ホームランキング 王貞治の1本足打法   Flamingo Style Butting of Homerun King Sadaharu Oh.

ホームランキング 王貞治の1本足打法 Flamingo Style Butting of Homerun King Sadaharu Oh.

王貞治の澄んだ瞳と誠実さは尋常ではない。 個性とバカ話が渦巻く野球界にあって、ひと際、異彩を放っている。 しかし単なるお人好しじゃない。 鉄拳制裁や、、道場通い、刀を握っての練習などは、まさに鬼の所業だった。 三振王からホームラン王に、さらに世界の王となった現役時代の王貞治の軌跡を、一本足打法を中心にまとめてみました。


ダウンスイング

野球のバットスイングは、大きく
・レベル(水平)スイング
・アッパー(振り上げ)スイング
・ダウン(振り下ろし)スイング
の3つに分けることができる。
当時の野球は、アッパースイングがよいとされた。
しかし荒川はダウンスイング主義者だった。
重いバットを振るとどうしてもバットの先は下がっていく。
その力を利用するために、ボールを上からみるように構えて、バットはトップからボールまで最短距離で振り下ろすのである。
王は、レベル、あるいはアッパースイングだったが、ダウンスイングに矯正された。

巌の身

荒川は、バッターボックスに立ったとき、巌の身になるよう指導した。
「巌の身」とは、
宮本武蔵の剣の極意で、
「岩尾の身と云うのは、動くことなくして強く大きな心」
「磐石のごとく成て万事当たらざる所、動かざる所」
だという。
王は、この動かざる姿勢を練習した。

軽く、柔らかく、逆らわず

スタンスは球道と平行に立つ。
前(右)肩は、下げすぎず、かつキャッチャー側にねじり過ぎないように。
右手は、軽く、柔らかくバットを持って、十分、後方にに引かれているように。
そしてボールが来たら、手で打つのではなく、ボールを引きつけて腰で打つ。
このように
「球道に逆らわず、打つことがバッティングの真髄。」
と荒川は指導した。
王のスタンスは、内角に対抗するために開き気味だったが矯正され、バットの握りも固かったが、傘を持つように軽く、柔らかくした。

ノーステップ

バッティングは、十分な体重移動がなければスイングできない。
体重は、最初は後ろ足へ、それから前足へ移動する。
一般的に、ロングヒッターほど、この体重移動が大きく、スイングも大きい。
まだ2本足打法だった王に、荒川はノーステップ気味にするように指導した。
ボクシングや剣道では、短い距離で攻撃が繰り出され、それに対応する。
それと同じように、瞬間的にボールが来たら、瞬間的に自然に打つためステップを指導した。
王も、それまでタイミングをとって打っていたが、力まず軽く、そして気は抜かずに構えた。
そのスタンスは狭くなった。
1歩足打法は、2本足で立っている姿勢から、1本足になる。
2本足から1本足になるときに体の移動があり、その移動の時にスタンスが広ければ広いほど1本足になるときに姿勢が崩れやすい。
だからスタンスは狭い方がよかった。
ピッチャーが、どんなタイミングで、またどこに投げても、王は、いつでも打てる姿勢で待って、いつでも打てるようなフォームを目指した。

「間」「気」

合気道の創始者:植芝盛平は、「間」について、
「間なんていうものは必要ない。
あるべきでもない。
合わすべきでもない。
相手があると思ってはいけないし、相手があるとしたら掌握しなければならない(相手と感じてはいけない)。」
という。
現役時代、荒川は、長年、合気道の稽古を続けた。
その鍛錬の中から得た「間」と「気」を、バッテイングに応用した。
そして王に「間」と「気」について
「打球が来たら打てばいい。」
と指導した。

合気道

荒川同様、王も実際に合気道の道場に行き、稽古を行った。
合気道の基本を学び、相手の力を使う(投手がボールに与えた力をうまく利用する)ことや、「気」をバッティングに応用していった。
力任せにバットを振るのではなく、ピッチャーが球に込めた力を利用してボールを弾き返すほうがより強い打球が打てた。
また「気で打つ」といって、臍下丹田(ヘソの下10㎝辺り)の1点に気を集中し、球が来たら体全体でボールを打った。

関連する投稿


緊急刊行!長嶋茂雄さんの追悼特集号『NumberPLUS 長嶋茂雄』(仮)が6月26日に発売決定!!

緊急刊行!長嶋茂雄さんの追悼特集号『NumberPLUS 長嶋茂雄』(仮)が6月26日に発売決定!!

6月3日に長嶋茂雄さんが89歳で死去したのを受け、文藝春秋が刊行するスポーツ総合誌『Sports Graphic Number』より、「ミスタープロ野球」としてファンに愛された国民的スーパースターである長嶋さんの功績をたたえた追悼特集号『NumberPLUS 長嶋茂雄』(仮)の発売が決定しました。


【訃報】巨人軍終身名誉監督・長嶋茂雄さん死去。3月には大谷翔平との“対決”が話題に

【訃報】巨人軍終身名誉監督・長嶋茂雄さん死去。3月には大谷翔平との“対決”が話題に

プロ野球界における伝説的存在“ミスタープロ野球”こと長嶋茂雄(ながしま しげお)さんが3日、肺炎のため東京都内の病院で亡くなっていたことが明らかとなりました。89歳でした。


読売巨人軍がついに90周年!数量限定メモリアルブック『伝説のナイン・ストーリーズ』が特設サイトで好評発売中!!

読売巨人軍がついに90周年!数量限定メモリアルブック『伝説のナイン・ストーリーズ』が特設サイトで好評発売中!!

文藝春秋より、読売巨人軍90周年の記録と新たな次の未来に向けた進化と挑戦を描いた数量限定メモリアルブック『伝説のナイン・ストーリーズ』が、特設サイト「Side B with Number」で現在好評発売中となっています。


【訃報】“球界のドン”渡辺恒雄さん死去。「たかが選手が」などを振り返る!!

【訃報】“球界のドン”渡辺恒雄さん死去。「たかが選手が」などを振り返る!!

読売新聞グループ本社主筆の渡辺恒雄さんが19日、肺炎のため東京都内の病院で亡くなっていたことが明らかとなりました。98歳でした。


【シーズン打率最下位!】「世界の◯◯王」「鉄人◯◯」など意外な面々が・・・

【シーズン打率最下位!】「世界の◯◯王」「鉄人◯◯」など意外な面々が・・・

首位打者は、言わずと知れたシーズン打率首位の打者のことで、歴代獲得者に数々の名打者の名を見ることができます。一方、"シーズン打率最下位" の打者を見ると、意外にこちらでも歴史的名打者の名を見ることができます。今回は1960〜1990年代を対象に、"シーズン打率最下位" となった名打者を振り返ります。


最新の投稿


「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

株式会社KADOKAWA Game Linkageは、ナムコットブランドのファミコンソフト『パックマン』、『ゼビウス』、『ドルアーガの塔』の外箱をモチーフにした「クラシックゲームブランケット」3タイトルを2026年2月16日に発売します。両面印刷で外箱の表裏デザインを忠実に再現し、A5サイズ16ページの冊子も同梱。現在、予約受付中です。


病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

日本文芸社は、「昭和100年」の節目に、書籍『眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話』を11月27日に発売しました。庶民文化研究家・町田忍氏監修のもと、「病院でもタバコOK」「消費税なし」「過激すぎるTV」など、令和の感覚ではありえない“自由すぎた昭和の本当の姿”を、図解と豊富な資料写真で紹介。世代を超えたコミュニケーションツールとしても楽しめる一冊です。


ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

映画『ビー・バップ・ハイスクール』公開40周年記念イベント「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」が、聖地・清水駅前銀座商店街で12/13・14に開催決定!初日は仲村トオルさん登壇のセレモニーを実施。学ラン・セーラー服でのコスプレOKエリアや、名シーンの聖地巡礼ツアー、映画全6作の上映会など、アツすぎる内容で、あの頃の青春がブッ返る!


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。