アルゼンチン元エース、ディエゴ・マラドーナは悪童だったのか?神の子だったのか

アルゼンチン元エース、ディエゴ・マラドーナは悪童だったのか?神の子だったのか

ディエゴ・マラドーナは、アルゼンチン・リーグ史上最年少(13歳)でプロデビューし、ボカ・ジュニアーズなどを経て欧州に渡った。FCバルセロナではさまざまな問題に陥り活躍しきれなかったが、SSCナポリではセリエA優勝2回、UEFAカップ優勝1回の動力源となり、「ナポリの王様」としてファンから愛された。アルゼンチン代表エース10番として1986年の本大会で優勝、代表でも大活躍したが、1997年に現役引退から年月が経った現在でも彼の信奉者多い。特にアルゼンチンではマラドーナを「神の子」と崇拝され、ナポリでは「フットボールの王様」として讃えられている。 1977年に歴代最年少(16歳)でアルゼンチンA代表にデビューし、1979年にはU-20アルゼンチン代表としてFIFAワールドユース選手権で優勝して大会最優秀選手に選ばれた。


アルゼンチン初代表

弱冠16歳の代表

プロデビューから間もなくアルゼンチン代表に招集され、1977年2月16日、ハンガリーとの親善試合に途中出場し、16歳にしてA代表の最年少出場記録を樹立した。翌年に地元アルゼンチンで開催された1978 FIFAワールドカップには最終候補の25人に残るも、残念ながら「経験不足」という理由により大会登録メンバーから外れた。マラドーナはこの落選を「人生に永遠に残る、決定的な、一番大きな失望だった」と語る。一方この地元開催のワールドカップでは、同じアルゼンチン人のFWマリオ・ケンぺスが得点王になり、大会最優秀選手(MVP)となった。

1979 FIFAワールドユース選手権

U20チームのキャプテンとして、日本で開催された1979 FIFAワールドユース選手権に出場。6試合中5試合で6ゴールを決め、ワールドユース初優勝に貢献した。チームメイトのラモン・ディアスが8ゴールを挙げてゴールデンシューズ賞(得点王)となり、マラドーナはゴールデンボール賞(MVP)に選出された。圧倒的な攻撃力をみせたアルゼンチンユース代表について、マラドーナは「文句なしに、自分のキャリアの中で一番素晴らしいチームだった」と語る。

1982 FIFAワールドカップ スペイン大会

アルゼンチン代表は1978年大会優勝メンバーにマラドーナ、ディアスらユース世代を加え、1982 FIFAワールドカップに出場した。21歳のマラドーナは10番を付けて出場し、第1ラウンド2戦目のハンガリー戦でワールドカップ初ゴールを含む2得点を挙げた。
第2ラウンド緒戦イタリア戦では「殺し屋」ことジェンティーレに徹底的にマークされた。続くブラジル戦では味方選手がファウルを受けた際、バチスタの下腹部を蹴り、報復行為でレッドカードを受けた。実はこの時マラドーナはブラジルのジーコ率いる「黄金のカルテット」のパス回しに翻弄されており、「逆ギレ」してチームは1-3で大敗し、大会を去った。

マラドーナのための大会

1986年メキシコワールドカップ優勝

1985年5月に約3年ぶりに代表に復帰。ビラルド監督はマラドーナをキャプテンに指名し、その個人能力を活かすチーム作りを行った。マラドーナは右膝に負傷を抱え、チームの成績も芳しいものではなく、当時のチームはメディアから「史上最弱」と酷評されていたが、1986 FIFAワールドカップが始まると一転して華々しい活躍を見せた。グループリーグ初戦韓国戦ではチームの3ゴールすべてをアシスト。イタリア戦ではボレーで同点ゴールを決め、ブルガリア戦でも1アシストを記録した。

準々決勝 アルゼンチン対イングランド 5人抜きゴールと神の手ゴールと

5人抜きの序曲」

試合前には3年前のフォークランド紛争の因縁もあって両国メディアの舌戦が続いたが、その試合はいわゆる「神の手」ゴールと「5人抜き」ドリブルを記録を樹立したした試合として知られた。相手は名もない弱小チームではなく、ゲーリー・リネカー率いるサッカーの母国イングランド。後半4分、ペナルティエリアに走りこんだマラドーナと浮き玉を処理しようとした相手GKピーター・シルトンと交錯したが、マラドーナは空中のボールを素早く左手ではたき、ボールはそのままゴールインした。シルトンをはじめイングランドの選手はマラドーナのハンドを主張したが、審判は彼の得点を認めた。その4分後にはセンターライン付近でパスを受けると単独で60m近くドリブルし、5人を抜いて無人のゴールにボールを蹴りこんだ。前者の得点については「本当は手で触れたのだが、神の思し召しにより許された」という趣旨の発言をしたことから「神の手」ゴールという呼称が広まった。

神の手ゴール

準決勝のベルギー戦でも2得点を挙げ、決勝の西ドイツ戦ではマテウスのマークにあいながらも、ブルチャガに絶妙なラストパスを供給し、決勝点をアシストした。大会中チームの総シュート数のうち約半分を放ち、全14得点のうち5得点5アシストを記録。アルゼンチンを2度目のワールドカップ優勝に導いた事から大会最優秀選手に選ばれ、同大会は「マラドーナのための大会」と呼ばれた。

W杯優勝トロフィーにキスをするマラドーナ(1986年)

その後のワールドカップ大会

1990 FIFAワールドカップ イタリア大会

本大会では不調といわれながらもグループリーグ全試合に出場し、ソビエト連邦戦では自陣ペナルティエリア内で手を使ってシュートを防ぐ2度目の「神の手」を見せた。決勝トーナメント1回戦のブラジル戦では、ドリブルで相手4人を引きつけながら右足でカニーヒアへ絶妙のパスを送り、決勝ゴールをお膳立てした。
準決勝は所属クラブの本拠地ナポリで、開催国イタリアと対戦し、勝利した。決勝の西ドイツ戦では、ブッフバルトのマークに沈黙。敗戦後は人目をはばからず号泣するマラドーナの姿が人々に記憶されている。

西ドイツ優勝に涙

関連する投稿


ナインティナイン 岡村隆史   後先考えない突破者だった時代

ナインティナイン 岡村隆史 後先考えない突破者だった時代

小学校ではオリンピックメダリストと同じ器械体操クラブに所属。中学ではブレイクダンス関西最強チームの切り込み隊長。高校サッカー、強豪校フォワード。そしてNSCの9期生へ。


『マラドーナ追悼イベント』が開催決定!!マラドーナ後のアルゼンチンの10番って誰がいた?

『マラドーナ追悼イベント』が開催決定!!マラドーナ後のアルゼンチンの10番って誰がいた?

オウンドメディア『media CONNECT』の発信などを行うコネクトと、その所属タレントのディエゴ・加藤・マラドーナが共同主催で『マラドーナ追悼イベント』を開催します。東京・MIFA豊洲にて、日程は11月26日。


【話題】マラドーナが1986年に“神の手”ゴールを決めた際のユニフォームが約12億円で落札される!!

【話題】マラドーナが1986年に“神の手”ゴールを決めた際のユニフォームが約12億円で落札される!!

サッカー界のレジェンド、ディエゴ・マラドーナが1986年に“神の手”ゴールを決めた際の着用ユニフォームがこのたび、928万ドル(約11.6億円)で落札されたことが明らかとなりました。


マラドーナ躍動!1983年スペイン国王杯決勝「クラシコ バルセロナvsレアル・マドリード」1月3日WOWOWで放送決定!

マラドーナ躍動!1983年スペイン国王杯決勝「クラシコ バルセロナvsレアル・マドリード」1月3日WOWOWで放送決定!

逝去されたディエゴ・マラドーナ氏の数々の功績に敬意を表し、WOWOWでは放送予定を変更して、1983年に行われたスペイン国王杯決勝「バルセロナvsレアル・マドリード」を放送します。


【訃報】「神の手」ディエゴ・マラドーナ氏が死去。薬物問題のゴタゴタなど、日本との関係とは?

【訃報】「神の手」ディエゴ・マラドーナ氏が死去。薬物問題のゴタゴタなど、日本との関係とは?

サッカー界を代表する伝説的スーパースターであり、「神の子」などの愛称で知られたディエゴ・マラドーナさんが25日、アルゼンチン・ブエノスアイレス郊外の自宅で亡くなったことが明らかとなりました。60歳でした。


最新の投稿


タブレット純が語り尽くす!伝説の「エレックレコード」秘話&秘蔵映像を映画館で

タブレット純が語り尽くす!伝説の「エレックレコード」秘話&秘蔵映像を映画館で

神奈川県民ホールは、音楽イベント「KANAGAWA ロックサーキット」の第3弾として「タブレット純 フォークを語る~伝説のレーベル『エレックレコード』トーク&上映会~」を2026年1月23日にイオンシネマ座間にて開催します。昭和歌謡の伝道者・タブレット純氏とMUSIC LIFE CLUBの井口吾郎氏が、吉田拓郎、海援隊などを輩出したエレックレコードの知られざるアートと音楽カルチャーの軌跡を解き明かします。


懐かしのブリキ缶が大集合!「昭和の缶に、恋してる」レトロ缶企画展開催

懐かしのブリキ缶が大集合!「昭和の缶に、恋してる」レトロ缶企画展開催

東洋製罐グループが運営する容器文化ミュージアムは、企画展「昭和の缶に、恋してる レトロブリキ缶コレクション」を2025年12月15日から2026年2月20日まで開催します。昭和100年を記念し、お菓子や贈答品などに使われた貴重なブリキ缶を展示。缶の構造やデザイン、当時のエピソードも交え、昭和の生活文化とブリキ缶の魅力を再発見できる展示内容です。


「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

株式会社KADOKAWA Game Linkageは、ナムコットブランドのファミコンソフト『パックマン』、『ゼビウス』、『ドルアーガの塔』の外箱をモチーフにした「クラシックゲームブランケット」3タイトルを2026年2月16日に発売します。両面印刷で外箱の表裏デザインを忠実に再現し、A5サイズ16ページの冊子も同梱。現在、予約受付中です。


病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

日本文芸社は、「昭和100年」の節目に、書籍『眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話』を11月27日に発売しました。庶民文化研究家・町田忍氏監修のもと、「病院でもタバコOK」「消費税なし」「過激すぎるTV」など、令和の感覚ではありえない“自由すぎた昭和の本当の姿”を、図解と豊富な資料写真で紹介。世代を超えたコミュニケーションツールとしても楽しめる一冊です。


ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

映画『ビー・バップ・ハイスクール』公開40周年記念イベント「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」が、聖地・清水駅前銀座商店街で12/13・14に開催決定!初日は仲村トオルさん登壇のセレモニーを実施。学ラン・セーラー服でのコスプレOKエリアや、名シーンの聖地巡礼ツアー、映画全6作の上映会など、アツすぎる内容で、あの頃の青春がブッ返る!