真心ブラザーズの代表曲『サマーヌード』
夏の定番ソングといえば?…毎年どこかしらのメディアから公表される、そんなアンケートに基づくランキング。ためしに今年の「gooランキング」なんかを見てみると、1位は『夏色』(ゆず)で2位は『夏祭り』(JITTERIN'JINN、Whiteberry)、3位は『secret base ~君がくれたもの~』(ZONE)、4位が『少年時代』(井上陽水)、5位は『あー夏休み』(TUBE)など、今も歌い継がれるお馴染みの名曲が、ズラリ勢揃いしています。

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ちなみにこの「gooランキング」の50位までに、真心ブラザーズの『サマーヌード』はランクインしていませんでした。しかし、リリースから時を経ても、クラムボン・birdなどの後発ミュージシャンにカバーされ、1999年公開の映画『大阪物語』や、2010年のテレビ東京系ドラマ『モテキ』の挿入歌に起用され、さらに2013年には、歌詞の世界観をモチーフにした同名のフジテレビ系ドラマが制作されるなど、クリエイターの感性を刺激するJ‐POP史上屈指の夏ソングであるのは間違いありません。

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『サマーヌード』が描く世界観の魅力とは?
YO‐KINGが作詞した『サマーヌード』の歌詞で表現されているのは、ひと夏の恋愛模様。もちろん、ありきたりな恋の賛歌ではありません。
このように、昔の恋人を忘れられずにいる君(=彼女)に、戸惑う僕(=彼氏)の姿が描かれているのです。「何か企んでる顔」「Tシャツのままで泳ぎだす」とのフレーズから察するに、おそらく彼女はアウトドア好きなパリピ。
そんな彼女を、「僕はただ 君と二人で通りすぎる その全てを見届けよう」と、一生懸命愛そうとする冴えない男の叫びを、色白・痩せ型で決して海ではしゃいだりしないタイプのYO‐KINGが、声を張り上げて歌うからこそ、途方もない説得力でリスナーの心へ突き刺さるのではないでしょうか。
ソウルミュージック風アレンジだった『サマーヌード』オリジナルバージョン
『サマーヌード』がリリースされたのは、1995年6月21日のこと。日清のオフィシャルサイトで黒歴史扱いされている「日清サマーヌードル」のラジオCM用に書き下ろされ、世に発表されました。

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このオリジナルバージョンの『サマーヌード』は、真心ブラザーズらしいブラックミュージック風アレンジをとりいれた楽曲。ソウルミュージックの中でも、特にストリングスを多用した、フィラデルフィア・ソウルテイストの音になっています。
曲のラストに流れるピッコロによるものと思しき音色は、ヴァン・マッコイの代表曲『The Hustle(邦題:ハッスル)』におけるリードメロディーからの引用。遊び心を感じさせる華麗でポップなサウンドは、今なお、多くの人を惹きつけてやみません。
ENDLESS SUMMER NUDEのアレンジを手掛けた音楽プロデューサー『CHOKKAKU』とは?
『サマーヌード』発表から約2年後に、『ENDLESS SUMMER NUDE』はリリースされました。前作との大きな違いは、アレンジ担当に『CHOKKAKU』を起用しているところです。
ここでCHOKKAKUについて説明しましょう。CHOKKAKUは、ジャニーズのアイドルをはじめとした、さまざまな有名アーティストの編曲を担当する、超売れっ子音楽プロデューサー。

CHOKKAKU
彼の手掛ける楽曲には、どこか70年代・80年代のスタンダードナンバーを聴いているかような安心感があります。特に得意とするのが、SMAPの『SHAKE』『青いイナズマ』、AKB48の『Baby! Baby! Baby!』などでやってみせた、70年代ディスコチューン風アレンジ。過去に流行った楽曲のテイストを踏襲しながらも、それでいて古臭さを感じさせない芸の細かさ・引き出しの多さは、特筆に値するといっていいでしょう。
ブラス・セクションによって生まれ変わった、ENDLESS SUMMER NUDE
CHOKKAKUを編曲者に迎えた『ENDLESS SUMMER NUDE』は、テンポこそ一緒ながら、オリジナルとはかなり違った手触りの楽曲になっています。もっとも大きな違いは、オリジナル版で曲の大部分を構成していたストリングスが、ブラス・セクションに置き換わったこと。前作のソウルミュージックっぽさを少しだけ残しつつも、ビッグバンド風の豪華なサウンドになっています。ちなみに、CHOKKAKUは2013年にリリースされた山下智久版サマーヌードの編曲にも関わっていました。
このように、どちらも優劣付けがたく名曲な2つのサマーヌード。あなたもぜひ聴き比べてみてください。
(こじへい)