ジェリービーンとは

リミックス
一度完成した楽曲を再度編集し直して、新しいヴァージョンにする作業をリミックスと呼ぶ(あるいは、そうして出来た新しいヴァージョンそのものをリミックスと呼ぶ)。音量やエフェクトなどの調整を行うだけでなく、中には新たな演奏を追加するなど、原曲とはかなり異なるアレンジにしてしまう場合もある。レゲエにおけるダブが発祥と言われているが、70年代のディスコ・ブームによって世界的に広まったとされている。
12インチシングル
12インチ(30cm)サイズのシングル・レコード。通常の7インチ(17cm)シングルに比べて、長い時間収録できることもあり、いわゆる「ロング・ヴァージョン」や「エクステンデッド・ミックス」といった、リミックス・ヴァージョンをリリースするためのフォーマットとして、80年代に定着。当時日本ではジャンボ・シングルとも呼ばれ、LPより音が良いという点も、売りにしていた。残念ながら90年代以降、12インチのリミックスは面白みを失ってしまい、遊び心のある斬新なリミックスが施されていた80年代の12インチが懐かしいと感じる人も多いことだろう。

ジェリービーンが手掛けたリミックス作品
80年代、あまりにジェリービーンのリミックスが素晴らしかったため、あらゆるアーティストがジェリービーンにリミックスを依頼する異常事態に(笑)!ジェリービーンの場合、原曲の良さを残しつつも、新たな解釈を付け加えた、リミックスする必然性を感じさせるようなリミックスばかり、というのがスゴかった!
Madonna - Like A Virgin
ジェリービーンといえば、マドンナ!デビュー・アルバムが、ヒット曲連発で長く売れすぎていたために、なかなかセカンド・アルバムをリリースできずにいた彼女。ようやくリリースされたこの先行シングルでは、売れっ子ナイル・ロジャースをプロデューサーに迎え、それまでのダンス・ミュージック路線から大きくステップアップした、まさにクイーン・オブ・ポップへの階段を駆け上っていくセンセーショナルな楽曲をリリース!マドンナ初の全米1位となったこの曲だが、12インチ・シングルに収録されたextended dance remixはジェリービーンが手がけ、オリジナルには無かったシンセのフレーズを追加するなど、2分以上長いヴァージョンとなっている。
a-ha - I've been losing you
デビュー曲「Take On Me」の特大ヒットで、一躍80年代を代表するバンドとなったa-ha。セカンド・アルバムからのファーストシングルとなったこの曲は、本国ノルウェーで1位、全英で8位のヒットとなり、ジェリービーンがリミックスした12インチシングルもリリース!印象的なベースラインを繰り返すところから始まるExtended Mixは、オリジナルより2分以上長くなっている。
Bonnie Tyler - Holding Out For A Hero
映画『フットルース』のサントラからシングル・カットされ全米34位のヒットとなったが、日本では麻倉未稀の日本語カバーがテレビドラマ「スクール・ウォーズ」に使われたことでも知られている。このExtended Remixでは、間奏のホーン・セクションや、シンセのアルペジオなど、各楽器を強調するようなミックスで、オリジナルより2分弱程度長くなっている。
David Bowie - Blue Jean
今年惜しくも亡くなったデヴィッド・ボウイ1984年のヒット曲で、全米8位、全英6位を記録。日本では当時ノエビア化粧品のCMで使われていたことでも知られている。このジェリービーンによるExtended Dance Mixでは、スネアに強烈なリバーブがかけられているのが印象的である他、ベースを強調した間奏が長めにアレンジされており、オリジナルより2分以上長くなっている。
Paul McCartney & Michael Jackson - Say say say
ポール・マッカートニーとマイケル・ジャクソンとのデュエットが話題となり、全米1位、全英2位のヒットとなった。このジェリービーンによるリミックスでは、各楽器のアタックが強く感じられる他、ハーモニカを駆使した間奏が長くアレンジされ、よりダンサブルな仕上がりとなっている。
Joe Jackson - You can't get what you want
ジョー・ジャクソン1984年リリースのアルバム『Body and Soul』からのシングルで、全米15位のヒット。このSpecial Remix Versionはかなり大胆にアレンジが変更されており、個人的にはジェリービーンが手掛けた数多くのリミックスの中でも、最高の出来だと思っている一曲。ベースのスラップが強調されたイントロから始まって、間奏ではオリジナルとは異なるベース・ソロやギター・ソロが挿入されるなど、とにかく全てがカッコイイ!一度このヴァージョンを聴いてしまうと、オリジナルだとちょっと物足りなく感じてしまうくらい。
Little Lies - Fleetwood Mac
フリートウッド・マック1987年のシングルで、全米4位、全英5位のヒット。メイン・ヴォーカルをとっているクリスティーン・マクヴィ作による楽曲だが、サビでのリンジー・バッキンガムやスティーヴィー・ニックスとのかけあいが印象的。ジェリービーンはこの曲を、8分音符でリズムを刻むことでダンス向けなアレンジとしている他、後半にスティーヴィーが一人で歌うパートを入れるなど、オリジナルとは異なる印象のヴァージョンに仕上げている。
Daryl Hall & John Oates - Say it isn't so
ホール&オーツ1983年のシングルで、全米2位のヒット。さらに、ジェリービーンがリミックスしたこのヴァージョンは、ホット・ダンス・クラブ・プレイ・チャートで1位を獲得!オリジナルでも印象的なベースラインをさらに強調したミックスのおかげで、クラブでもウケたのだろう。
Sting - If you love somebody set them free
1985年にリリースされたスティングのソロ・デビュー曲で、全米3位のヒット。ソロになって、ポリス時代よりもさらに幅広い音楽ジャンルのエッセンスを取り込むようになり、特にジャズっぽいアプローチが目立つようになったスティング。ジェリービーンは、パーカッションを多用したイントロや間奏を加えるなどして、オリジナルでは4分強だった楽曲を、およそ倍となる8分にまで引き延ばすという、やりたい放題のリミックスを敢行。それでも、全然ダラダラした感じもなく、最後まで興味深く聴けてしまうのだから、さすが。
The power of love - Huey Lewis & the News
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』主題歌として1985年にリリースされ、全米1位、全英9位のヒット。ジェリービーンのExtended Remixは、イントロや間奏などがかなり引き伸ばされており、オリジナルより約3分も長くなっている。
Whitney Houston - How Will I Know
元々はジャネット・ジャクソンのために書かれたが、ジャネット側が却下したため、ホイットニー・ヒューストンにこの曲がまわってきて、結果全米1位、全英5位のヒットに!ナラダ・マイケル・ウォルデンによるプロデュースで、もともとダンサブルなアレンジが施されていたが、ジェリービーンのリミックスによって、より踊りやすいヴァージョンへと生まれ変わっている。この曲も、オリジナルより約2分長い。
以上、ジェリービーンが12インチシングル用にリミックスした、80年代ヒット曲の数々をまとめてみましたが、いかがでしたか?とにかく数多くのリミックスを手掛けていたジェリービーンなので、ご興味があれば他にも探して聴いてみてください!