映画『約束』若きショーケンと岸恵子の感動の名作

映画『約束』若きショーケンと岸恵子の感動の名作

映画『約束』は1972年に公開された岸惠子主役の邦画で、ショーケンこと萩原健一の映画初出演した出世作です。仮釈放中の女性受刑者と親を知らない青年。孤独を抱えた女と男が列車の中で出会う。そして二人の『約束』は男女の愛を超え母子のような信頼感に昇華する。


映画『約束』

『約束』は、偶然列車に乗り合わせた、男女のつかの間の出会いと別れを描いた名作です。
斉藤耕一監督の美しいカット冴え、北陸の漁村が旅情的に描かれています。
宮川泰の音楽がフランス映画のように感じます。

映画には列車のシーンが多く、車内で2人が出会う場面は、実際の気動車急行車内でロケが行われ撮影されました。

二人は偶然出合う舞台は、日本海を北上する北陸本線の列車の中。

若い男(ショーケンこと萩原健一)は向かいの座席に座る中年女性(岸惠子)にしつこく話しかけます。
男を無視し続ける女の眼差しは、彼女の過去にむけられています。

女は受刑囚です。過去に夫の暴力に耐えきれず殺人を犯してしまったのです。模範囚として刑期を務めました。そして今は、仮出所中の身であり、女監視員とともに母親の墓参りに行く途中でした。

男が買ってきた弁当を列車内食べる。
懐かしい昭和の列車の光景です。

孤独を抱えた女と男・墓参りと逢瀬

「かしわざき?」の駅に着くと女は海辺にある墓へむかいます、その後を若い男はついていきます。
このショーケン(萩原健一)が演じる若い男は、軽薄なチャラ男だが、どこか憎めないキャラクターです。

実はふたりとも底知れぬ孤独を抱えているのです。
そんな男と中年女は、言葉を交わすようになります。

墓参りのシーンで、女が男に「あなたのお母さんは?」と聞く。
男は「え。おふくろは死んじゃったし、おやじは見たこともねえし、名前も知らねえや。
でもよ、お蔭で喧嘩だけは強くなったし」と答える。

暮れかかる海辺のシーンで、男が女に名前を聞きます。
女「松宮蛍子。蛍の子と書いてケイコ」と答えます。
男が「蛍なんて見た事がない」と言うと女は、「あたし、この世に蛍がいるなんてもう信じない」と言います。

海には漁へ向かう漁船の明かりが見えます。
男はその明かりを見て「あっ、蛍だ!」と叫びます。
女は男のその言葉に涙がこみ上げてきます。

二人は翌日、海辺の休憩所で会う約束をします。

約束した場所についた女は、手鏡のなかの自分を見つめ、一人化粧直しを始めます。
男に好意を抱く、振れ動く女心を上手く表現しています。

その頃、男は事件に巻き込まれ、人を刺してしまいます。そして女と約束した場所へ向かい走っていました。

男が休憩所へ着いた時には女は帰った後でした。
代わりに女から預かったという腕時計を店主に渡されます。

男は改札を通り抜け、女を引き留めようとします。
そして「俺、ムダにした三時間を取り戻したいんだ。いい加減な気持ちでこんな事言ってんじゃねえんだ。俺、真剣なんだよ。頼むよ。な、戻ろうよ」と言います。

女は足を止め、自分の身の上を語りはじめます。
「あなたにだけは隠しておきたかった。私、囚人なの。模範囚なの。だから、刑務所から特別な許可を貰って母の墓参りに来たの。明日の朝の八時までに刑務所に戻らなければならないの。ごめんなさいね」

女はホームへの階段を登る、ホームのベルが鳴った。
男は階段を駆け上がり、汽車に飛び乗ります。

できることなら…

夜汽車は二人が初めて出会った時と同じように刑務所のある街へ向かい走っていました。
座席についた女は男のシャツに血がついている事に気がついていまた。

夜行列車が突然止まり「土砂崩れの為しばらく停車をする」と車内アナウンスが流れます。
二人は停車している列車の外に降り抱き合い、口づけを交わします。

そして、男は涙ながらに「一緒に逃げよう。今なら大丈夫だよ」
「本気?」と答える女に「当たり前だ。誰も知らねえ町へ行ってよ、二人だけで暮らそう。
俺、結婚なんてんじゃなくていいんだよ。あんたの弟でも何でもいいんだよ。俺、一生懸命働くからよ」と言う男の言葉に女は胸いっぱいにこみ上げてくる感情を抑え「ありがとう」と答えます。
そして、ひとり列車へ戻ります。

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