トリプルギターにダブルドラムスという個性的なバンド構成のドゥービー・ブラザーズ

トリプルギターにダブルドラムスという個性的なバンド構成のドゥービー・ブラザーズ

バンド内に3人もギタリストが必要なのか?ドラマーが2人というのも多いように思えますよね。しかし、ドゥービー・ブラザーズの音楽を聴いてみると納得です。聴きにくいということは全くありません。むしろ理屈抜きに楽しめる音楽です。そう、彼らのヒット曲のタイトルそのままに「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」です。


The Doobie Brothers

The Doobie Brothers

トリプル・ギターにツイン・ドラムというメンバー構成で知られるドゥービー・ブラザーズは、1970年に結成されたアメリカのウェストコースト・ロックを代表するバンドです。当初は、トム・ジョンストン(G,Vo)、ジョン・ハートマン(Ds)、パトリック・シモンズ(G,Vo)、デイヴ・ショグレン(B)という4人組でした。
ドゥービー・ブラザーズは、メンバーチェンジの多いことでも知られており、入れ代わり立ち代わりで総勢14名。サポートメンバーも含めると19名にも上ります。

それにしても、スラングでマリファナを意味するドゥービーをバンド名にしたところにメンバーの性格とその時代を窺い知ることができますね。

1st

1971年発売の記念すべきファースト・アルバムがこれです。
アルバム・ジャケットには典型的なバイカー・ファッションに身を包んだ4人のメンバー。音楽的にはこのジャケットが象徴するようなハードなロックと、フォークやカントリー色の強いアコースティックなナンバーが収められています。
意欲作ではあったものの、残念ながら商業的には成功しませんでした。

1971年リリース

【収録曲】
1.Nobody 
2.Slippery St. Paul 
3.Greenwood Creek 
4.It Won't Be Right 
5.Travelin' Man 
6.Feelin' Down Farther 
7.The Master 
8.Growin' A Little Each Day 
9.Beehive State 
10.Closer Every Day 
11.Chicago

ドゥービー・ブラザーズ・ファースト

このアルバムで重要なのは、ドゥービー・ブラザーズが解散するまで付き合うことになるプロデューサーのテッド・テンプルマンと仕事ができたことでしょう。
本作は商業的に成功を収めることは出来ませんでしたが、運命のプロデューサーと出会えたことが一番の収穫といえるかもしれません。

尚、テッド・テンプルマンは、後にドゥービー・ブラザーズ以外にもヴァン・ヘイレンやエアロスミス、エリック・クラプトンなど錚々たるアーティストをプロデュースしています。

Toulouse Street

ファースト・アルバム発売直後に早くもメンバー構成が変わります。先ず2人目のドラマー、マイケル・ホサックが加入し、ドゥービー・ブラザーズの特徴であるツイン・ギターとツイン・ドラムスという5人編成が出来上がります。
しかし、それもつかの間、セカンド・アルバムのレコーディング中にデイヴ・ショグレンが脱退してしまいます。結果的には後任にタイラン・ポーターが加入しベストメンバーが揃うことになります。

こうしたバタバタと慌ただしい中で1972年に発売された「トゥールーズ・ストリート」ですが、ベストメンバーが揃っただけのことはある素晴らしい作品となりました。

1972年リリース

【収録曲】
1. リッスン・トゥ・ザ・ミュージック
2. ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ
3. ママロイ
4. トゥールーズ・ストリート
5. コットン・マウス
6. ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン
7. 希望の炎
8. ホワイト・サン
9. ディサイフル
10. スネイク・マン

トゥールーズ・ストリート

シングル・カットされた「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」が全米11位となるスマッシュ・ヒットとなっています。

The Captain and Me

前作の成功で勢いに乗るドゥービー・ブラザーズは代名詞ともいえる名曲「ロング・トレイン・ランニン」を含むアルバム「キャプテン・アンド・ミー」を1973年に発売し、全米7位とヒットしました。

特筆すべきこととして、後に正式メンバーとなるジェフ・バクスターが、サポート・メンバーとして参加しています。

1973年リリース

【収録曲】
1. ナチュラル・シング
2. ロング・トレイン・ランニン
3. チャイナ・グローヴ
4. ダーク・アイド・ケイジャン・ウーマン
5. クリア・アズ・ザ・ドライヴン・スノー
6. ウィズアウト・ユー
7. サウス・シティ・ミッドナイト・レディ
8. イーヴル・ウーマン
9. オコーネリー・コーナーズ
10. ユカイア
11. キャプテン・アンド・ミー

キャプテン・アンド・ミー

What Were Once Vices Are Now Habits

1974年発売のアルバム「ドゥービー天国」は全米4位という大ヒットを記録しました。また、シングル・カットされた「ブラック・ウォーター」が初の全米1位となったほか、「アナザー・パーク」が全米32位、「銀色の瞳」が全米52位と軒並みヒットを記録しています。

その一方で、アルバム発売直前にマイケル・ホサックが脱退し、後任にキース・ヌードセンが加入するというメンバーチェンジが行われています。

1974年リリース

【収録曲】
1. 君に捧げし歌
2. スピリット
3. 53番街の追跡
4. ブラック・ウォーター
5. 銀色の瞳
6. ロード・エンジェル
7. キャント・ストップ・イット
8. お望みのまま
9. ダウン・イン・ザ・トラック
10. アナザー・パーク
11. 砂浜の娘
12. フライング・クラウド

ドゥービー天国

Stampede

ライ・クーダーやマリア・マルダー等がゲスト参加した1975年発売の「スタンピード」は、これまた全米4位となる大ヒット!
本作からも3枚シングル・カットされ「君の胸に抱かれたい」が全米11位、「スウィート・マキシン」が全米40位、「ハングマン」が全米60位となっています。

尚、本作よりジェフ・バクスターが正式にメンバーとなり、トリプル・ギター編成となっています。

1975年リリース

【収録曲】
1.スウィート・マキシン
2.ニールのファンダンゴ
3.テキサス・ララバイ
4.ミュージック・マン
5.スラット・キー・ソキュアル・ラグ 
6.君の胸に抱かれたい
7.ハングマン
8.プレシー
9.レイニー・デイ・クロスロード・ブルース
10.おまえに首ったけ
11.ダブル・ディーリン・フォア・フラッシャー

スタンピード

Minute by Minute

「スタンピード」発表前から健康状態が悪化し入院していたメインボーカリストでありヒット曲の多くを手掛けていたトム・ジョンストンは、1976年発売のアルバム「ドゥービー・ストリート」、続く1977年発売の「運命の掟」でもほとんど貢献することなく脱退してしまいます。
入れ替わる形でボーカルを担当したのはスティーリー・ダンのツアーメンバーだったマイケル・マクドナルドです。
トム・ジョンストンとは全く違う音楽性からファンの間では好みの分かれるところではありますが、AORというかスティーリー・ダン色が強いものとなっています。

マイケル・マクドナルドが参加して3作目となる1978年に発売された「ミニット・バイ・ミニット」は、全米1位となりドゥービー・ブラザーズでもっとも成功したアルバムとなっています。
徐々に進めてきたAOR路線が実を結んだ結果ですね。
シングル・カットされた「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」も全米1位を獲得しています。

1978年リリース

【収録曲】
1.ヒア・トゥ・ラヴ・ユー
2.ホワット・ア・フール・ビリーヴス
3.ミニット・バイ・ミニット
4.ディペンディン・オン・ユー
5.轍を見つめて
6.オープン・ユア・アイズ
7.スウィート・フィーリン
8.スティーマー・レイン・ブレークダウン
9.ユー・ネヴァー・チェンジ
10.ハウ・ドゥ・ザ・フールズ・サーヴァイヴ?

ミニット・バイ・ミニット

「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」は、第22回グラミー賞の最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を受賞しました。
商業的に素晴らしい結果を残し、評価もされたわけですが、あまりに急激な変化がいけなかったのでしょうか、やりきったということでしょうか、ジェフ・バクスターとジョン・ハートマンが本作を最後にグループを脱退してしまいます。
体調不良だったとはいえ本作制作前にトム・ジョンストンが脱退してしまったということも残念なできごとです。
その後も強力なサポートメンバーに支えられつつも順調に活動していたドゥービー・ブラザーズでしたが、唯一のオリジナル・メンバーとなったパトリック・シモンズは活動休止を提案し、1982年に解散してしまいます。

その後、1987年に再結成をし、毎年のようにメンバー・チェンジを繰り返しながらも現在も活動を続けています。本当に国民に愛されているバンドなのですね。

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