
突き進め! ジオンの無敵戦車部隊!
今回は、『ガンダム』初期クールで、地上戦のジオン主戦力となった、 マゼラアタック戦車の、旧1/144キットのご紹介です!
マゼラアタック 1/144 1982年5月 400円

当時のボックスアート。さすが戦車プラモだけあって、ミリタリー色を前面に押し出したデザイン
戦車! どこからどう見ても、既にただの戦車です、マゼラアタック!
ロボットアニメのプラモデルなのに、とうとう戦艦だけじゃなく、ただの戦車まで商品的学徒動員! マゼラアタック!
でも、ただの戦車じゃないぞマゼラアタック!
なんか理屈はよくわからないけれど、砲塔だけが分離して空を飛ぶぞ! これが噂のミノフスキークラフトなのか? マゼラアタック!
しかし、通常の戦車形態だと、肝心の砲塔が回転できない謎構造のマゼラアタック!

完成したマゼラアタック その完成度はアニメディテール準拠であれば、今でも完璧なクオリティを誇る
というわけで、『機動戦士ガンダム』(1979年)第1クールから第2クールにかけて、主に地上戦でのジオン軍の戦力として、ザクをサポートする役割で、多々登場しては爆発炎上をつづけた、栄光のヤラレメカ、ジオンの戦車、マゼラアタックの商品化である。
この1/144 マゼラアタックは「『機動戦士ガンダム』テレビ版のアニメ本編に登場した1/144メカ」としては、第一期ガンプラブームでは、同時発売の1/144量産型ゲルググと共にラストを飾るメカ。
とりあえず「1/144でアニメに登場するメカ」としては、3か月後の8月にコア・ブースターが発売されるし、「1/144のジオンモビルスーツ」としては、7月のアッグガイをはじめとしてジュアッグ、アッグ、ゾゴッグなど、映像未登場の没モビルスーツ群は発売されていくことになるが、コア・ブースターはテレビ版のメカではなく、劇場用映画でGアーマーの代替として設定された新メカであり、残りのジオンモビルスーツは、テレビ版制作時に冨野由悠季監督によってラフだけ描かれた本編未登場のジャブロー強襲作戦用モビルスーツを、改めて大河原邦男氏がクリンナップしたものを商品化した、いわばモビルスーツバリエーション(MSV)の先駆けであって、ガンプラはもうこの時期、売り出せるモビルスーツの1/144は、ほぼ出し尽くし終わっていた。

正面上方から見たマゼラアタック
今にして思えば、マゼラアタックまでたどり着いちゃったんだからあと一息、どうせでついでなんだから、ドップファイターとかルッグンとか、むしろマッドアングラーとかギャロップとか、出番が多くて、モビルスーツでもモビルアーマーでもない敵メカは、他にもいっぱいあったのだから、ガンガン模型化してくれちゃってもよかったのにと、当時人型のモビルスーツ以外はほぼ買わなかった中学生が、今更になって無責任に言ってみる(笑)

砲塔の可動はこの程度が精一杯。本文にもあるけど、砲塔が一切回転できない戦車というのが、ある意味斬新すぎる(笑)
むしろこうして商品化を振り返ると、連邦軍の量産型メカ、特に陸戦用は一切商品化されておらず、現代に至るもせいぜいが61式戦車ぐらいで、レビル将軍の地上戦の旗艦でもあったビッグトレーを始め、デプ・ロックとかドン・エスカルゴとかファンファンとかフライマンタとか、ホラそこのあなた、こんな兵器の名前を羅列されても、どんなメカだったかさえ、思い出せないでしょう? そりゃこれらどれもこれも、商品化されなかったんだから。
でもまぁ、そんなマイナーメカでも、当時は出ないとは言い切れなかった風潮があったのもこれまた事実(というか、ガンダム消しゴム、通称「ガン消し」では、それらほとんどが商品化されていたので二度びっくり)。

後方からみたマゼラアタック。パーツ数とディテールは当時のガンプラの中でも群を抜いてレベルが高い
実はこのマゼラアタック、並み居る『機動戦士ガンダム』マイナーメカの中では、妙な好待遇を受けていて、2006年3月には「ガンダムシリーズの非人型マイナーメカを、少数でも欲しい人向けに、高品質だが高価格帯の特別プラモデルシリーズで提供する」という名目の、EXモデルシリーズで、2機セットでハードディティールでハイエンドな1/144プラモデルが新規発売されているのだが。
いや、今回のシミルボンでの『ガンダムを読む!』の再現画像企画では、マゼラアタック程度を、そんな劇画調のハイディティールにされても、他のメカとつり合いが取れないし。っていうか、アニメ準拠なら当時のこのキットで充分なわけで(EXモデル版は、同スケールのザクに、マゼラトップ砲を持たせるためのアリバイ商品のような気もするし)。っていうか、そもそもマゼラアタック程度の存在に、3500円も出せるほど裕福じゃねぇし!(あ……本音言っちゃった)

分離した状態のマゼラトップとマゼラアタック。小さなピンダボ一つでの脱着なので、合体機能というほどのものはない
とりあえず、まぁグダグダ言ってても埒が明かないので、この旧キット版1/144 マゼラアタックを組み立て始めます……が。
なに、この、改めてマイルドにキレるしかないレベルの、小さな箱に詰め込まれた膨大なパーツ群は!?
確かにマゼラアタックは、アニメメカとはいえ戦車だけれども!
このパーツの細かさと数は、完全にバンダイ、調子に乗ってスケールモデルを設計してる設計供給している錯覚に陥ってるよね!?

ここが合体用のピンダボ。御覧のように四角い合体構成なので、合体後は砲塔が回転しない仕様
これ、軽く数えても1/144ザクの4倍、同じ1/550スケールのガウ攻撃空母の10倍はあるぞ、パーツ数!
バンダイ、完全にスケールキットの分割と精度でパーツ構成を分割してまいりやがりましたよ!
このスケールで動輪が1個単位で2パーツとか、このスケールで手すりや数㎜レベルのバーニアとかまで別パーツとか、組み立てる方の身になれよっていう!
多分、マスターグレードのガンダムF91を組み立てたときと同じレベルの、労力と精神力を消耗しました……。

分離後は、空陸両面から敵を攻撃可能! ……と書くと聞こえはいいけれど、戦車部分の方は、主砲に飛んで行かれると、この3連マシンガンしか攻撃手段が残っていない……
しかしこのキット、マゼラトップとマゼラベースに分離合体出来たり、さらにそこから、マゼラトップの砲塔だけが分離出来て、別のパーツに差し込むだけで、ザクが劇中で携帯していたマゼラトップ砲へと組み替えられるプレイバリューがあるのだけど……。

分離した後のマゼラトップ。相変わらずジオンの飛行メカの「飛べなさそう」さは半端ないデザイン感覚
元からの精度の問題か、金型の経年劣化の問題か、マゼラトップとマゼラベースの合体も、マゼラトップ砲の固定も、ゆるゆる過ぎて洒落にならない。
イマドキであればそれら接合部はポリキャップかKPSでがっちり食いつくのだろうけど、まぁ今回も、演出の都合でマゼラトップとマゼラベースの合体(乗せてるだけとも言う)は残しておいたが、砲塔の方はあまりにもポロリが多くてストレス過多になるので、マゼラトップにがっつり接着をしておいた。

ホワイトベースをなんとしてでも叩き潰すため、分離して攻撃だ!
コンパチって言ったって、事実上は細長い円筒状の砲塔を、戦車ボディとは別のパーツに差し込みかえるだけなんだから、どうせだったら最初から、ザクが持てるマゼラトップ砲用パーツを丸々をオマケに付けておいた方が、絶対に皆が得をする仕様になったと思うのだが……。マゼラアタック本体とマゼラトップ砲で唯一共通する砲塔のパーツなんて、細くて短いモナカ割りパーツが2個だけなんだし……。

しかし、その直後にガンダムには、もののついでのように撃ち落とされるぞマゼラトップ!
というわけで完成!
完成して分かったが、この戦車、砲塔が真正面を向いたまま、回転することが出来ないデザインと構造だぞ!? なんせ接続部分がスクエア構成なんで、砲塔だけを回転させるわけにはいかない。
どうしても真横や斜めの敵を撃ちたければ、凄腕早業で、超信地旋回とかしないと絶対に先に敵弾の的になってしまうという!
いや、どうせアニメ版では、二次元の嘘と、ジオン驚異のメカニズムで回転させてるんだろうけど。そもそも論的に、これってどうよ?

ザコメカ扱いだったけど、『ガンダム』全編で一番マゼラトップが輝いていたのは、このランバ・ラルの仇討ちでの、ハモンさんのガンダムの背中を狙った急襲作戦だっただろう!
と、謎の問いかけをしてみたところで何も解決しないので、とっとと塗装に移る。
まぁ。、いつものようにベースのグリーンはキットのまんま。
追加塗装は、マゼラベースの方の機銃をミディアムブルー、マゼラトップのコックピット周りをUG06 MSグリーン、コックピットをスカイブルー+ホワイト、ライト類をイエローで塗装。後は、パネルラインに墨入れをした上で、ライトとコックピットをマスキングして、最後に艶消しトップコートでフィニッシュ。
うん! どこからどう見てもマゼラアタックだ! これでよし!
市川大河公式サイト