ジョージ・フォアマン 「老いは恥ではない」45歳で2度目の世界ヘビー級チャンピオンとなった象をも倒すパンチを持つ男

ジョージ・フォアマン 「老いは恥ではない」45歳で2度目の世界ヘビー級チャンピオンとなった象をも倒すパンチを持つ男

1968年、メキシコシティオリンピックで金メダル獲得。 1973年、無敵のジョー・フレージャーを倒し世界ヘビー級チャンピオンになる。 1974年、モハメド・アリにノックアウトされ、やがてリングから消えた。 1994年、マイケル・モーラーを逆転KOで倒して再び世界チャンピオンなる。 アーチ・ムーアやロベルト・デュランなど40歳を超えても戦い続けたチャンピオンはいた。 しかしジョージ・フォアマンは10年間のブランクを経てカムバックし、しかも世界チャンピオンになった。 彼はその間、牧師をしていて、復帰の理由も慈善活動の費用を稼ぐためだった。 少年時代、小学校を留年し中学校を卒業できず犯罪にさえ手を染めた彼が・・・ 圧倒的な強さ、栄光、勝利、すべてを失うような敗北、そして奇跡のカムバック。 まさにアメリカンドリーム。


1973年9月、最初の防衛戦の相手はジョー・ローマンだった。
試合は東京で行われた。
ジョージ・フォアマンはラフなパンチでローマンを追い詰め、何度も殴り倒した。
倒れているノーマンにパンチを見舞うこともあった。
そしてついに立てなくなったローマンを見下ろし睨みつけ1RKO勝ちした。
日本の観客は、その圧倒的な強さに畏敬の念を抱くとともに、挑戦者にに対してまったく敬意のないチャンピオンに嫌悪感を持った。
ジョージ・フォアマンは自分の強さに酔いしれ、他人に対しては横柄で不愛想で怒りっぽい男になった。
すでに1度目の結婚をしていたが、他の女性ともためらわず一線を越えた。

ジョージ・フォアマンは、5番区のガキの頃から、自分が最強であることに誇りを持ちこだわっていた。
自分の強さに疑いを持つ人間がいたら力でわからせた。
1974年3月26日、2度目の防衛戦の挑戦者はケン・ノートンだった。
モハメド・アリの顎を砕いて完全勝利したこともあるボクサーだったが、2RTKOに下した。
ジョージ・フォアマンはリング上から、実況解説席にいたモハメド・アリに向かっていった。
「次はお前を殺るぞ」

キンシャサの奇跡

1974年10月30日、アフリカのザイール(現:コンゴ)の首都:キンシャサ市外のジャングルを切り開き建てられたスタジアムで、ジョージ・フォアマンは、元世界ヘビー級チャンピオン:モハメド・アリと3度目の防衛戦を行った。
ジョージ・フォアマンは25歳。
メキシコオリンピックボクシングヘビー級で金メダルを獲得。
プロ転向後は、ジョー・フレージャーやケン・ノートンをKOし、統一世界ヘビー級王座を獲得・防衛。
そのパンチは、「象をも倒す」といわれる。
対するモハメド・アリは32歳。
全盛期は過ぎたと思われる。
彼はベトナム戦争に反対し徴兵を拒否したことで、世界チャンピオンのタイトルを戦わずして剥奪された。
ベトナム戦争が長期化してくるとアメリカを含む世界中でベトナム戦争に反対する人が多くなり、モハメド・アリは悲劇のヒーロー、信念の人と称賛されるようになった。
そして彼は不当に奪われた世界チャンピオンのタイトルを取り戻すべくジョージ・フォアマンに挑む。
ジョージ・フォアマンは、1Rから圧倒的に攻め続け、モハメド・アリを追い込んで強いパンチを打ち込んだ。

モハメド・アリは、ロープによりかかったり、ロープの弾力を利用してジョージ・フォアマンの強打に対応する「ロープ・ア・ドープ(ロープ際のまぬけ)」作戦に出た。
ロープ・ア・ドープ(ロープ際のまぬけ)とは、ロープ際で防御している自分を攻め続けるまぬけ(ドープ)な相手という意味。
アリはロープを背負って、頭をリングの外に大きく出してボディーを両手でカバーした。

やがてジョージ・フォアマンの突進力は弱まっていくとモハメド・アリは、ロープ際を離れ、攻め始めた。
8R、モハメド・アリのコンビネーションパンチで、ジョージ・フォアマンは大きくよろけた。
モハメド・アリが、とどめのパンチを放つとジョージ・フォアマンの巨体が、ゆっくり倒れていった。
このジョージ・フォアマンが41戦目にして初めて敗れ、モハメド・アリが2度目の世界ヘビー級チャンピオンとなった逆転KO劇は「キンシャサの奇跡」と呼ばれる。

転落、登攀

世界一強かった男にとって敗北とは、タイトルだけではなく自分自身を失うものだった。
試合のことが頭から離れなかった。
あのときバックステップで後ろに下がればよかった・・・
あのときガードを上げていれば・・・
もしかしたら10カウントの前に立てたかもしれない・・・
後悔ばかりが無限に浮かんだ。
世界中が自分を敗者だと嘲り笑っているように思えた。
たくさんの車や豪邸やお金も何の助けにもならなかった。
3ヵ月間、どこにも行けず、誰にも頼れず、しかしやがてジョージ・フォアマンは世界ヘビー級のタイトルを取り戻すことを決意しトレーニングを開始した。

そしてキンシャサの敗戦後4連勝し、1976年1月24日、強打者:ロン・ライル (Ron Lyle) との死闘に挑んだ。
フォアマンは、3Rにダウンを奪われ、完全に捨て身となり、ダウンを奪い返したものの、このラウンド終了間際に2度目のダウン。
フラフラになりながらも最後の最後まで切れることがなかったフォアマン選手の執念が5Rにライルをねじ伏せKO勝ち。

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