スラッシュ・メタルの魂を貫く硬派なバンド

スレイヤー(SLAYER)
1981年にアメリカで結成されたスラッシュメタルバンド。1983年のデビュー以降、攻撃性のあるヘヴィ・サウンドでスラッシュ・メタルというジャンルを確立し、エクストリーム・メタル・シーンの頂点に君臨し続け、帝王ともよばれています。
Metallica(メタリカ)、Megadeth(メガデス)、Anthrax(アンスラックス)らの錚々たるバンドとともに「BIG 4(スラッシュメタル四天王)」の一角に数えられています。
さきほどの3つのバンドが当初の音楽スタイルを方向転換させた後も、スラッシュ・メタルのスタンスを頑なに守りつつ活動を続けていて、後のデスメタルやブラックメタルのバンドにも多大な影響を与えています。
また、音楽の表舞台ともいえるグラミー賞にも、これまで3回ノミネートされており、2007年には『Eyes of the Insane』が、2008年には『Final Six』が最優秀メタル・パフォーマンスに選ばれるなど人気を誇っています。
一方、彼らの歌詞やアルバムジャケットにたびたび用いられる、死や自殺、精神異常、サタニズム、連続殺人犯、戦争などといったダークなテーマは、しばしば議論を呼ぶことになります。
それによって、アルバムの発売禁止や延期、訴訟に発展した事案も。1980年代にはPMRCの標的にされたりと苦労もありました。
「BIG 4(スラッシュメタル四天王)」のバンドって?

Metallica(メタリカ)
アメリカで1981年に結成されたヘヴィメタル・バンド。現在のメンバーはジェイムズ・ヘットフィールド(vo,g)、ラーズ・ウルリッヒ(ds)、カーク・ハメット(g)、ロバート・トゥルージロ(b)。1983年にデビュー。1986年の『メタル・マスター』で、当時スラッシュメタルの代表格へ躍り出ました。2008年の『デス・マグネティック』は世界25ヵ国で1位を獲得し、2009年にロックの殿堂入りを果たすなど、次々と金字塔を打ち立てる活躍をみせています。

Megadeth(メガデス)
メガデスは、メタリカを解雇されたDave Mustaine(デイヴ・ムステイン)を中心に、1983年にL.A.で結成されたヘヴィ・メタル・バンド。音楽的にはテクニカルなギターリフや複雑な曲展開が魅力。バンドのフロントマンであるムステイン自ら"インテレクチュアル(知的な)・スラッシュメタル"と称しました。

Anthrax(アンスラックス)
アメリカで1981年に結成されたスラッシュ・メタル・バンド。スラッシュ・メタルのメジャー化に貢献し、1987年のサード・アルバム『アマング・ザ・リヴィング』で一気に知名度を上げました。1991年には、ヒップホップグループの雄パブリック・エナミーのチャックDをフィーチャリングした彼らの楽曲“Bring The Noise”をカヴァーしたシングルが大ヒットし、メタルとヒップホップという異色のコラボレーションを実現させ、ラップメタルという新たなジャンルを開拓しました。
1983年からはじまる オリジナル・アルバムディスコグラフィー

Show No Mercy (1983)
1983年にリリースされたファースト・アルバム。当時、すでに”悪魔主義”的なイメージ作りをしており、過激な楽曲も多数収録されていたため、PMRCからアルバムを発売差し止めの抗議も起こりました。音楽性は、Iron Maiden(アイアン・メイデン)、Venom(ヴェノム)、Judas Priest(ジューダス・プリースト)、などのバンドの影響を受けたことが感じられるサウンドになっています。

Hell Awaits (1985)

Reign In Blood (1986)
1986年にリリースされたサード・アルバムで、邦題は『血の王朝』。全体的に速い曲の構成で、10曲収録されているにもかかわらず、アルバムトータルで29分4秒とコンパクトになっています。
また、ヘヴィメタル史上、屈指の名盤といわれることも多く、ライブでもこのアルバムから多く選曲されています。

South of Heaven (1988)
前作よりスローテンポの曲が増えたものの、アルバム自体は当時最も商業的に成功し、ビルボードチャートで初登場57位を記録しました。

Seasons In The Abyss (1990)
アルバムのタイトル曲「Seasons in the Abyss」は、シングルとしてもリリースされ、全英チャートで最高位51位に。また、はじめてミュージックビデオも制作されました。

Divine Intervention (1994)
アルバムリリース当時の1994年近辺は、ニルヴァーナをはじめとしてオルタナティブ・ロック全盛期だったため、多くのヘヴィメタル・バンドやハードロック・バンドは苦境に立たされており、路線変更を余儀なくされるバンドも多数見受けられましたが、彼らは自分達の音楽性を曲げることを拒み、スラッシュ・メタルを貫きました。

Undisputed Attitude (1996)

Diabolus In Musica (1998)

God Hates Us All (2001)

Christ Illusion (2006)

World Painted Blood (2009)

Repentless (2015)
まとめ

いかがでしたでしょうか。1980年代からスラッシュメタルのスタイルを崩さず、ファンの期待を裏切らない作品をリリースし続け、音楽フェスではヘッドライナーを務める帝王スレイヤー。最新アルバムから2年、そろそろ聴きたい彼らの新作にも期待がかかります。