ゴルフ一色だった杉原さんが前立腺がんを宣告されたのは1997年12月のこと。
前立腺肥大を気にして病院に行き、細胞を取り出して行う生検で確認された。
発見された前立腺がんは、比較的初期であった。
医師は、外科手術によって患部を摘出する方法と、ホルモン療法で患部の拡大を抑制していく方法があることを説明した。
ホルモン療法は、前立腺がん増殖の原因となる男性ホルモンを薬剤によって抑える方法。
現役を続けることしか頭にない杉原さんの選択は、ホルモン療法しかなかった。
なぜなら、手術すれば完治する可能性が高いと言われても、クラブが振れるまでに3カ月かかるということだから。
「仮に寿命が縮まっても、ゴルフ人生を第一に考えたい」と。
しかし、前立腺がん治療とトーナメントプロを両立させるのは至難の業だった。
というのは、競争心は男性ホルモンのなせる業だから。
ホルモン治療を続けたら、賞金稼ぎ的、狩猟社会的パワーが生まれない。
しかしホルモン治療をやめたら、前立腺がんを増殖する。
案の定、ゴルフのプレーに大きな影響が出始めた。
ゴルフと抗男性ホルモン剤が両立しないことを悟った杉原さん。
結局、数ケ月後でホルモン治療をやめた。
「ジャンボを倒すまでやる。自分には時間がない」と。
2008年。とうとうリンパ節転移による再発が判明。
8月の長野オープンで、杉原さんはこのようにインタビューに答えた。
2010年後には、喉、腹、肺の周辺など11ヵ所への転移が認められた。
つまり全身の臓器にがんが飛び散った状態。
再度ホルモン治療を行い、また放射線治療も始めた。
1ヵ月の照射予定を18日間で断念。
しかし、放射線治療開始から3日で喉に違和感を覚えるようになり、