サントリー『タコハイ』親しみやすいキャラクターと飲みやすさで愛されたチューハイ

サントリー『タコハイ』親しみやすいキャラクターと飲みやすさで愛されたチューハイ

1980~1990年代に人気を博した酎ハイ、サントリーの『タコハイ』。 親しみやすいタコボーイのイラスト、飲みやすいバリエーション豊富な味で愛されたチューハイの誕生秘話や現在も飲めるのかを調査、さらにアニメ『マクロス』登場シーンや懐かしいCM動画を紹介。


懐かしのアルコール飲料(酒)、サントリー『タコハイ』

親しみやすいタコボーイのイラストと、飲みやすい味と価格から大ヒット!
1983年にサントリーから発売されたアルコール飲料『タコハイ』。

『タコハイ』名前の由来や懐かしいCM動画、現在の販売動向。
さらにアニメ『マクロス』ファンならお馴染み『タコハイミサイル』登場シーンもご紹介♪

1980年代の居酒屋ブーム、酎ハイブームを背景に、サントリーが開発。
最初は180ml缶で販売、のちに容量が上がり200ml缶に替わった。
その後、300mlボトルなど様々なバリエーションで販売されていた。

サントリー『タコハイ』シリーズ

酎ハイブームから生まれた『タコハイ』

1980年頃、当時は焼酎の製造免許を取得していなかったサントリーは、実際は甲類焼酎の「サントリー樹氷(じゅひょう)」をスピリッツ規格の「マイルド・ウォッカ」と称して販売していた。

そこに、居酒屋ブームと酎ハイブームが到来。
サントリーは、樹氷の消費拡大を狙って『タコハイ』の名称で飲み方を提案し、缶入り飲料『サントリー樹氷 タコハイ』を発売した。
なお、サントリーはのちに焼酎の製造免許を取得し、名称も「サントリータコハイ」に変えている。

なぜ、『タコハイ』の名前になったのか?

1982年に女優の田中裕子を起用して、企画制作されたサントリー樹氷のCM「タコなのよ、タコ。タコが言うのよ。」が放映されて評判を呼んだ。
樹氷をそのまま酎ハイベースにし、『酎ハイ』に対抗し『タコハイ』という名称にした。

「タコ」というフレーズを使った理由として、CMを企画したコピーライターの仲畑貴志は「嫁入り前の年齢になったいいとこの娘さんを持った父親をイメージしていたら、当時の雰囲気と簡潔な表現を求めてゆく内に、結果としてタコに行き着いた」と語っている。

親しみやすいキャラクターのタコボーイ

缶や瓶に描かれ、CMにも出演していたキャラクター、タコボーイのイラストは「ひこねのりお」作。
一見、人間のような体型をしているが、袖と裾から2本ずつの手足が出ており、計8本とちゃんとタコの手足を再現している。

『タコハイ』のキャラクター、タコボーイ

ひこねの作品は同じくサントリーの「パピプペンギンズ」や「カールおじさん」(明治製菓)など、CMを離れて独立したキャラクターとして支持されるものが多い。

松田聖子が歌うCMソング『SWEET MEMORIES』や可愛らしいイラストで話題を呼び、後にペンギンズ・メモリー 幸福物語』として映画化された。

サントリーCANビールのキャラクター、パピプペンギンズ

80年代大ヒット!サントリーCMキャラクター『パピプペンギンズ』

ひこねのりおキャラクターバラエティ

懐かしい『タコハイ』のCM動画

ライバル、宝酒造の「タカラCanチューハイ」がCMで対抗!

宝酒造は『タカラcanチューハイ』を手に持ったパンチでボクサー姿のたこ八郎を殴り倒すCMを放送。
『タコハイ』に対する強いライバル意識を表現していた。

たこ八郎を起用した『タカラcanチューハイ』のCM

『タコハイ』は『チューハイ(酎ハイ)』なのか?

『酎ハイ』とはもともと「焼酎ハイボール」の略。
ハイボールとは日本ではウイスキーをソーダ水で割ったもの(ウイスキー・ソーダ)のことを指すのが一般的であるが、広義ではスピリッツやリキュールをソーダやトニックウォーターなどの炭酸飲料や、フレッシュジュースなどアルコールの含まれていない飲料で割ったものを指す。

前述の通り、『タコハイ』のベースとなる『樹氷』が実際は甲類焼酎の「サントリー樹氷」をスピリッツ規格の「マイルド・ウォッカ」と称して販売していたので焼酎割りと言えるような言えないような微妙な感じである。

また、『チューハイ』という言葉自体が酒税法や業界団体での統一基準がないため、焼酎ベースではなかったり、炭酸水割りではないものもチューハイと称されており、より広範なアルコール飲料を指しているので、この考え方では『タコハイ』も『チューハイ』であると言える。

えっ!アニメ映画『超時空要塞マクロス』にタコハイが登場していた?

テレビアニメ『超時空要塞マクロス』(1982年~1983年放送)の劇場用作品『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』に、このサントリー『タコハイ』が登場している。

作画スタッフのお遊びとして、クライマックスで一条輝のバルキリーから一斉発射されるミサイルの中にサントリータコハイとバドワイザービールの缶が混じって飛んでいる(通称「タコハイミサイル」「バドワイザーミサイル」)。
※当時バドワイザーはサントリーがライセンスを取得し、国内で製造販売していた。

このカットの担当者は作画監督補をつとめた飯田史雄。
のちに「やまと」から発売された玩具1/48バルキリーのスーパーパックセットには、これを再現した缶ラベルのシールが付属していた。

「えっ、マクロスの映画見たけど、そんなシーンは無かったよ。」というあなた。
それもそのはず、画面に映るのは一瞬なのだ!

それっぽいのが見えたけど、一瞬過ぎてよくわかんなかったという人も多いはず。

そりゃそうですよね。
緊迫したクライマックスのシーンに、バレバレの演出じゃ問題になってしまいますから。
わかる人にはわかるといった匙加減が心憎い♪

では、その「タコハイミサイル」&「バドワイザーミサイル」の登場カットを画像で紹介♪

缶に描かれたタコボーイのイラストがひょうきんな表情になっている。

「タコハイミサイル」

一瞬すぎて、わかりにくいがこんなにデカかったとは。

「バドワイザーミサイル」

未成年による飲酒が話題になったことも…

キャラクター・タコボーイを用いたポップなデザインで、子供がジュースと間違えて飲んでしまう事例を多数引き起こした。
また、そうした事例を悪用して、中高生などによって意図的に購入されることもあった。
購入する店の従業員や警察官から注意を受けた際に、「缶ジュースと間違って…」という言い訳が立ちやすく、実際に味もジュースのようで罪悪感を感じにくかったためである。

それらの結果、『タコハイ』は「これはお酒です」という注意を促す表記が缶に記された最初の製品でもある。

アルコール飲料「カルピスサワー」にもジュースと間違えられないように「これはお酒です」と記載されている。

カルピスサワーの記載例

『タコハイ』はもう販売していないのか?

他社からの競合となる酎ハイ商品が次々と登場したことにより、『タコハイ』は次第にシェアが落ち込み、1999年以降は1000mlボトル『タコハイ1000』のみでの販売となっていた。

レモン・赤ぶどう・うめ・グレープフルーツの4種類。
ペットボトルではなく、ガラス瓶容器であった。

最後のタコハイ、『タコハイ1000』

さらに、サントリー自身も他の酎ハイ(「-196℃」「カロリ。」「ほろよい」「ストロングゼロ」等)に注力するようになり、『タコハイ』商品は全て製造中止ならびに販売終了となった。

残念ながら、缶でも瓶でも『タコハイ』は現在販売されていない。

タコハイが飲める居酒屋?

サントリーと提携している居酒屋チェーン『やきとり大吉』では、タコハイの名を冠したチューハイが飲み物として提供されている。
スタコ(プレーン)・レモン・ライム・ホワイト・ゆず・りんご酢・いちじく酢の他、赤玉タコハイの8種類。

製法や成分まで当時の『タコハイ』と同じなのかは定かではないが、懐かしい『タコハイ』をもう一度飲みたいという方は是非お試しを。

やきとり大吉オフィシャルサイト

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