「ぼく」と王子の出会い
「ぼく」はパイロット
この物語の本当の意味での主人公。間違いなく作者本人である
「ぼく」サン=テグジュペリは
事実、飛行機のパイロットでした。
この作品の元になったと思われる、1935年のリビア砂漠での飛行機墜落事故の体験は、
サン=テグジュペリによる随筆集『人間の土地』で語られています。
物語の中で「ぼく」は理由はともかくサハラ砂漠のど真ん中に不時着してしまいます。
そして「とても大切な」「とても不思議な」体験をするのです。
王子の住んでたところは?
かわいらしい星

王子の住む星
王子の星は家ほどの大きさで、そこには3つの火山と、
根を張って星を割いてしまう程巨大になるバオバブの芽と、
よその星からやってきた種から咲いた1輪のバラの花がありました。
王子はバラの花を美しいと思い、大切に世話してきました。
しかし、ある日バラの花とけんかしたことをきっかけに、
他の星の世界を見に行くために旅に出ることになりました。

王子の愛したバラ
王子の語ったこと
どこかへんてこな大人ばかりにあってきた王子の
色々な星々への旅は
子供でしかも一人で住んでいた王子にはわからない
大人たちばかりであったでしょう。
1つ目の星
自分の体面を保つことに汲々とする王
2つ目の星
賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れ屋
3つ目の星
酒を飲む事を恥じ、それを忘れるために酒を飲む呑み助
4つ目の星
夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やす実業家
5つ目の星
1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行なっている点燈夫
6つ目の星
自分の机を離れたこともないという地理学者

地理学者
7 ここは7つ目の星だよ
6番目の星にいた地理学者の勧めを受けて、王子は7番目の星、
地球へと向かいました。
こんな話を「ぼく」は王子から聞くことになります。
王子とヘビの出会い

王子とヘビの出会い
王子の知る現実

ヘビ
『続・フランス語の部屋』 『星の王子さま』のテーマ型サービスエリア
「井の中の蛙、大海を知らず」という意味合いではないでしょう。
自分の愛してきたものに対する、評価の低さを自分自身が
感じてしまう「現実」に嘆き悲しむのです。
王子とキツネの出会い

王子とキツネの出会い
キツネとの会話
泣いている王子は次にキツネと出会うことになります。
悲しさを紛らわせようとキツネに「一緒にあそばない?」と
誘うが、キツネは「仲良くならないと遊べない」と答えます。
ここでは多くの大人に対する「示唆」を含んでいるのだと思います。
戦時中のほぼまともな考えを出来なくなってしまっていた多くの大人たち
ことに今まで隣人として仲良く付き合っていた人たちが
「ユダヤ人」だと判るだけで(凄惨な)迫害を受けることに
疑問を感じても表現できなくなっていた彼らに伝える
メッセージだったのではないのでしょうか。
王子とキツネとの別れ
キツネの語った大切な言葉

王子とキツネ
キツネと別れる時を迎え、王子は「やっと仲良くなれたのにこんな悲しい思いをするぐらいなら出会いなどなければいいのに」と思ってしまいます。
するとキツネはこう言います。「黄色く色ずく麦畑を見て、君の美しい金色の髪を思い出す事が
出来るなら、仲良しになれた事は無駄でも悪いことでもなかったんだよ」と答えました。
そして別れ際にキツネから大切な事を教えられます。

キツネの有名なセリフ
井戸を見つけた!
その時は・・・
日々、飛行機を修理しようと苦闘していた「ぼく」は王子の話を何となく聞きながしていましたが、
ついに水が底をつき、どうしようか途方に暮れることとなります。
すると王子が「井戸を探しに行こう」と言います。
こんな砂漠のど真ん中に「井戸などあるわけもないじゃないか」と思いつつも王子についていくと
本当に井戸を見つけるのでした。
「ぼく」は王子と一緒に水を飲みながら王子が地球に来て明日でちょうど1年になることを聞きました。
その後王子をそこに残したまま修理のため飛行機のある所に戻っていきます。
王子との別れ
1年前に決めていた
翌日、奇跡的に修理に成功した「ぼく」は喜び、王子に報告しようと王子のもとに行きました。
すると王子はちょうどヘビと話をしているところでした。

ぼくの思うこと
微笑んでいいの?
最後に
アニメの最初の見出しに出てくる作者の言葉の示唆するところは?
この物語りを
世界中の子供達に
また自分が子供だった頃を
忘れがちな大人達に
そして
うわべだけでなく
物事の ほんとうの美しさを
見つめる勇気を持った
すべての人々に
心からの友情をこめて
贈ります。
サン・テクジュペリ



これはいったいどういうことだろう?
戦時中に創作されたこの本は「彼の親友」を慰めたいと
その人物の実名を入れたうえ献辞に書かれ
作者自身そう語っている。
そう彼、レオン・ヴェルトは「ユダヤ人」だったのである。
アドルフ・ヒトラーによる著作「我が闘争」に対する民主主義的視点からの
強烈なアンチテーゼだったとすれば、また違った意味を持つ複雑な性格を
持っているのではないでしょうか・・・

サン=テグジュペリ