俺達の永遠のエロ映画「エマニエル夫人」!公開当時の幻のコミック版を、ついに発掘!

俺達の永遠のエロ映画「エマニエル夫人」!公開当時の幻のコミック版を、ついに発掘!

ミドルエッジ世代の永遠のエロ映画にして、日本に「ソフトポルノ映画ブーム」を巻き起こすきっかけとなった伝説の作品。そう、誰もが一度は目にしたであろう、あの「ハダカで藤椅子に座ったポスター」でも有名な、「エマニエル夫人」がそれだ。


今回紹介するのは、ミドルエッジ世代の永遠のエロ映画にして、日本に「ソフトポルノ映画ブーム」を巻き起こすきっかけとなった伝説の作品。そう、誰もが一度は目にしたであろう、あの「ハダカで藤椅子に座ったポスター」でも有名な、「エマニエル夫人」がそれだ。

ショートカットの少年の様な風貌は、当時のポルノ映画界にとって新鮮だった。
今見ても、充分過ぎる程エロい!

「エマニエル夫人」主演女優のシルビア・クリステル!

実はこの「エマニエル夫人」が、なんと日本公開当時にコミカライズされていたことが判明!
そこで今回は、貴重な「エマニエル夫人」のコミック版を、紹介させて頂くことにしよう。
注:映画「エマニエル夫人」について詳しく知りたい方は、以下のリンクよりどうぞ。

エマニエル夫人 - Wikipedia

映画「エマニエル夫人」日本公開当時の状況とは?

一般的な藤椅子に座ったエマニエルのデザインでは無い、レアなバージョン。

「エマニエル夫人」劇場ポスター。

「エマニエル夫人」が日本公開されたのは、1974年の12月。年末のお正月映画として我々の前に現れた時のことは、今でも良く覚えている。
とにかく、我々ミドルエッジ世代にとって本作の衝撃と話題性は、前年末に公開されたあの不朽の名作、「燃えよドラゴン」に匹敵する大事件だった!
その夏に公開された「エクソシスト」と並んで、アクション、ホラー、ポルノ映画という、男の3大映画ジャンルに革命を起こした作品が、この年に集中して日本で公開されたことは、正に奇跡と言えるだろう。

本作は初の「女性向けソフトコアポルノ」としての宣伝展開が取られ、公開劇場も日比谷のみゆき座が当てられるなど、今までポルノ映画のターゲットからは外されていた、女性観客層の取り込みに成功して大ヒットを記録!
配給収入も、前年のお正月映画として公開された「燃えよドラゴン」の16億に肉迫する、15億円を上げている。
現在の状況からは信じられないかも知れないが、子供が普通に見ている夕方の時間帯にも、本作のTVスポットが流されていたし、後年テレビ朝日の「日曜洋画劇場」では、お茶の間に堂々と放送されてもいる。

もちろん、TVスポットにはハダカのシーンは一切含まれておらず、TV放映版も劇場公開版を更にソフトにした物なのだが、それにしても、当時の日本人のハダカに対する許容度の深さには、驚かされるばかり。ああ、ミドルエッジ世代で良かった!

右から、「スクリーン」臨時増刊号と、「続エマニエル夫人」公開に合わせて発売された「ロードショー」別冊とその中身。当時はこれを買うのに、どれだけ勇気が必要だったか・・・。

公開当時に発売された特集雑誌たち

中身は「続エマニエル夫人」の写真中心だが、「エマニエル夫人」おもいでの名シーン集も掲載されていた。

ロードショー別冊の中身。

画像でも判る様に、公開当時は有名映画雑誌でも、別冊や特集本が出るほどの人気だった。

こちらは二見書房から発売された、原作小説「エマニエル夫人」。
これ以外にも、続編である「反処女エマニエル夫人」と、違う作者による「ローマのエマニエル夫人」を加えて、全3冊が発売されていた。

原作小説の翻訳版も当時発売された!

もちろん、原作小説の翻訳も出版されていた。
こうしたメディアミックス展開が取られていた証拠を見ると、当時の日本の熱狂振りが実に良く分かる。

「エマニエル夫人」コミカライズ版概略

実は、「エマニエル夫人」のコミカライズ版は、2作品存在する!
週間漫画サンデー掲載版と、意外にもお堅いイメージの週間読売に掲載された、真崎守先生による作品の2本だ。
実は今回、奇跡的に漫画サンデーの現物は入手出来たのだが、残念ながら当時の週刊読売の入手は出来なかった。

ああ、これで永遠に真崎守先生版の「エマニエル夫人」を読むことは出来ないのだろうか?
そう思って完全に諦めていたのだが、ちょっと待った!
問題の週刊読売掲載版の「エマニエル夫人」、実は真崎守先生の作品集「残照」にちゃんと収録されていたのだ!

真崎守選集19巻「残照」が出版されたのは、ちょうど「エマニエル夫人」公開から5年目に当たる昭和54年のこと。確かに時期的に配給会社の権利が切れる頃なので、それで奇跡的に単行本に収録されたのだろうか?
とにかく、収録されたのはこの作品集だけであり、しかもその後一切再販や別の作品集・短篇集への収録も行われていない。

何にせよ、こうして我々が再び本作を目に出来るのは、まさに奇跡!
それでは、まず週刊読売に掲載された、真崎守先生版の「エマニエル夫人」から紹介させて頂くことにしよう。

週刊読売版「エマニエル夫人」内容紹介

この本が出版されたのは、昭和54年。
版権の関係で雑誌掲載以降は単行本に収録されず、二度と見ることが出来ない作品が多い映画のコミカライズ版だが、本作は奇跡的に真崎守選集の19巻に収録されている。幸いプレミア価格にはなっておらず、古書店では普通に当時の定価1200円以下で買えるのも嬉しい。

作品集「残照」の表紙と扉絵。

週刊読売に掲載された「エマニエル夫人」が、まさか単行本に収録されていたとは!
しかもこの選集19巻は、全編2色カラーでの収録となっており、確実に雑誌掲載時よりも、良い条件で収録されているのが嬉しい。

次に紹介する漫画サンデー版と違って、真崎守先生のエマニエルは、髪型といい体系といい、正に映画その物!

映画のOP通りの冒頭場面。

飛行機内の回想シーンもあり。

この辺りの構図やコマ割りも、映画と同じ。

テニス場でのレズシーン!

映画では判り難かったこれらのSEX哲学が、コミカライズ版ではより判りやすくなっている。

性の伝道師マリオとのSEX問答開始!

映画では、相手が酔っ払いの軍人だったが、本作ではホームレスの老人に変更されている。

SEX修行開始!

基本的に、映画の各場面を忠実にトレースしており、殆ど真崎守先生独自のアレンジは行われていない。ただ、画像の通りエマニエルの足を触る男が、このコミカライズ版では老人に変更されている点くらいだ。

この場面も素晴らしい!映画の中での荒々しさや突然の暴力を、マンガでも良く表現していて実に見事!

映画の見所1、阿片窟でのレイプシーン。

この場面でのエマニエルの感情変化の表現は、映画よりも上手い!

映画の見所2、衆人監視の中でのSEX。

いかがだっただろうか?
実は長年、「エマニエル夫人」のコミカライズは、是非とも手塚治虫先生に!と思っていたので、この真崎守先生版「エマニエル夫人」は、その理想的イメージにかなり近く、個人的には大満足の内容だった。前述した様に、本作は今でも普通に入手可能なので、気になった方は是非入手されてみては?
それでは次に、週刊漫画サンデー掲載版の「エマニエル夫人」を紹介していくことにしよう。

週刊漫画サンデー版「エマニエル夫人」内容紹介

掲載されたのは、週刊漫画サンデー1975年1月25日号。

これが掲載雑誌の表紙だ!

なんと、手塚治虫先生の作品や、平井和正原作の「ウルフガイ」シリーズも、同時期に連載されていた。

掲載誌の目次より。

週刊誌掲載によるページ数の関係からか、本作は全4回に分けて連載されていた。残念ながら、現時点で入手出来ているのは、全4回掲載中の最終回のみ。
幸い一番見せ場(つまり濡れ場)が多い部分であるのだが、果たして映画の見せ場であるエロシーンを、どう描写しているのか?その辺も含めて、順を追って見て行くことにしよう。

作者のリ・ブルー先生は女性!
映画同様に女性にも受け入れられそうな絵柄だが、エマニエルの外見が映画とは真逆なのが残念・・・。

第4回の扉絵。

性の伝道師マリオとの運命の出会い。

連載第4回目の最終回は、パーティーのシーンから始まる。
エマニエルのSEXの伝道師となるマリオとの出会いによって、エマニエルの性の遍歴が描かれるのは、ほぼ映画通り。

漫画サンデー版では、相手の男が映画とほぼ同じ外見。

まさかの寸止め!

本来は、見せ場の筈の阿片窟でのレイプシーンだが、絵柄の問題もあって全く興奮しないのが残念・・・。

段々ハードになって行くマリオのレッスン。

エマニエルの外見が原作者のエマニエル・アルサンに近いのと、日本人には好き嫌いが分かれる絵柄のため、やはりいまいち興奮しない・・・。

映画での最高の見せ場がこれ。

絵柄のせいか、どこかほのぼのした感じが・・・。

勝者の景品にされるエマニエル!

ちゃんと宣言してから抱くのが男らしい!
漫画サンデー版のマリオは、映画と比べてかなり若く体格もいい。

ついにマリオとの最終テスト。

残念ながら、漫画サンデー版は絵柄が完全に外国風にアレンジされており、エマニエルの外見も映画とは全く違うため、正直全くエロさが感じられないのが困った物・・・。
ただ、連載時は読者に好評だったようで、ページ欄外に書かれた読者からの感想やメッセージには、女性からのファンレターも掲載されている。

最後に

ソフトコアポルノ映画ながら、公開されたのが日比谷のみゆき座だったり、TVスポットの大量投下が成功して、女性観客が劇場に押し寄せて大ヒットを記録したことなど、今までの固定観念を見事に覆した本作は、正にポルノ映画版「燃えよドラゴン」と言えるだろう。

実際、この「エマニエル夫人」の大ヒット後、日本では女性をターゲットにおいたポルノ映画が大挙して上陸。例えばSMを取り上げた「O嬢の物語」や「イマージュ」、より綺麗に描かれていて女性向きだった「ビリティス」、その他にも「マダムクロード」などなど。

実は「エマニエル夫人」公開の2ヶ月前、同じくミドルエッジ世代にとっての「性の目覚め映画」の名作、「青い体験」が公開されており、こちらの作品も後の、「イタリア製童貞喪失映画」や「イタリア製SEX喜劇」の日本公開への先駆けとなっている。

更にはハードコアポルノの「ディープスロート」や「グリーンドア」などもこれ以降日本で公開!この様に1974年以降、日本の映画興業界には、一気に外国女優のハダカとSEXが溢れることになって行くのだが、それはまた別の機会に詳しく紹介することにしよう。

とにかく、我々ミドルエッジ世代としては、この激動の時期に立ち会えた幸運に感謝するしか無いのだが、こうした当時のコミカライズ版を再び読むことで、当時を知らない世代の方にも、公開当時の時代の空気を感じ取って頂ければと思う。

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