 | 4分 | .592 |
3 | 東京ヤクルトスワローズ | 70勝 | 73敗 | 3分 | .490 |
4 | 読売ジャイアンツ | 65勝 | 79敗 | 2分 | .451 |
5 | 広島東洋カープ | 62勝 | 79敗 | 5分 | .440 |
6 | 横浜ベイスターズ | 58勝 | 84敗 | 4分 | .408 |
【川上憲伸投手】「まだ燃え尽きない」常勝軍団ドラゴンズを支えた魂のエース - Middle Edge(ミドルエッジ)
2008年7月22日 阪神タイガース 「M46」
5選目は、オチというわけではないのですが結果的に記録となった「非優勝チームのマジック最速点灯記録」として、2008年の阪神を挙げておきます。
結果としては前半にブッチギリだった阪神と後半にブッチギリだった巨人という、非常に極端な構図だった年。北京五輪も絡んで、ファンの人たちは悲喜交交な一年だったに違いありません。
下記、阪神独走のピークだった7月9日時点と、この年の最終戦績を見比べるとその傾向が顕著ですね。
2008年7月9日
1 | 阪神タイガース | 51勝 | 23敗 | 1分 | .689 |
2 | 中日ドラゴンズ | 38勝 | 36敗 | 3分 | .514 |
3 | 読売ジャイアンツ | 39勝 | 37敗 | 2分 | .513 |
4 | 広島東洋カープ | 35勝 | 35敗 | 4分 | .500 |
5 | ヤクルトスワローズ | 34勝 | 39敗 | 1分 | .466 |
6 | 横浜ベイスターズ | 22勝 | 51敗 | 1分 | .301 |
本稿とは関係ありませんが、横浜ベイスターズの負けっぷりも目を見張るものがありますね。
2008年最終戦績
1 | 読売ジャイアンツ | 84勝 | 57敗 | 3分 | .596 |
2 | 阪神タイガース | 82勝 | 59敗 | 3分 | .582 |
3 | 中日ドラゴンズ | 71勝 | 68敗 | 5分 | .511 |
4 | 広島東洋カープ | 69勝 | 70敗 | 5分 | .496 |
5 | ヤクルトスワローズ | 66勝 | 74敗 | 4分 | .471 |
6 | 横浜ベイスターズ | 48勝 | 94敗 | 2分 | .338 |
本稿とは関係ありませんが、横浜ベイスターズの負けっぷりも目を見張るものがありますね(2回目)。
96年、長島監督の有名な「メークドラマ」を上回る逆転劇は「メークレジェンド」と呼ばれました。
今年も球春の季節到来ですが、最後まで目を離さずに熱く応援したいものですね!