ニュー・ロマンティックとは?
ニュー・ロマンティックというムーヴメントは、エレ・ポップを中心とした音楽のジャンルとも言えますが、上記wikiからの引用でも分かるように、音楽的な共通点よりも、むしろ化粧やヘアメイク、ファッション、などのヴィジュアル面で語られることが多いジャンルのように思えます。
そのせいか、純粋に自分たちの音楽を評価してほしいと感じているミュージシャンの中には、ニュー・ロマンティックに分類されることを嫌がる人も、いたりしますね。
今回は、本人たちがどう感じているかはともかく、一般的に「ニューロマンティックだよね!」と言える、80年代前半に活躍したUKアーティストたちをピックアップしてみたいと思います。
VISAGE(ヴィサージ)

Visage Outside The Blitz Club 1980
Visage Website - Discography
まずは元祖ニュー・ロマンティック、スティーヴ・ストレンジ率いるヴィサージを聴かないことには始まりません!1978年に結成され、1980年にシングル「Fade to Grey」が全英8位のヒットとなり、一躍スターとなったわけですが、スティーヴ以外のメンバーが次々と他バンドでの活動に専念するようになってしまい、メンバー交代が頻繁に行われ、残念ながら全盛期は長くは続きませんでした。1985年に解散してしまいます。
その後、ヘロイン中毒などを乗り越え、2002年に活動を再開したスティーヴ・ストレンジ。2013年には29年ぶりに充実の新作を発表、さらに2014年には来日公演が実現!80年代と変わらぬニュー・ロマンティックなシンセ・ポップを聴かせてくれたのでした。
まさに、これからの活躍が期待された矢先、2015年2月に心臓発作で死去。華麗なる復活を遂げた直後だけに、その55歳という若さでの訃報は信じられませんでしたが、最後までニュー・ロマンティックを体現したスティーヴ・ストレンジ、さすがです。
ULTRAVOX(ウルトラヴォックス)

ultravox
Ultravox | Listen and Stream Free Music, Albums, New Releases, Photos, Videos
1975年に結成されたウルトラヴォックスですが、バンドの創設者であるジョン・フォックスが脱退し、前述のヴィサージのメンバーだったミッジ・ユーロが加入してから、ニュー・ロマンティック色を強めていくことに。
1981年にシングル・カットされた「ヴィエナ」が全英2位のヒットとなり、バンドはブレイクしたのですが、その後は徐々にニュー・ロマンティック色を弱めてしまい、ミッジ・ユーロが脱退した1986年に一時解散する事態に。
2008年、ミッジ・ユーロがバンドに復帰。2012年にリリースされたアルバム『Brill!ant』はニュー・ロマンティックの雰囲気が感じられる傑作となりました。Visage亡き後、ニュー・ロマンティックを表現できるのはミッジ・ユーロ=ウルトラヴォックスなのかもしれません。
ABC(エービーシー)

ABC
Lexicon Of ABC Martin Fry | Facebook
1980年に結成、1982年リリースの1stアルバム『The Lexicon of Love』が全英1位のヒット、シングル「The Look of Love」が全英4位、全米18位のヒットとなり、ニュー・ロマンティックを代表するバンドとなりました。
しかしながら、あまりに1stアルバムが好評すぎたためか、2作目はイマイチ売れず、それ以降はニュー・ロマンティックというより、ソウル・ミュージック色を強めた作風でアメリカで成功することになりました。その後、セールスは下降線をたどり、1992年に活動休止。
1997年に、バンドの中心人物であったマーティン・フライがABC名義で復活。現在も、ライヴ活動を積極的に行っており、2016年にはまさかの来日公演も行いました!さらに、1stアルバムの続編となる「The Lexicon of Love II」をリリースするなど、ここにきてニュー・ロマンティックに回帰するかのような活躍を見せてくれています。
HUMAN LEAGUE(ヒューマン・リーグ)

human league
The Human League | Music | The Guardian
1979年にデビュー、1981年リリースの「Don't You Want Me(愛の残り火)」が全英・全米共に1位に輝き、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンをリードすることになりました。
クラフトワークの影響を受けたシンセ・ポップが特徴で、本人たちはニュー・ロマンティックに分類されるのを嫌がっているようですが、プロモーション・ビデオでのビビッドな化粧姿や、男女混成グループならではの華やかさを見てしまうと、ニュー・ロマンティックの文脈で語られても仕方ないのかな、と思ってしまいますね。
DURAN DURAN(デュラン・デュラン)

duran duran
Duran Duran / 画像一覧 - MusicHubz
多くの方にとって、ニュー・ロマンティックと言われて、真っ先に思い浮かぶ代表格といえば、やはりデュラン・デュランではないでしょうか?雑誌のグラビアや、MTVなど、戦略的にニュー・ロマンティックというブームを上手く味方につけた感がありましたね。
ヴィジュアル先行と揶揄されがちではありますが、音楽的にも魅力的で、これまで20曲以上を全米シングル・チャートに送り込んでます。
その後、彼らはニュー・ロマンティックの範疇を飛び越え、シンセ・ポップ主体だったサウンド面も大きく変化し、ゴージャスな音楽性へと変貌を遂げていきます。
当時売れっ子だったナイル・ロジャースをプロデューサーに迎えたり、音楽性の大きく異なる「パワー・ステーション」「アーケイディア」といったサイド・プロジェクトを成功させたり、映画007の主題歌を担当したり・・・
度々メンバー変更を行いながらも、これまで一度も解散することなく、常に第一線で活躍している彼らは、ニュー・ロマンティック勢の中で一番成功したバンドと言えるでしょう。
SPANDAU BALLET(スパンダー・バレエ)

spandau ballet
Spandau Ballet / 画像一覧 - MusicHubz
デュラン・デュランと並んで成功したニュー・ロマンティックのバンドといえば、スパンダー・バレエでしょう。1980年に、デビュー・シングル「To Cut a Long Story Short」がいきなり全英5位の大ヒットに。それ以降も、「Chant No.1」が同3位、「True」が1位、「Gold」が2位、とヒットを連発。
彼ら最大のヒット曲「True」になると、シンセ・ポップというよりもソウルっぽい楽曲へシフトしていったイメージもあるので、デビュー直後はニュー・ロマンティックのイメージで売り出し、早めにシフト・チェンジして、さらに成功したとも言えますね。
バンドは1990年に解散するも、2009年にまさかの復活を果たします!
CULTURE CLUB(カルチャー・クラブ)

culture club
Boy George's Culture Club finally reunited after 15 years split - Mirror Online
カルチャー・クラブの音楽は、レゲエやカリプソの要素を大胆に取り入れるなど、多岐に渡っていたため、サウンド的にはニュー・ロマンティックの域を越えたものがありましたが、ヴィジュアル面では、派手な女装ファッションで話題になるなど、ある意味ニュー・ロマンティックの中心的存在でした。
バンドのフロントマンであるボーイ・ジョージは、元祖ニュー・ロマンティックである前述のスティーヴ・ストレンジ(ヴィサージ)が主宰していたクラブ・イベントで働いていたことがあるらしく、そういう意味でも、ニュー・ロマンティックとは深い関係があったと言えます。
1982年にデビューすると、「Do you really want to hurt me(君は完璧さ)」が全英1位、さらに翌1983年リリースの「Karma Chameleon(カーマは気まぐれ)」は全英・全米ともに1位を獲得。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした!
しかしながら、1986年にボーイ・ジョージがドラッグ事件で逮捕され、バンドは活動休止状態に。その後、何度か活動を再開したこともあるのですが、ボーイ・ジョージが何か事件を起こすたびに活動はストップ。
かつての輝きを取り戻すのは難しいかと思われましたが、2014年に再結成して以降は、新作のレコーディングに加え、コンスタントにライヴ・ツアーも行うようになり、今年2016年にはまさかの来日公演も実現!
髭をたくわえたボーイ・ジョージではありますが、派手なファッションはあいかわらずで、ヴィジュアル面ではいまだにニュー・ロマンティックを追い求めているのかもしれません。
KAJA GOOGOO(カジャ・グーグー)

kaja googoo
Kajagoogoo | Biography, Albums, Streaming Links | AllMusic
前述のデュラン・デュランのニック・ローズがプロデュースした、デビュー曲「Too Shy」が1983年に全英1位、全米5位の大ヒットとなったカジャ・グーグー。髪型を見ただけでも、ニュー・ロマンティックらしさ全開ですね!デュラン・デュランの弟分ということで、このヘア・メイクをさせられた感が・・・(笑)
ニュー・ロマンティックのブームが一段落した、このタイミングで登場したカジャ・グーグー。ある意味、ニュー・ロマンティック最後のバンドと言えるのかもしれません。
そんな人気絶頂の中、ギャラの配当でモメてしまい、ヴォーカルのリマールをクビにしてしまったカジャ・グーグー。当時はアイドル的な人気も高かっただけに、フロントマンが抜けてしまうのはかなりの痛手だったはず。
卓越した演奏テクニックを誇るベースのニック・ベッグスがヴォーカルも兼務する形で、なんとかバンド存続を図るも、結局1985年に解散してしまいました。
その後、5人での再結成の話は何度も持ちあがるのですが、実現したのはテレビの番組企画やフェス参加などの一時的なものだけ。やはり今でも80年代当時にモメたギャラの件が、しこりを残しているようです。
80年代の初頭、わずか数年間ではありますが、ヒットチャートを賑わしたニュー・ロマンティック。
今も尚、現役で活動しているバンドが多いことからも、その人気が根強いことが分かりますよね。
ニュー・ロマンティックのアーティストは、他にもたくさんいますので、
ご興味あれば、いろいろ探してみてください!