映画「ロッキー」コミカライズ版は、正に「あしたのジョー」!女性漫画家による迫力のボクシングシーンは必見!

映画「ロッキー」コミカライズ版は、正に「あしたのジョー」!女性漫画家による迫力のボクシングシーンは必見!

今回紹介するのは、そのテーマ曲を聴けば誰でも反射的に腕立てを始めたくなる!という、もはやミドルエッジ世代にとってはDNAレベルで刷り込まれている、不朽の名作!そう、あの映画「ロッキー」1作目の幻のコミカライズ版!


当時の雑誌に掲載されて以降、単行本には一切収録されず多くの作品が入手困難となっている、懐かしの「映画コミカライズ作品」を紹介するこの企画。
今回紹介するのは、そのテーマ曲を聴けば誰でも反射的に腕立てを始めたくなる!という、もはやミドルエッジ世代にとってはDNAレベルで刷り込まれている、不朽の名作!そう、あの映画「ロッキー」1作目の幻のコミカライズ版だ。
この名作が公開当時コミカライズされていたという事実、ご存知無かった方も多いのでは?ネット上にも殆どその情報が上がっていないこの名作マンガを、今回は紹介させて頂こうと思う。

俺たちの永遠の映画にして全男子のバイブル、それが「ロッキー」だ!

記念すべき1作目の日本版ポスター(左)と劇場パンフ(右)

15ラウンドを戦いぬいたロッキーとアポロ。

昨年公開されたスピンオフ作品の「クリード・チャンプを継ぐ男」も話題となった、永遠の名作映画「ロッキー」シリーズ。
その記念すべき第1作目の公開は、今から40年も前の1977年4月のことだが、このコミカライズ版は劇場公開の2週間前に発売された月刊少年マガジンに掲載されていた。
実はこのコミカライズ版以外にも、「ロッキー」公開時の宣伝では色々なメディアミックス戦略が取られており、当時の「中一時代」や「中一コース」などの学生誌には、「ロッキー」の小説版が掲載されていたりする。
アカデミー賞受賞作品でありながら、ボクシング映画や恋愛物として幅広い観客層が楽しめる名作だけに、映画自体は見たことが無くても、あのテーマ曲とトレーニングシーンは誰でも一度は覚えがあるはずだ。

「燃えよドラゴン」と並んで、男の二大「燃えるテーマ曲」であるこの「ロッキーのテーマ」!今とは違って、中々映画館に連れて行ってもらえなかった当時の小学生達は、きっとこのコミカライズ版を読みながら、頭の中でこのテーマ曲をリフレインさせていたに違いない。当時映画館で見た世代の方も、後年テレビやビデオで繰り返し見たという方も、当時の雑誌に掲載されたこのマンガの存在を通して、是非もう一度「ロッキー」の素晴らしさについて思い出して頂ければと思う。

注:「ロッキー」1作目のストーリーや詳細については、以下のリンクからどうぞ。

ロッキー (映画) - Wikipedia

「ロッキー」コミカライズ版の作者は、意外にも女性だった!

迫力あるボクシングシーンが見所であるこのコミカライズ版の作者は、意外なことに女性漫画家の野田たみ樹先生。
週刊少年マガジンの第14回新人漫画賞入選作「影忍」でデビューを飾った野田先生は、女性ながら迫力満点のアクション描写でデビュー作から注目を集めていた。その後、週刊少年マガジンで本格的デビュー作「忍旋風ザジ」の連載を開始。本作「ロッキー」は、実はその連載期間中に描かれたものなのだ。

野田たみ樹先生の連載デビュー作「忍旋風ザジ」扉絵。

ながやす巧先生の「愛と誠」コミックス表紙絵。

見てお分かりの通り、野田先生の画風は「愛と誠」の作者、ながやす巧先生を思わせる物であり、言われなければとても女性が描いたとは判らない。後で詳しく紹介するが、迫力あるボクシングシーンの描写は、完全にちばてつや先生の「あしたのジョー」を彷彿とさせる程!

(左)エイドリアン役のタリア・シャイア、(右)ロッキー役のシルベスター・スタローン。

二人の初デートシーン。

この辺の繊細な描き方は、女性作者ならでは!

恋に不器用な二人の距離が縮まる名シーン。

ロッキーとエイドリアンの恋愛シーンでは、その画風もあってどことなく「愛と誠」を思い出させる。女性特有のきめ細かい心理描写と、男性顔負けの迫力あるアクションシーンが同時に描ける稀有な才能!それこそが、野田たみ樹先生の魅力だと言えるだろう。
しかし残念ながら、現在ネット上には野田先生に関する情報が殆ど無く、その後ペンネームを野田琴里と改名されてから出版された、ヤングマガジンコミックス「影野郎風を斬る」が、唯一現在入手できる単行本となっている。

野田 琴里 (著)

影野郎風を斬る 

影野郎風を斬る (ヤングマガジンKC) | 野田 琴里 |本 | 通販 | Amazon

マンガ版「ロッキー」紹介

無名のボクサーだった主人公ロッキーが、ふとしたきっかけで世界チャンピオンのアポロの対戦相手に指名され、自身の人生の再起を賭けて戦いに挑むストーリーは、ほぼ映画に忠実な本作。ただそこには、野田たみ樹先生による女性ならではの視点からの描写が加えられており、映画とはまた一味違った感動を味合わせてくれる。

本作が掲載されたのは、月刊少年マガジン1977年5月号。

これが掲載誌の表紙。

くわえタバコのロッキーはレア!

コミカライズ版「ロッキー」の扉絵

見てお分かりの様に、映画のキャラクターの再現度はかなりのもの。

老トレーナーのミッキーからの厳しい言葉。

運命の偶然から掴んだチャンス!

コミカライズ版のアポロは、映画に比べてかなりふっくらとしている。

ロッキーとアポロの対戦が決定!

生涯最大のチャンスに戸惑うロッキー!

誰もが燃えた、あのトレーニングシーン!

映画と違って、拳から出血!女性らしからぬこうした描写も、野田先生ならではの魅力だと言える。

あの生肉サンドバッグシーンも再現!

モノローグによりロッキーの心情が語られるなど、本作は年少の読者にも判り易いように描かれている。

いよいよ試合当日!

格下の相手だと甘く見ていたアポロは、この後激しく後悔することになる。

ド派手な登場のアポロ!

さて、ここから最大の見せ場である、ロッキー対アポロの死闘が繰り広げられるのだが、元々アクション物でデビューを飾った野田先生だけに、その迫力あるボクシングシーンは、正に「あしたのジョー」!

映画最大の見せ場である、アポロとロッキーのリング上での死闘!果たしてマンガではどの様に描かれているのだろうか?

映画本編より。

アポロの華麗なステップに翻弄されるロッキー。

上の二つの画像からも判る通り、非常に「あしたのジョー」を研究して描かれている。
女性ながらこの迫力が出せる野田たみ樹先生は、やはり凄い!

遂にロッキーのアッパーがアゴに炸裂!

ロッキーの思わぬ実力に驚愕するアポロ!

遂に全力で戦う気になったアポロ

両者ボロボロになりながら迎えた最終ラウンド!

全力を尽くした男達に芽生える友情!

映画では、見事に15ラウンドを戦い抜いたロッキーの姿でラストを迎えるが、このマンガ版のラストシーンは、完全にエイドリアンの側から描かれており、こうした独自のアレンジも女性漫画家ならではの視点だと言える。

この部分、完全にヒロインの側をメインで描いているのが、やはり女性作者ならではのアレンジだといえる。この部分をマンガ版で見ると、改めてロッキーの戦う姿がエイドリアンにも勇気を与えたことが良く判る。
ちなみにマンガ版では「アドリアン」となっているが、早い段階での試写や資料を元に執筆されたコミカライズ版の場合、こうした役名の間違い・変更は珍しくは無い。

映画のラストシーンを完全再現!

エイドリアンと抱き合ったロッキーのアップで終わる映画のラストもいいが、このマンガ版のラストも恋愛映画としての側面がより強調されていて、中々に味わい深い物がある。

女性が告白するラスト!

地味で恋愛に臆病だったヒロインのエイドリアンが、ラストでは自分からリングに駆け寄り「愛してるわ!」と告白する映画のラストシーン。この部分がコミカライズ版ではより強調されており、映画「ロッキー」が実はエイドリアンの成長の物語でもあったのだと、改めて読者に気付かせてくれる。
そう、ロッキーが15ラウンドを戦い抜いたのは、男の誇りや自身の存在意義の証明だけで無く、エイドリアンへの愛の証明でもあった!
映画では判らなかった様な、こうした新たな発見こそ映画コミカライズの醍醐味であり、その重要な役割だと言えるだろう。

最後に

いかがだっただろうか?
とても女性が描いたとは思えない迫力のボクシングシーン!更に、女性ならではのきめ細かい恋愛や心理描写が加わって、数ある映画コミカライズ作品の中でも傑作とされているのが、このコミカライズ版「ロッキー」だ。
残念ながら、作者の野田たみ樹先生の単行本自体が1冊しか出版されていないこともあって、その存在が殆ど世に知られていない本作。
野田先生の初連載作品「忍旋風ザジ」が単行本化された際には、ぜひこの「ロッキー」が巻末に収録されることを願ってやまない。

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