昼特きっぷとは?。
1983年に国鉄から登場したこの「昼特きっぷ」は、1987年の国鉄民営化によってJR西日本に受け継がれました。
割引率の大きい「昼特きっぷ」
大阪ー北伊丹間 170円(普通運賃は320円)
京都ー大阪間 350円(普通運賃は560円)
(Wikipediaより編集しました。)
など、割引率の大きな切符です。

「昼特きっぷ」廃止を伝えるニュース
JR西日本 昼間特割きっぷ、1年後に廃止 (2017年9月) - YouTube
首都圏でも現在は、「時差回数券」というものが各社で発売されていますが、利用時間は平日は午前10時から午後4時までなので、この「昼特」の1時間の差は結構大きいと思います。
鉄道サービスはどうしても「西高東低」がここでも現れるようですね。
ことごとく私鉄と競争するJR西日本。
【国鉄時代に登場した新”快”速】117系電車の魅力 - Middle Edge(ミドルエッジ)
上の記事にもあるように、昼特きっぷの発売された当時1983年頃は、並みいる関西の強豪私鉄に、国鉄はことごとく負けていました。
当時の国鉄の中心は長距離輸送で、東京から九州などといったスケールの大きい区間の運転に重点がおかれ、また貨物輸送も盛んな頃でしたので、大阪を中心とした関西は一種の「通過点」のような扱いもありました。
しかし大赤字に苦しむ国鉄が、あらたな収入源を探した時に、現在のJR西日本の「アーバンネットワーク」が目につきました。
そこで、新車を投入するとともに、利用の少ない昼間には割引の切符を発売しようという施策を取ったのです。
競合私鉄
阪急電鉄

阪急の当時の特急の主力 6000系
阪急電鉄 - Wikipedia
京都(四条河原町)-大阪(梅田)、大阪ー神戸(三宮)、大阪ー宝塚などでJR西日本アーバンネットワークともろに競争しています。
京阪電鉄 テレビカー

京阪特急 テレビカー
京阪電気鉄道 - Wikipedia
京都(三条京阪)-大阪(淀屋橋)間でJR西日本と競合しています。
特急にはテレビをつける車両もあるなど、ユニークなサービスをする会社です。
大阪ー宇治間では今でもJRを寄せ付けません(中書島経由)。
阪神電鉄 ジェットカー

阪神電鉄 ジェットカー
阪神電気鉄道 - Wikipedia
大阪(梅田)ー神戸(元町)間でJR西日本と競合。
加速がよく、各駅に停車してもすぐに飛び出していく様から、「ジェットカー」と呼ばれています。また「待っても10分」を売りにして、フリークエントサービス(高頻度運転)をしています。
「昼特きっぷ」を廃止にした2つの理由。
競合私鉄に勝利したJR西日本。
JR西日本のアーバンネットワークの最大の特徴は、貨物線として敷いた長大な複々線が、貨物列車の減少により空きができたことにより、「新快速」という商品が非常に支持を受けたことです。
沿線の都市を結んでいる競合私鉄は、都市の点在により路線に曲線が多いのに対して、大都市を結ぶことに特化していた国鉄は、比較的線形が良いという特徴があり、高速性に優れています。
そのため、JRが本気を出せば競合私鉄にはかなわない高速運転ができ、私鉄はスピード競争から降りざるをえず、沿線の住民向けに優等列車の停車駅を増やして、沿線住民の乗客の確保にターゲットを変えざるを得ませんでした。
金券ショップの隆盛による収入の減少。

金券ショップで堂々と販売される「昼特きっぷ」
JR西日本 昼間特割きっぷ、1年後に廃止 (2017年9月) - YouTube
昼特きっぷは、6枚をワンセットとして発売し、バラ売りはJR西日本ではやっていません。
しかし、街中の金券ショップでは、セットで買ったきっぷを客から買い取り、利益を乗せてバラ売りしています。
この画像を見ると、1枚あたり350円でJR西日本が販売した京都ー大阪間の1枚あたりの切符が、金券ショップで50円の利益を乗せ400円で販売していますが、普通乗車券で乗車すると560円かかるので、「金券ショップ」と「乗客」の間では「winーwin」の関係ですが、JR西日本は損するだけ、ということになります。
今後の割引は未定。

関西の交通系ICカード「ICOCA」
JR西日本 昼間特割きっぷ、1年後に廃止 (2017年9月) - YouTube
JR西日本では、ICOCAの利用を進め、今後利用区間によってポイントをつけるなどの割引策を検討しているようですが、詳細は未定とのことです。
言うなれば、「割引しなくてもJRのほうが便利だから、私鉄よりJRに乗る」という人が増えたので、昼特きっぷで割引しなくても乗客は確保できるようになったのが大きいと言えます。
利用者にとって割引きっぷが廃止になるのは不利になりますが、場合によっては再び競合私鉄に新たな割引が出るかもしれません。
JRと私鉄、競合しながらもサービスと安全の向上に努めてもらいたいと思います。