【国鉄時代に登場した新”快”速】117系電車の魅力

【国鉄時代に登場した新”快”速】117系電車の魅力

経営難の崖っぷちに立たされた国鉄が、京阪神の都市間高速輸送のために投入した「新快速」用電車117系。浜松より先、中国地方にまでその勢力を広げていた”快い”電車の魅力をご紹介します。


117系とは。

117系はこの電車です。

117系。

国鉄117系電車 - Wikipedia

首都圏にお住まいのミドルエッジ世代の方にとっては見たこともない車両だと思います。関西にお住いのミドルエッジ世代にとっては、今も現役の車両ですので、今も使っているよ!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

国鉄の「切り札」新快速について

「普通」と「快速」

国鉄(JR)においては、「普通」は、基本的に「各駅停車」あるいは「鈍行」と称される列車です。基本的にという言葉があるように、普通列車が必ず全部の駅に止まるとは限りません。
「各駅停車」と「鈍行」は、完全に同じものではないんですね。
かつては、「長距離夜行鈍行」などというものがありました。長距離を走るため、途中人口の閑散地帯を真夜中に通るので、無人駅などは通過する列車が当たり前でした。
首都圏の方には、常磐線の「快速より普通のほうが速い」なんて現象も昔ありました。日暮里を出た後、朝方の「普通」に限っては三河島と南千住を通過したのに、快速は停まるという珍現象が起きていました。
現在は「ややこしい」という批判のため、全部の「普通」がこの駅にも停車します。

それに対し、「快速」は、速達サービスのために通過する駅がありますが、急行や特急と違って、乗車券だけで乗れて、急行券、特急券は不要ですよ、という列車を表します。

「新快速」登場の舞台裏

かつての国鉄にとっては、国鉄の役割は首都圏や関西圏と、地方都市とを結ぶ「長距離専門」であり、例えば京都ー大阪や大阪ー神戸、豊橋ー名古屋や名古屋ー岐阜などは、完全に私鉄にお任せ状態でした。この区間には阪急、京阪、阪神、名鉄といった私鉄が複数走り、こまめな駅の設置や高頻度運転、座り心地の良いシートや特急のノンストップ運転など、国鉄がもはや手を出せないほどにまでサービスが向上していました。

しかし、国鉄の財政状況が苦しくなると、実は私鉄よりも国鉄の方が、このような区間の「線形」が良いことに気が付きました。途中の都市のことを考えず直線的に線路を作ったので、車両さえ改善すれば、工夫の余地が生まれるのです。

そこで登場したのが「新快速」という、京都ー大阪ー神戸をほぼ途中ノンストップで結ぶ快速電車の設定でした。

昭和45年10月、新快速が登場。しかし、車両のほうは、既存の113系、のちに急行列車から格下げした153系といった、昔ながらの車両でした。

最初の新快速の時刻表。 

新快速の歴史

新快速の歴史

出典:裏辺研究所 さまより。

113系新快速(リバイバル運転の画像です。)

113系&117系新快速リバイバル運転

出典:裏辺研究所 さま

153系新快速電車

1979年&1980年 〜Blue Liner(153・165系新快速)撮影記〜 - 日本の旅・鉄道見聞録

首都圏の人にとっては、113系の快速なんて当たり前というか、国鉄に快速があること自体稀有なものでしたが、関西の人にとっては、車両がこれでは、「まだまだ私鉄のほうがいいな」という意識が強かったと思います。
私の祖母は京都市の人ですが、国鉄京都駅が最寄りの駅なのに、「国鉄なんてそんな不便なものに乗らない」と言い、わざわざ市バスに乗って阪急の河原町駅なり四条大宮駅まで行って阪急に乗っていたくらいですから。

117系の登場。

出典:裏辺研究所 さま

117系新快速

1979年10月14日 〜City Liner(117系新快速)展示会

新快速はその速さから、次第に人気を呼び始め、国鉄も「これはいける!」と判断し、いよいよ新型車両製造に着手します。
153系は、通称「デカ目」と呼ばれるように、古めかしいようなデザインですが、この117系は、ライトも四角で、前面形状も流線形、非常に外観の格好いい車両に仕上がりました。

117系は戦前に先輩がいた。

モハ52系

国鉄52系電車 - Wikipedia

カラーリングが117系とそっくりなのが、おわかりいただけると思います。

52系電車(静態保存:youtube Japan Railway 日本の鉄道 さまより借用)

流電・国鉄52系電車・モハ52001・JR西日本吹田総合車両所一般公開 - YouTube

「転換式クロスシート」の採用

113系、153系ではボックスシート

鉄道車両の座席 - Wikipedia

117系の一番の特徴は、「料金不要の国鉄の快速に、転換式クロスシートを採用」というものでした。競争相手がすでにデラックスな車両を走らせている中で、国鉄も負けてはいられない、と、破格の設備を導入しました。
これは、東京の人には考えられないことです。113系のボックスシートでさえデラックスに思える中、料金不要で転換式クロスシート、という117系の登場で、東京圏と関西圏の通勤電車の豪華さの差は、決定的なものになりました。

転換式クロスシート

鉄道車両の座席 - Wikipedia

転換式クロスシートの通勤電車は、東京圏では京急が有名ですが、たくさんある車両の中のごく一部です。東武東上線のTJライナー、西武鉄道のS-trainなど、通勤客の減少に危機感を持った首都圏私鉄が細々と採用を始めましたが、大多数は鉄道ファンからは「貨物扱い」などと呼ばれる「ロングシート」ですね。

最近は車両のコストダウンにより、「片持ち式」のロングシートになり、よりシートが固くなり、座り心地が・・・。

ロングシート

鉄道車両の座席 - Wikipedia

後進に道を譲った117系。

117系は、その後、名古屋地区の新快速にも進出するなど、国鉄時代末期のスター的役割を担いましたが、人気が集中し、「2ドア」という設計がネックとなり、後進の221系電車、311系電車に、新快速の道を譲ります。
117系を設計した当時は国鉄が不人気だったので、まさかこんなに多くの人が117系を利用するとは想像できなかったのかもしれません。

関西JRが誇る「三羽がらす」

221系

JR西日本221系電車 - Wikipedia

223系

JR西日本223系電車 - Wikipedia

現在の新快速のメイン。

225系

JR西日本225系電車 - Wikipedia

この3つの車両の快適さは、とてもではありませんが首都圏JRでは味わえないものです。

名古屋の新快速

311系

JR東海311系電車 - Wikipedia

313系

JR東海313系電車 - Wikipedia

新快速は岐阜ー名古屋はわずか19分。
東京でいえば中央線快速東京ー中野間と同じ時間です。
名古屋ー豊橋間は快適な座席とものすごい速度で、新幹線よりもこちらに乗りたいと思わせるような車両です。

国鉄を立て直し、JRの発展の礎を築いた117系の現在。

現在はこのような色に塗装されているようです。

現在の117系 youtube chuchikomoさまの動画から借用。

117系京都車 集約臨時列車 阪和線 美章園駅通過 JR Hanwa Line Bishōen Station (2017.5.30) - YouTube

乗っておくならいまのうち? 京阪神でいまなお現役、国鉄型電車(写真15枚) | 乗りものニュース

こちらのサイトもご参照いただきたいのですが、JR西日本は、JR東日本とは違い、大ドル箱の首都圏輸送による利益がない分、古い車両を改良して長い間使う傾向があります。そのため、首都圏ではすでに見られなくなった国鉄時代の電車が、まだ見られる区間が多くあります。
その中では、首都圏で一切走らなかった、名古屋、大阪専用として造られた117系は、やはり異色の存在です。

117系の車内

117系車内 youtube tsu1112k さまの動画より借用。

JR東海117系快速金山行MT54モーターの響き - YouTube

見てください!このスッキリした車内。
2ドア車両ならではの景観です。
まるで特急電車。これが追加料金一切なしで乗れるのです!。

「普通 近江舞子 行き」電車のどちらかに117系が運用されているようです。

京都駅 電光掲示板 youtube Phos Movie さまの動画より借用。

117系 湖西線 京都⇒近江舞子 HD 車窓 琵琶湖展望 - YouTube

現在117系に乗るためにはどの電車に乗ればいいか、調べましたが詳しくはわかりませんでした。
湖西線、草津線で今も活躍とのことですので、京都駅で待っていれば会える確率は高いのでは、と推測されます。

東京では考えられない豪華な通勤電車の礎を築いた117系。
関西のご旅行の際に出会えたら、ラッキーですね。

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