若者と多国籍の街・渋谷のど真ん中で"80's歌謡"を掲げるミドルエッジ的なMUSIC&BAR「マホガニー」!

若者と多国籍の街・渋谷のど真ん中で"80's歌謡"を掲げるミドルエッジ的なMUSIC&BAR「マホガニー」!

若者と多国籍な人々で溢れる街、東京・渋谷。そんな街では一風変わっている、80'sミュージックを中心に寛げるバーがある。MUSIC&BAR「マホガニー」、かつてミュージシャンを志した店主・深澤さんが「マホガニー」に行き着くまでの歩みを語っていただいた。


今も昔も若者の街、加えて近年は多国籍な人々で賑わう街、東京・渋谷。
そんな街のど真ん中に、80's歌謡を流しながらお酒を楽しむ店「MUSIC&BAR マホガニー」はある。

長渕剛や浜田省吾をこよなく愛する店主、深澤さんと出会ったミドルエッジ編集部(ミド編)は、80's歌謡が心地よく流れるマホガニーで、店主にしっぽりと語っていただく機会を頂戴した。

東京都渋谷区道玄坂2-7-3三善ビル4F
営業時間:18:00〜翌03:00

「MUSIC&BAR マホガニー」店主の深澤さん

兄貴の影響で長渕剛にハマった青春時代

僕、実家は栃木県の那須で、信号もないような田舎で育ったんですよね。昭和48年生まれなんですけど、兄貴が2人いて、6つ上の兄貴が音楽好きでYMOやアイドル系の菊池桃子とかのレコードを買ってきてよく聞いてたんですよ。その影響で自分も音楽が好きになりました。邦楽メインなんですけど。

その中で兄貴が長渕剛を聞いてて、自分も「巡恋歌」を聞いた時にスゲー衝撃を受けて「なんだこの良い歌は!声も綺麗だし!」って長渕にハマっちゃって。ドラマに長渕剛が出るようになると全部見て、そのうちレコードからCDになると過去の作品も一通りレンタルしてきて、どんどん長渕にのめり込んで行ったんですよね。BARBEE BOYSとかBOOWYとか久保田利伸とかも聞いてはいましたけど、一番ハマったのは長渕剛でした。

はるか南、長渕剛の母校へ

高校卒業のタイミングがきて、兄貴二人とも高卒だったんで、親が「お前ぐらいは大学行っておけ」と言われて進学することにしたんです。それまで真剣に卒業後の事は考えてなかったんですが、昔から得意だった絵を活かした大学に行こうと決めたんです。で、全国を探したら自分の行けそうな大学もあって。北は道都大学、南は九州産業大学が候補だったんですけど、よくよく調べたら実は九州産業大学は長渕が行ってた大学なんですよ。途中で退学してますけど。長渕ファンの自分としては「コレは行くなら九州産業大学しかねぇな!」って思いましたよ。

ギターにのめり込んだ大学時代

九州産業大学に入って僕は寮に入ったんですけど、隣の部屋から長渕剛の「とんぼ」をギターで弾いてるのが聞こえてきて、速攻で隣の部屋に押し掛けて「教えてくれ!」って隣人に頼んだんですよ。仲良くもないのに急に頼まれて隣人ははじめビックリしてましたけど(笑)でも「いいよ」って教えてくれて、そこから仲良くはなりましたけどね。

隣人に教えてもらって「とんぼ」をマスターしたら、他の曲も弾きたくなって、そこからギターにハマっていきました。大学のアコースティックギター同好会に入ったりして。学園祭で「とんぼ」を熱唱する機会があったんですけど、マンモス大学だから観客も結構いて、その時の感動が忘れられなくて。若気の至りってやつか、プロになろうと思い立って大学も行かずにストリートでギター弾くようになっていきましたよ。長渕もストリートでやってた警固公園で僕もやってましたね。

飾ってあるだけでなく、要望があれば演奏もさせてくれるのだ。

洒落た店内には、ギターも飾られている

東京で就職

大学卒業後は東京のデザイン系の会社に就職しました。ただ、頭の中ではそのうち「音楽で食っていこう」というのがあって、“東京に行くこと”がどっちかと言えば目的でしたね。板橋にある会社だったんですけど、休みの日は池袋に出て芸術劇場でストリートライブしたりして。そうこうしてるうち、音楽への熱が上がってきて、2年も経たないで会社を辞めちゃったんですよ。親や親戚にはスゴく怒られました・・・(笑)

月1でライブハウスに出演

当時、渋谷にアピアというライブハウスがあって、そこはオーディション受けて通れば月イチでライブに出ることができたんですよね。で、オーディションを受けたら通って、ライブに出られるようになったんです。普段は派遣でアルバイトしながら生計を立ててました。印刷機をまわすオペレーターの仕事だったんですけど、そのうちその会社で彼女ができたんですよ。僕が24~25歳の時、一つ年上の彼女でした。付き合いたては彼女も自分の音楽活動を応援してくれてたんですけど、パッとしない状況が続いて、彼女から愛想を尽かされるというか・・・自分自身も目標を見失ってしまって。それで、彼女と結婚するために音楽を辞めてきちんと就職しようと思いました。派遣で働いてた会社でそのまま正社員になる道もあったんですが、会社の先輩に自分の音楽についてボロクソ言われたことがあって、その先輩の世話になりたくない気持ちが強くて、別の会社に就職しようと思いました。

音楽やスポーツなど、何らかの道でプロを志した人間なら分かち合えるかもしれない、夢や目標と現実の生活とのギャップ。

「音楽」と「生活」

音楽の道をあきらめ再就職

B-ing見て、CDジャケットを印刷する会社を見つけて、そこに転職したんですよ。まぁそこでもイヤらしい計算はあって、取引先がソニーとかワーナーとかの会社だったんで、デモテープ渡したりできるかなぁって。まぁ薄っぺらい戦略なんですけど(笑)

それまでの仕事は作業着だったんですが、初めてスーツを着てネクタイをしめて営業をやり始めました。印刷物の刷り上がり状態のチェックや、売上の多いアーティストの印刷を他社から乗り換えてもらえるよう営業をかける仕事でした。

CDジャケットのデザインは決まってるんですけど、レコード会社の担当者からの色見とかの注文が細かくて、とにかく調整が大変でした。アイドルの顔色が悪いとかなんとか・・・それによってCDの売上が変わるかどうかは微妙なんですけどね。

この会社は2年ほどで辞めてしまったものの、音楽産業の現場に携わることが出来たと振り返る深澤さん。

CDジャケットの印刷現場を経験

再び転職、そして離婚

またB-ingを見て、今度はCMの絵コンテを作っている会社に入りました。“CM業界”というのが華やかなイメージで「いいなぁ」と思ったんですよね。ただ、入社してみたら華やかどころか本当に忙しくて。営業で入ったんですが、プロデューサーに近いことをやってました。電通とか博報堂からくるラフをリアルに描き起こすわけですが、プレゼンでは絵コンテの質が高い方が勝てるわけです。だから、書き直しが多くて・・・細かい指示が多くて本当に大変でした。転職初日だけですよ、定時で帰れたのは。その後はほぼ徹夜続きでめちゃくちゃ大変でしたけど、職も転々としてたからこの頃は腹くくってて、結果12年間くらい勤めました。

どっぷりと広告業界に入っていった深澤さん。現実の生活のため必死で働く一方、若いころの自由な生き方は忘れられなかったようだ。

現実の「生活」、がむしゃらに働いた12年間

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