80年代一気に人気者になったバンド、Kajagoogoo(カジャグーグー)について

80年代一気に人気者になったバンド、Kajagoogoo(カジャグーグー)について

1980年代前半、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ等のイギリス出身のバンドが世界中の音楽シーンを席巻しました。そのブームに乗って登場したバンドの一つが今回取り上げるカジャグーグーです。この記事では彼らが主に活動していた1981年から85年の期間の出来事を中心にまとめてみました。


カジャグーグーを振り返る

向かって上段左から、
スチュワート・ニール(Stuart Neale):キーボード
ジェズ・ストロード(Jez Strode):ドラム
下段左から、
スティーブ・アスキュー(Steve Askew):ギター
リマール(Limahl):ボーカル
ニック・ベッグス(Nick Beggs):ベース

1979年、ロンドン近郊のレイトン・バザードで同じ学校の友人であったニコラス・ベッグス、スチュワート・ニール、マネージャー役のポール・ライアンと、別の学校の友人であったスティーヴ・アスキュー、ジェレミー・ストロード(Jeremy Strode)は当初はそれぞれ別々のバンドで活動をしていたが、ジェズがアルバイトしていた「エンジェルカーズ」という倉庫でジャムセッションを行う事になって、5人は意気投合、アール・ヌーヴォーを結成し本格的なバンド活動を開始した。彼らは、ジンピードレイクレコードから100枚だけプレスしたシングル"Fear Machine"を発表し、パブやクラブを中心にライブ活動をしていたが、アール・ヌーヴォーとして中々芽が出なかった彼らは新たにボーカリストを探し始めていた。 1980年、俳優と歌手を目指していたクリストファー・ハミル(Christopher Hamill、後のリマール)は2枚のシングル"It's Christmas"と"Angel"を発表し、メジャーデビューを目指していた。 その後もソロ名義で"Who Shall I Be Today"や、Krisという名前でデュエットした"Strange Kinda Love"などを歌ったがヒットに結びつかず、新たにバンドのボーカリストとして道を模索し始め、雑誌「Melody Maker」にバンド募集の広告を掲載した。広告を掲載した後、100組近いバンドと会ったがどれもパッとせず、一時渡米し、戻った時にボーカリストを探していたニックから連絡をもらい、ニックが送った"Fear Machine"を聴いて一気に気に入り、バンド加入を決めた(特にB面の"Animal Instincts"が気に入って、後にリマールのヴォーカルで録音し直し、"Ooh To Be Ah"のカップリングとして収録された)。 加入と同時にハミル(Hamill)は名前の綴りの配列を変えてリマール(Limahl)と名乗り、バンド名もその頃のThe Handstandsからカジャグーグー(Kajagoogoo)に変更した。このバンド名は赤ん坊の泣き声である「おぎゃあおぎゃあ」という意味のある「GagaGooGoo」をちょっともじった程度に変更したものである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%BC

カジャグーグー - Wikipedia

ブリテッシュインヴェイジョン(イギリスの侵略)

1980年代前半、ニューロマンティックと呼ばれたイギリス出身のバンド達はイギリス国内で成功を収めると、今度は最大の音楽市場を持つアメリカを次のターゲットに選びました。
アメリカではちょうどこの頃音楽専門チャンネルMTVが開局したばかりで、ここで放送されるプロモーションビデオがバンドやアーティスト達の新たな宣伝手段として非常に注目を集めるようになりました。

1980年代イギリスのニューロマンティックを代表する
バンド、デュラン・デュラン。
カジャグーグーとデュラン・デュランはバンドの人数が
同じ5人編成だった事もあり当時はよく比較されました。

ボーイ・ジョージの完璧な女装で注目を集めた
カルチャー・クラブ。
カジャグーグーも彼らと同じ時代に活躍しました。

●MTVによって彼らの魅力は広まった

ニューロマンティックと呼ばれたイギリス出身のバンド達は、当時最先端のファッションに身を包み奇抜な髪型に派手なメイクをして、主にシンセサイザーを多用した前衛的ながらも親しみやすさを兼ね備えた上質なポピュラーミュージックを自分達の音楽性としてセールスポイントにしていました。その彼らの見た目の華やかさと前衛的かつ親しみやすい音楽はプロモーションビデオには打ってつけでした。
彼らは自分達の特長を活かして趣向を凝らしたプロモーションビデオを制作してMTVを利用した宣伝活動を行いました。彼らの見た目と音楽はプロモーションビデオとの相性が抜群でその威力を存分に発揮しました。
プロモーションビデオで生き生きとパフォーマンスする彼らの姿は、従来の音楽やファッションに飽きていた流行に敏感なティーンエイジャー達を魅了し、彼らの魅力が凝縮されたプロモーションビデオはMTVを通して世界中に広まりました。

カジャグーグーの音楽性について

カジャグーグーについて語るとき、“Too Shy”だけが大ヒットした一発屋のバンドというイメージだったり、リマールやニック・ベッグスの個性的な髪型について注目されてしまいますが彼らの音楽性についてはあまり語られません。
彼らの音楽の魅力は黒人音楽とりわけファンクの影響を強く受けた、白人によるファンクミュージックを追求した音楽です。その音楽性の片鱗は特に2ndアルバムで窺い知る事ができます。

デビュー当時の彼らのアーティスト写真の一つ。リマール脱退後ニック・ベッグスはトレードマークだった
後ろ髪の玉暖簾?をやめて、アイドルっぽいポップス路線から本格的なアーティスト路線へ変更して自分達が本当にやりたい音楽を追求し始めます。

White Feathers

カジャグーグーは1982年1stアルバム“White Feathers”をリリース。プロデューサーにデュラン・デュランのニック・ローズが加わったこの作品でメジャーデビューを果たしました。アルバムをリリースする前に先行してリリースされたシングル“Too Shy(邦題:君はToo Shy)”は、イギリス国内のヒットチャートでいきなり1位を獲得する快挙を達成して彼らのメジャーデビューに花を添えました。この曲はアメリカではヒットチャートの5位にランクインして、カジャグーグーがアメリカで人気を獲得するきっかけになった曲でした。そして今日においても彼らを最も代表する曲でもあります。
リマールの甘い歌声にニック・ベッグスのグルーブ感溢れるベースとシンセサイザーのカラフルな音色、プロデューサーにニック・ローズがいたのでデュラン・デュランと重なる要素がありますが、このアルバムは1980年代イギリスのニューロマンティックを象徴する作品の一つです。

Amazon.co.jp: カジャグーグー : 君はTOO SHY (期間限定盤) - ミュージック

収録曲 1, White Feathers 2, Too Shy 3, Lies And Promises 4, Magician Man 5, Kajagoogoo 6, Ooh To Be Ah 7, Ergonomics 8, Hang On Now 9, This Car Is First 10, Frayo 価格は10月15日時点のものです。中古品等は価格が変動する恐れがあります。ご購入の際は最新の情報を確認して下さい。

Islands

関連する投稿


吉田拓郎からVaundyまで!『日本ポップス史 1966-2023』発売

吉田拓郎からVaundyまで!『日本ポップス史 1966-2023』発売

NHK出版より、音楽評論家スージー鈴木氏による新刊『日本ポップス史 1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか』が11月10日に発売。1966年以降の日本の大衆音楽を「時代性」と「大衆性」の視点から通史として紐解く決定版です。吉田拓郎、荒井由実、桑田佳祐から米津玄師、Vaundyまで、レジェンドたちの功績と系譜を一本の軸でつなぎます。


シンディ・ローパー最後の来日ツアー『フェアウェル・ツアー』東京再追加公演の豪華特典付きVIPパッケージが発売!!

シンディ・ローパー最後の来日ツアー『フェアウェル・ツアー』東京再追加公演の豪華特典付きVIPパッケージが発売!!

ぴあ株式会社より、シンディ・ローパーによる最後の来日ツアー『フェアウェル・ツアー』東京再追加公演における、VIPパッケージが現在好評発売中となっています。


「大映ドラマ」がテーマのオススメ記事

「大映ドラマ」がテーマのオススメ記事

ミドルエッジ編集部が選んだ「大映ドラマ」がテーマのオススメ記事。数多くの記事から厳選したものをご紹介します!!


【第2期ウルトラシリーズ】名曲ぞろいの主題歌!阿久悠がタロウを作詞した理由はなんと!

【第2期ウルトラシリーズ】名曲ぞろいの主題歌!阿久悠がタロウを作詞した理由はなんと!

第2期ウルトラシリーズでは、映像や音楽がグレードアップし、ドラマのみならず、主題歌のファンになった人も多かったのではないでしょうか。ポピュラーソングの売れっ子作詞家・作曲家が曲作りを手がけるようになり、主演俳優が主題歌を歌う試みも画期的でした。まずは、1971年放送開始の『帰ってきたウルトラマン』から振り返ります。


映画『ジョン・レノン 失われた週末』×CA4LA!!キャスケットが日本公開同日の5月10日より発売!!

映画『ジョン・レノン 失われた週末』×CA4LA!!キャスケットが日本公開同日の5月10日より発売!!

映画『ジョン・レノン 失われた週末』とのコラボレーションアイテムが、5月10日(金)より発売されます。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。