爆風スランプの淡く切ない名バラード『大きな玉ねぎの下で』

爆風スランプの淡く切ない名バラード『大きな玉ねぎの下で』

切なさ溢れる青春恋愛バラード、爆風スランプ『大きな玉ねぎの下で』。 今も愛され続ける名バラードの切なく悲しいストーリーや誕生秘話、「玉ねぎ」のネーミング由来、貴重な武道館でのライブ映像などを紹介。


爆風スランプの名バラード『大きな玉ねぎの下で』

ポケベルも携帯電話もなく、文通やラブレターがメインだった頃。
文通相手(ペンフレンド)と初めて実際に出会うことになった少年に起きた出来事を歌った切なく悲しい青春恋愛バラード『大きな玉ねぎの下で』。

爆風スランプが1985年に発売した2ndアルバム『しあわせ』に収録。
『Runner』や『リゾ・ラバ -Resort Lovers-』がヒットした後の1989年10月21日に15枚目のシングルとしてリメイクバージョンの『大きな玉ねぎの下で 〜はるかなる想い』を発売、オリコン週間TOP10に入るヒットとなった。

作詞:サンプラザ中野
作曲:嶋田陽一
編曲:BAKUFU-SLUMP、松原幸広

コスモ石油CMソング
松竹映画『バトルヒーター』主題歌
1989年12月31日の『第40回NHK紅白歌合戦』でも歌われた。

大きな玉ねぎの下で 〜はるかなる想い

早稲田大学のサークルのバンド"爆風銃(バップガン)"と"スーパースランプ"を母体に、ボーカルのサンプラザ中野(2008年に芸名を「サンプラザ中野くん」に変更)とギターのパッパラー河合を中心に結成された4人組。

1984年に『よい』でデビュー。ギャグ感覚満載のユーモラスな歌詞と超絶的テクニックによるファンク・チューンで人気を集める。
コミックバンド的な扱いであったが、1988年に出した「Runner」の大ヒットで人気バンドの仲間入り。
以後「リゾ・ラバ」「大きな玉ねぎの下で」などもヒットし、1990年代初頭のJ-POPシーンを盛り上げた。

爆風スランプ(BAKUFU-SLUMP)

『大きな玉ねぎの下で』の歌詞で描かれた切ないストーリー

主人公の少年は遠くに住んでいる文通相手の女の子への想いが募り、貯金をはたいて武道館で行なわれるライブのチケットを購入して送る。

「玉ねぎ」のネーミング由来と、楽曲誕生秘話

玉ねぎ=日本武道館の擬宝珠(ぎぼし)

曲名および歌詞に登場する「玉ねぎ」とは日本武道館の屋根の上に載っている擬宝珠である。

大学時代にサンプラザ中野が武道館近くの首都高速道路を走行中にたまたま目に入った擬宝珠の印象を何気なく「玉ねぎみたいだ」とバンド仲間に語ったことがネーミングのきっかけになったという。

「玉ねぎ」の他にも「九段下」「千鳥ヶ淵」など曲の舞台が日本武道館であると特定できる要素が歌詞に含まれているが、武道館の名前自体は歌詞に含まれていないため、「わかる人にはわかる」歌詞になっており、「玉ねぎって何のこと?」と疑問に思う人も多かった。

日本武道館は1964年のオリンピック東京大会を機に建設された。
設立された頃は『日本武道の聖地』的な意味合いが現在以上に強かったため、1966年にビートルズのコンサートが行われた際には、「日本の武道文化を冒涜する」などとして異を唱える者も多かった。
ビートルズの来日公演以降、多くのアーティストが伝説に残る公演を行ない『ライブの聖地』とも呼ばれている。

日本武道館(にっぽんぶどうかん)

擬宝珠は橋や寺社の欄干などに使用されており、一説には、仏教において願いを叶える宝珠を模したものだから、模擬の宝珠という意味で擬宝珠と名付けられたといわれている。
ネギの花に似ていることから「葱台(そうだい)」とも呼ばれているが、このことをサンプラザ中野が知ったのは曲ができた後であり、「当たらずとも遠からずの歌詞だった。お釈迦しゃかさまもほほ笑んでくれたらうれしいね」と感想を残している。

日本武道館の擬宝珠(ぎぼし)

武道館への想いが生んだ『大きな玉ねぎの下で』誕生秘話

爆風スランプがメジャーデビューした1984年。
日本武道館に近い九段会館でライブを行った。

「武道館でコンサートを行う」
それは多くのミュージシャンにとって憧れである。
九段会館のトイレの窓から武道館の擬宝珠を眺めながら「俺らもいつかはここで」と願った。

だが、その"いつか"はあっさり訪れる。
九段会館でのコンサートが好評で翌年の12月に武道館でコンサートを開催することが決定した。
感動は大きく爆風スランプは武道館ライブ決定を記念して開催直前の1985年10月10日に『嗚呼!武道館』を4枚目のシングルとしてリリースした。

いっきに夢を実現させた爆風スランプであったが、客席にむけて消火器を放射したり、スイカを投げたり、放送禁止用語交じりの過激な歌詞などからコミックバンド扱いだったため、「俺らが武道館を満員にできるわけない」と不安になっていく。

そこで、「どうせ満席に出来ないのであれば空いている席にも物語を持たせよう。」という流れで、『席が空いているのはペンフレンドを誘ったけど来なかったから』という言い訳を歌詞にした『大きな玉ねぎの下で』が作ることになった。
 
空席の言い訳ソングだったのに、サンプラザ中野は歌詞を書きだすと「もっと良い作品にしたい」という思いが強くなり、どこから何が見えるのか武道館周辺で現地調査を行ったり、締め切りギリギリまで歌詞を悩みまくった。
レコーディングを翌朝に控えた深夜3時に最後のフレーズが決まった。
当時はFAXもメールもないので自宅からディレクターに電話で歌を聴かせてOKをもらったという。
その最後まで悩んだ歌詞の部分は「君のための席がつめたい」であった。

1999年に発売された『大きな玉ねぎの下で』のアンサーソング

テレビ東京系「ASAYAN」の「乱発オーディション」でデビューを勝ち取ったYURI(中村友理)と、友人のMARI(伊澤真理)の二人組ユニットYURIMARI(ユリマリ)。

YURIMARIは爆風スランプのサンプラザ中野・パッパラー河合が共同プロデュースとして関わり、1999年1月に5thシングルとして『大きな玉ねぎの下で』のアンサーソング、『初恋~はるかなる想い~』をリリースした。

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