「スターウォーズ」旧三部作の日本版コミカライズ列伝・後編:「帝国の逆襲」&「ジェダイの復讐(帰還)」

「スターウォーズ」旧三部作の日本版コミカライズ列伝・後編:「帝国の逆襲」&「ジェダイの復讐(帰還)」

さて、記念すべき日本初上陸作品、エピソードⅣ「新たなる希望」日本初公開時のコミカライズを紹介した前編に続いて、今回の後編ではエピソードⅤ「帝国の逆襲」日本公開時に発表された、コミカライズ作品を取り上げることにしよう。


「帝国の逆襲」日本版ポスター

残念ながら、アメコミの翻訳だけで日本人マンガ家によるコミカライズが実現しなかった、エピソードⅣ「新たなる希望」。しかし、1980年に公開された待望の続編「帝国の逆襲」では、ついに日本オリジナルのコミカライズ作品が登場!
ただ、後述する様に掲載誌の関係で、当時実際に読まれたミドルエッジ世代の方は少ないのでは?と思われる本作。
今回はその、雑誌「テレビランド」掲載版「帝国の逆襲」を中心に紹介することにしよう。

日本での「帝国の逆襲」コミカライズ概略

前回紹介した「新たなる希望」と同様に、全6回に渡って雑誌掲載されたのが、この日本オリジナルの「帝国の逆襲」コミカライズ版だ。
但し、掲載されたのが「テレビランド」という子供向けの雑誌だったため、ページ数が毎回15ページ程と少ない!

しかも週刊では無く月刊誌での掲載なので、肝心の最終回が実に翌年の1月号に掲載されるという事態に・・・。(ちなみに「帝国の逆襲」公開は夏休み!)まだ劇場に観に行けなかったミドルエッジ世代の子供たちにとって、あのラストの衝撃が年明けまでお預け状態だったとは!

残念ながら現時点で入手出来ているのは、第1回と2回だけだが、幸い第3回の扉絵と内容の一部はネットの画像で確認することが出来る。果たして、あのラストの衝撃の展開は、当時のコミカライズ版にちゃんと描かれていたのか?後述する経済的な理由も大きいため、未だにその結末は未確認のままだ。

アメコミ翻訳版の単行本表紙と中身

なおアメコミ版の「帝国の逆襲」を翻訳した物が、日本公開当時に単行本として、同じ徳間書店より出版されている。今でも中古市場で流通しているので、こちらの方が比較的入手は可能だ。

エピソードⅤ「帝国の逆襲」内容紹介

第1回掲載のテレビランド表紙と扉絵

本作は、徳間書店から刊行されていた月刊誌「テレビランド」に、1980年8月号から翌年の1月号まで、半年に渡って全6回が掲載された。作者は「いけはらしげと」先生で、掲載誌の対象年齢を考慮してか、絵柄やキャラクターは幼い感じにアレンジされている。
放送時期的に、ちょうどスカイライダーが終了し、次のスーパー1に移行する時期に当たるため、マニアの間でも人気が高いこの頃の号は、古本市場でもかなり高額&入手困難となっているのが困り物・・・。

実は中佐だったルーク。

「帝国の逆襲」でのルークの階級が分かるシーン!

子供向けの雑誌とはいえ、こうした厳しい表現も避けずに描かれているのは見事!

敵の攻撃に倒れるダック・・・

映画の見せ場を誌上で再現!

巨大なスノーウォーカーを見事な作戦で倒す!

第1話ではルークがスノーウォーカーとの戦闘で力尽き倒れるまでが描かれており、ワンパやトーントーン、ハン・ソロは登場しない。

第2回で中心となるのは、ハン・ソロとレイア姫。

第2回掲載号表紙と扉絵

ファルコン号発進!そしてダースベーダー登場!

装置の故障でハイパースペース航行が不可能に!

第2話では、ハン・ソロとレイア姫の話が中心になり、ダースベイダーの登場とルークがダコバ星へ向かうまでが描かれている。

うーん、基本的にキャラクターの身長の対比が?

第3回扉絵

ん?どこか微妙なボバ・フェット・・・

続く第3回は、惑星ダコバに逃げ延びたルークの修行、そして遂にボバフェットが登場!ただ、このボバフェット、非常に微妙なのが残念・・・。
果たして、ラストは映画のままなのか?それとも日本独自の終わり方なのだろうか?絶対に確かめたいところなのだが、前述した通り、この時期の幼年向けテレビ雑誌は非常に高額!なんと、このテレビランド全6冊揃えるためには、総額で5~6万円が必要となる計算・・・。そのため残念ながら、4回~6回までは未だに未確認のままだ。

最後に

いかがでしたか?
当時テレビランドを毎月楽しみに読んでいたミドルエッジ世代の方々も、もう成長してこれらの雑誌から遠ざかっていた方も、当時の記憶が蘇ったのでは?
それでは最後に、旧三部作の完結編であるエピソードⅥ「ジェダイの復讐(帰還)」のコミカライズを紹介して終わることにしよう。
実はエピソードⅣと同様に、日本公開時には本作の日本でのコミカライズは行われておらず、しかも海外の作品の翻訳も行われていない。

本作が掲載されたのは、1984年に発行された、デュオ別冊「ALL ABOUT AKIMI YOSHIDA」。これ以外にも、実はスターウォーズのイラストやパロディマンガが多数掲載されているので、マニアは要チェック!

なんと、吉田秋生先生によるパロディマンガが!

唯一のコミカライズとして確認されているのが、このパロディ版「ジェダイの予習復習物語」だ。女性漫画家の吉田秋生先生によるこの作品は、ムック本「ALL ABOUT 吉田秋生」に収録されている物。この他にもスターウォーズのパロディマンガが多数掲載されており、しかも綴じ込み付録として「スターウォーズかるた」まで付いているというサービスっぷり!
この様に、シリーズ完結編という一番の盛り上がり所なのに、公開当時何故か正統派のコミカライズ版が掲載されなかった「ジェダイの復讐」。

メディアワークス版「帝国の逆襲」表紙

メディアワークス版「ジェダイの復讐」表紙

ただ前編でも触れた通り、1997年の特別編公開に合わせて「帝国の逆襲」と「ジェダイの復讐」も、上下巻で日本オリジナルのコミカライズ版が刊行されている。非常に貴重なこの日本オリジナルの「ジェダイの復讐」コミカライズ版なのだが、なんと古本市場では1冊¥6~7000で取引される、超お宝アイテムと化しているので要注意!

我々ミドルエッジ世代にとって、正に夢の扉を開いてくれた思い出の映画、それがスターウォーズ旧三部作!高画質でいつでも視聴可能になった現在だからこそ、あの当時の空気を感じるために、今一度これらの出版物に触れてみるのも、また面白いのではないだろうか。
実は、新三部作公開時に「ファントム・メナス」が日本でコミカライズされているのだが、それはまた別の機会に。

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