カジャグーグーを振り返る
ブリテッシュインヴェイジョン(イギリスの侵略)
1980年代前半、ニューロマンティックと呼ばれたイギリス出身のバンド達はイギリス国内で成功を収めると、今度は最大の音楽市場を持つアメリカを次のターゲットに選びました。
アメリカではちょうどこの頃音楽専門チャンネルMTVが開局したばかりで、ここで放送されるプロモーションビデオがバンドやアーティスト達の新たな宣伝手段として非常に注目を集めるようになりました。
●MTVによって彼らの魅力は広まった
ニューロマンティックと呼ばれたイギリス出身のバンド達は、当時最先端のファッションに身を包み奇抜な髪型に派手なメイクをして、主にシンセサイザーを多用した前衛的ながらも親しみやすさを兼ね備えた上質なポピュラーミュージックを自分達の音楽性としてセールスポイントにしていました。その彼らの見た目の華やかさと前衛的かつ親しみやすい音楽はプロモーションビデオには打ってつけでした。
彼らは自分達の特長を活かして趣向を凝らしたプロモーションビデオを制作してMTVを利用した宣伝活動を行いました。彼らの見た目と音楽はプロモーションビデオとの相性が抜群でその威力を存分に発揮しました。
プロモーションビデオで生き生きとパフォーマンスする彼らの姿は、従来の音楽やファッションに飽きていた流行に敏感なティーンエイジャー達を魅了し、彼らの魅力が凝縮されたプロモーションビデオはMTVを通して世界中に広まりました。
カジャグーグーの音楽性について
カジャグーグーについて語るとき、“Too Shy”だけが大ヒットした一発屋のバンドというイメージだったり、リマールやニック・ベッグスの個性的な髪型について注目されてしまいますが彼らの音楽性についてはあまり語られません。
彼らの音楽の魅力は黒人音楽とりわけファンクの影響を強く受けた、白人によるファンクミュージックを追求した音楽です。その音楽性の片鱗は特に2ndアルバムで窺い知る事ができます。
White Feathers
カジャグーグーは1982年1stアルバム“White Feathers”をリリース。プロデューサーにデュラン・デュランのニック・ローズが加わったこの作品でメジャーデビューを果たしました。アルバムをリリースする前に先行してリリースされたシングル“Too Shy(邦題:君はToo Shy)”は、イギリス国内のヒットチャートでいきなり1位を獲得する快挙を達成して彼らのメジャーデビューに花を添えました。この曲はアメリカではヒットチャートの5位にランクインして、カジャグーグーがアメリカで人気を獲得するきっかけになった曲でした。そして今日においても彼らを最も代表する曲でもあります。
リマールの甘い歌声にニック・ベッグスのグルーブ感溢れるベースとシンセサイザーのカラフルな音色、プロデューサーにニック・ローズがいたのでデュラン・デュランと重なる要素がありますが、このアルバムは1980年代イギリスのニューロマンティックを象徴する作品の一つです。