パソコンやゲームマシンが奏でるBGMを支えた「内蔵音源」について。

パソコンやゲームマシンが奏でるBGMを支えた「内蔵音源」について。

ゲームなどに欠かせないBGM。これを支える音源には大きく分けて「内蔵音源」「外部音源」「ストリーム再生」とがありますが、現代においてはもはやストリーム再生が当然の世に。しかしメモリに制限のあった時代、内部音源にどんなチップを搭載しているかで、そのマシンが表現するゲームの世界観は大きく変わったものですね。かつてのゲーム表現に大きな影響力を持っていた「内蔵音源」について振り返りましょう。


FM音源をはじめとした「内蔵音源」

「内蔵音源」はパソコンやゲームマシン、後に携帯電話に標準で搭載されたシンセサイザー機能を指しています。

なお内蔵音源対して、シンセサイザーをMIDIケーブルやUSBケーブルなどで接続して使用するものは「外部音源」。

CDやDVDのゲームソフトでCD-DAなどの音声データで録音済みの楽曲が再生される場合は内蔵音源とも外部音源とも分類されず、音声データを逐次読み込みながら間断なく再生を行う「ストリーム再生」と称されます。

FM音源は1980年代の音楽やゲームサウンドに取り入れられ、当時を象徴するサウンドと評されました。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

初期のコンピュータにはエラー出力のため、単音でブザーのようなBEEP音発生装置が組み込まれていました。これが内蔵音源の元祖とも言うべき音源です。
音源のトレンドについては下記引用が分かりやすいかと思います。

ゲームの世界観を広げてくれるBGM、ゲームサウンド(音源)の歴史と代表的なゲームを振り返る。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

それでは「内蔵音源」について、まずは往年のパソコンに搭載されていた音源を確認していきます。
まずパソコンに搭載されていた主な音源を振り返り、その後にゲームマシンをみていきましょう。

同一のゲームで多くの内蔵音源が紹介されている日本ファルコムの「ソーサリアン」を中心に、比較しやすい動画を転載させていただきます。

PSG(Programmable Sound Generator)

PSGは単純な矩形波を3チャンネル演奏出来るサウンドチップ。
PC-6000シリーズやMSXといった初期のホビーパソコンやゲーム機で広く用いられました。

最も多く使われたAY-3-8910では出力ポートのうち、ひとつをノイズと排他利用が可能で、ドラムや効果音(例えば爆発音など)に用いられました。
どこか透き通っていて物悲しい高音と「ズチャッ」とでも表現したくなるドラム音が特徴的な音源でしたね。

MSXといえば、当時はコナミが独自に開発したSCC音源もユニークな表現力を持つ音源でした。

コナミがMSX向けに開発したSCC音源はFM音源にも負けない!PSG音源に甘んじていたMSXユーザーに希望を与えてくれました。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

YM2203(OPN)

80年代、多くのパソコンキッズにとってFM音源といえばこの「YM2203」を指したことでしょう。
このヤマハのFM音源は少ないメモリ使用量で多彩な音色を表現できるため、80年代から90年代にかけてのパソコンなどで広く普及しました。
「FM音源3音、PSG3音」をモノラル出力可能で、PC-8801mk2 SR以降で搭載された音源です。
「ギュイーン」なFM音源の元祖、的な位置づけだったといえるでしょうか。

多くのサウンドクリエイターがFM音源を駆使した美しいBGMを作り上げました。
なかでも著名だった一人が、当時日本ファルコムに在籍されていた古代祐三氏かもしれません。

RPGの雄、日本ファルコムが得意とした「泣きのBGM」ともいうべきFM音源のゲームサウンド8選! - Middle Edge(ミドルエッジ)

YM2608 (OPNA)

FM音源6音並びにADPCM、チップ内にROMとして波形を持っている六種のリズム音をステレオで、PSG3音をモノラルで再生可能なOPNの後継チップ。よりリッチなサウンドを奏でることが出来ました。
主な搭載機種はPC-8801用「サウンドボード2」及び、PC-9800シリーズ用「PC-9801-86」ボード(通称、86ボード)。個人的には友人が持っていたPC-88VAのBGMを聴いたとき、その厚みに驚いた記憶がありますがOPNほどの普及はみませんでした。

OPNとOPNAのソーサリアンBGMを聴くと、当時やたらとたくさん機種が存在していたPC-88でも別格だったVAを思い出すことが出来ます。

YM2151(OPM)

当時のアーケードゲームで最も一般的だった音源。数多くのゲーマーを魅了した音源です。
出力先を左、右、中央に設定できOPNよりも奥行きのあるサウンドを奏でることが出来ました。
PCではX1の拡張ボードやX68000に搭載されました。

MSM6258

X68000ではFM音源に加えてADPCMが搭載されていました。
元は留守番電話などの録音再生用のチップでしゃべるなどの表現を想定したものでしたが、電波新聞社のボスコニアンを皮切りに、FM音源が苦手とする音を再生するための補助パートとして同期演奏が行われるようになりました。
このADPCMにより、X68000は他のパソコンと比べて圧倒的に豊かなBGMを奏でていたといえるでしょう。

「無いものは自分たちで創る」夢のホビーパソコン『X68000』の魅力について語っちゃいます - Middle Edge(ミドルエッジ)

YM2612

1989年に登場したFM TOWNSに搭載された音源で、純粋にFM音源がステレオ6音のみのチップ。音自体はOPN系と変わりはありません。後述のゲームマシン「メガドライブ」にもこの音源が搭載されました。
TOWNSはこれとは別に8ビットのPCMを8チャンネルも内蔵していたものの、CD-ROMを標準で搭載していたのでゲームのBGMにはCD-DAが用いられることが多く、やや内蔵音源の存在感は薄い機種だったといえるでしょう。

FM TOWNSは時代を先取りした世界初のCD-ROMドライブ標準搭載パソコンでした! - Middle Edge(ミドルエッジ)

MSX FM-PAC(YM2413(OPLL))

それまでPSGを内蔵音源としていたMSXでは1988年にバックアップメモリを含む形でFM音源拡張カートリッジがFMPACの商品名で発売されました。
MSX規格内での名称はMSX-MUSIC。発音数はFM音源9音、もしくはFM音源6音+リズム音源5音だったものの、2オペレータのFM音源である上に任意にパラメータを指定できる音色の種類が1種類に限られ、出力もモノラルである点は同世代の他機種と比較して劣っていました。その反面、販売価格は7,800円と安価で対応ゲームが続々と発売された為、MSX2+以降は事実上標準内蔵音源となりました。
でも多くの88からの移植ゲームでは同じFM音源なのに「あれっ?」ってガッカリすることも多かったですね。

なんと7,800円でFM音源が聴けるようになるってので、当時のMSXユーザーは喜んだものでした。

MSXユーザーが喜んだFM-PAC!

MSX-MUSICが劣化版FM音源なんて呼ばれることもあった時代。
ただしこのゲームだけはむしろ他を凌駕するクオリティだったかと思います。

【Xak(サーク】他機種のFM音源に比べて貧弱だったMSXが、もっとも美しい音色を奏でたとされる名作RPG「Xak(サーク)」はPSGの丁寧な「重ね」がスゴイ! - Middle Edge(ミドルエッジ)

以上、ここまで一通り代表的な内蔵音源についてみてきましたがいかがでしたでしょうか。
ここからは代表的なゲームマシンの内蔵音源についてです。

ファミコン(ファミリーコンピュータ)

矩形波2チャンネル、三角波1チャンネル、ノイズ、DPCM搭載とPSGから比べると性能が向上。ファミリーコンピュータ ディスクシステムを用いる事で、波形メモリ音源が1チャンネル増設されました。
ファミコンはロムカートリッジ用スロットに音声入力の端子が有り、カートリッジの方に音源チップを積むことで音源に関してはかなり自由な拡張が可能であり、これまたコナミのVRCシリーズなどで活用されていました。

独特に響き渡るベース音や「ズンタッズンタッ」なリズム音が特徴的でしたよね。

「ファミコン音源でここまでやる!?」なソフトが、2016年に登場していましたよ。

【ファミコン世代必聴】 8ビット音楽アルバム作品「8BIT MUSIC POWER」が2016年1月31日に発売! - Middle Edge(ミドルエッジ)

PCエンジン

波形メモリ音源を最大6音、ステレオ再生が可能。生楽器の再生には向かないものの、独特の味のあるサウンドを奏でました。
ただ、どうしてもCD-ROM2以降のCD-DAのインパクトが強く残っていますね。

【PCエンジン】ハドソンとNECが任天堂ファミコンの牙城に挑んだ意欲的なゲームマシン!! - Middle Edge(ミドルエッジ)

メガドライブ

FM-TOWNSと同様のYM2612を搭載、FM音源6音を再生可能なのに加えてカスタムチップに内蔵されたPSGを3音とノイズを1音再生可能でした。
FM音源の内、1チャンネルはPCMとして使用可能で、ドラムスや音声などを再生させることが多く、「ザ・スーパー忍」などの楽曲がこの音源で作成されました。

関連する投稿


え、徳川綱吉が名君に?角川まんが『日本の歴史』最新研究でまさかのアップデート!

え、徳川綱吉が名君に?角川まんが『日本の歴史』最新研究でまさかのアップデート!

「学習まんがと言えばこれだよね!」と親世代も知る角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』が、刊行10周年で累計1000万部を突破。この節目に、なんと全15巻の内容を最新の研究に合わせて大改訂したというから驚きだ。東大の先生たちも加わったこの「アップデート」、あの「生類憐みの令」の評価まで変わっているらしい。自分の子どもや孫に教える前に、親父たちも要チェックだぞ!


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

ジー・モードより、推理アドベンチャーゲーム『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』の世界観を再現したオリジナルグッズが、北海道紋別市のふるさと納税返礼品として提供されます。


創刊20周年特集は過去20年間の国内ソフト売上ランキング!ゲーム業界のデータ年鑑「ファミ通ゲーム白書 2025」が発売!

創刊20周年特集は過去20年間の国内ソフト売上ランキング!ゲーム業界のデータ年鑑「ファミ通ゲーム白書 2025」が発売!

角川アスキー総合研究所より、国内外ゲーム業界のデータ年鑑『ファミ通ゲーム白書2025』が発売されます。発売予定日は8月7日。


いまみちともたか(BARBEE BOYS)&小田原豊(REBECCA)による特別番組がOBSラジオで放送決定!!

いまみちともたか(BARBEE BOYS)&小田原豊(REBECCA)による特別番組がOBSラジオで放送決定!!

OBSラジオにて、BARBEE BOYSのギタリスト・いまみちともたかとREBECCAのドラマー・小田原豊を迎えた特別番組「80/90 Eighties,Nineties」の放送が決定しました。


最新の投稿


俳優・水谷豊の真実に迫る著作『YUTAKA MIZUTANI』発売!監督としての人生と秘められた過去を解禁

俳優・水谷豊の真実に迫る著作『YUTAKA MIZUTANI』発売!監督としての人生と秘められた過去を解禁

俳優・水谷豊の著作『YUTAKA MIZUTANI』が発売される。「傷だらけの天使」や「熱中時代」、そして「相棒」と、各時代でトップを走り続ける彼が、自らの監督作品を通じて「誰も知らない本当の水谷豊」を明かす。サイン本お渡し会や、代表作『青春の殺人者』の50周年記念Tシャツ発売など、ファン必見の情報が満載だ。


楳図かずお生誕90周年!60年代の伝説的「なかよし」付録漫画を完全再現した究極の復刻BOXが登場

楳図かずお生誕90周年!60年代の伝説的「なかよし」付録漫画を完全再現した究極の復刻BOXが登場

ホラー漫画の金字塔、楳図かずお氏の生誕90周年を記念し、1960年代に『なかよし』の付録として人気を博した「なかよしブック」が復刻BOXとして発売される。当時のサイズや色味、さらには広告や読者ページまで可能な限り再現。市場でも滅多に見られない超貴重な少女ホラー傑作5選が、今ここに蘇る。


武豊デビュー40年特別展が銀座三越で開催!日本ダービー6勝の軌跡やAI・AR等の最新コンテンツが集結

武豊デビュー40年特別展が銀座三越で開催!日本ダービー6勝の軌跡やAI・AR等の最新コンテンツが集結

日本競馬界のレジェンド、武豊騎手のデビュー40年を記念した特別展が2026年4月28日より銀座三越で開催される。前人未到の「日本ダービー6勝」に焦点を当てた展示や、AI・ARを駆使した最新デジタル体験、会場限定のオリジナルグッズ販売など、頂点を走り続けるジョッキーの栄光と進化を体感できる貴重な催事だ。


錦織一清、還暦イヤーを飾る初のソロ写真集&カレンダー発売!“ニッキ”の今を詰め込んだ永久保存版

錦織一清、還暦イヤーを飾る初のソロ写真集&カレンダー発売!“ニッキ”の今を詰め込んだ永久保存版

俳優、演出家、シンガーとして活躍する錦織一清が、2025年5月に迎えた還暦イヤーの締めくくりとして、人生初となるソロ写真集&カレンダー『言魂 -10カラットの呟きと共に-』を2026年5月29日に発売。本人プロデュースによる日常の風景や自ら吐露した10の呟きなど、現在の彼の魅力を凝縮した一冊となっている。


世界的ヒット作「テトリス」がボードゲームに!リアルなブロックを“手で積む”新感覚の対戦が熱い

世界的ヒット作「テトリス」がボードゲームに!リアルなブロックを“手で積む”新感覚の対戦が熱い

デジタルゲームの金字塔『テトリス』が、実際にブロックを手に取って積み上げる『テトリスボードゲーム』として2026年4月下旬に発売決定!2〜4人での同時対戦が可能で、カードによる駆け引きや「オジャマミノ」による妨害要素も。デジタルとは一味違う、空間認識力と戦略性が試されるアナログならではの魅力を紹介。