【リーグ優勝の瞬間】近鉄バファローズ編

【リーグ優勝の瞬間】近鉄バファローズ編

まだクライマックスシリーズ制度が導入されていない頃、ペナントレースが今よりもずっと価値があった頃、各球団のリーグ優勝決定の瞬間、その年の戦いぶりをご紹介しています。今回は近鉄バファローズのリーグ優勝決定の瞬間(1979、1980、1989、2001)を集めてみました。


【1979年】初優勝と「江夏の21球」

1979年シーズン、新たに加入した、チャーリーマニエル選手らの活躍により、近鉄は開幕直後から首位を快走。5月までに2位阪急に5ゲーム差をつけていましたが、6月9日の対ロッテ戦でマニエル選手が八木沢荘六選手の投球を顔面に受け、顎を複雑骨折する重傷を負います。マニエル選手が欠場した期間、首位を走っていた近鉄は急下降。当時の西本幸雄監督は「マニエルおじさんが残してくれた貯金を皆で使い果たしてしまうんじゃないかと心配していた」とコメント。この発言とチーム状況を見ていたマニエル選手はわずか14試合の欠場後に復帰します。
※マニエル選手が復帰する際、球団は顎への防禦用のフェイスマスクを付けた「アメフト型ヘルメット」を用意し、顎を守りました。

「チャーリー・マニエル」
1976年、ヤクルトスワローズに入団。
1977年には打率.316、42本塁打、97打点と活躍し、ヤクルトを球団創設以来初の2位躍進に貢献。
1978年には打率.312、39本塁打、107打点をあげてヤクルトのリーグ初優勝・日本一に貢献。
ですが、機動力・守備面での不安に加え、ヤクルトに左腕投手が不足していた事情もあり、1979年シーズンより近鉄にトレード移籍。

チャーリー・マニエル選手

阪急ブレーブスの追い上げを振り切り、最終戦の対南海戦に引き分けて近鉄は「前期優勝」を決めました。後期を2位で終えた近鉄は、後期優勝の阪急とのプレーオフに挑みます。ここで、この年防御率1位の山口哲治選手が3連投と奮闘。プレーオフを3連勝し、球団創設30年目にして、近鉄は初のリーグ優勝を達成するのです。

この年の日本シリーズの相手は、広島カープ。3勝3敗で迎えた第7戦。9回裏まで3-4とリードされる苦しい展開でしたが、6番打者・羽田耕一選手が出塁したのをきっかけに、ノーアウト満塁という絶好の「サヨナラ勝利&日本一」のチャンスを迎えたのですが…。

スクイズを外される石渡選手

代打佐々木恭介選手が三振。石渡茂選手のスクイズ失敗(空振り・3塁走者タッチアウト)。石渡茂の空振り三振…と後に語り継がれる「江夏の21球」により日本一を逃すのです。

【1980年】奇跡の逆転優勝と「悲運の名将」

この年、本塁打・打点の二冠を獲得することになるマニエル選手をはじめチームから二桁本塁打10人を出す、日本プロ野球新記録のシーズンチーム本塁打239本をマークしたものの、チームは前期2位、後期は残り3試合を全勝しないと、プレーオフ進出できないという崖っぷちの状況に追い込まれます。

ですが、そこからそこから驚異的な粘りを見せ、10月7日の対日ム戦。マジック1で引き分けでも日本ハムの優勝が決まる大一番に6-5で勝利。続く8日、11日の対西武ライオンズ戦を2連勝し、奇跡の逆転優勝(後期)を決めるのです。そして迎えたロッテオリオンズとのプレーオフも3勝0敗で制し、パリーグ連覇を達成するのです。

現役時は毎日オリオンズでプレー。現役引退後は大毎オリオンズや阪急ブレーブス、近鉄バッファローズでコーチ・監督を務め、8度のリーグ優勝を果たすものの、日本一は果たせず「悲運の名将」と呼ばれた。もっとも、本人は「自分が本当に悲運なら、戦争で死んでいるはずだし、8度もリーグ優勝はしていない」と度々語っている。晩年まで野球解説者、野球評論家として活動。2011年11月25日逝去。享年91歳

西本幸雄監督

近鉄の西本幸雄監督は、これまで7度のリーグ優勝(1960年毎日大映オリオンズ、1967 、 1968、 1969、1971、 1972年阪急ブレーブス、1979近鉄バファローズ)を果たしながら、日本シリーズでは1度も日本一につけず、「悲運の名将」と言われていました。8度目の日本シリーズとなったこの年の対戦相手は昨年に続いて広島カープ。第5戦終了時点で3勝2敗。悲願の日本一達成まであと1勝と迫りながら、6戦・7戦で連敗。近鉄と西本監督はまたも日本一を逃すのです。

【1989年】ブライアント四連発と「ロッテより弱い」

1988年のペナントレース。西武と激しく優勝を争った近鉄は、ペナントレースの最終盤。10月19日のロッテとのダブルヘッダーに連勝すれば近鉄が8年ぶり優勝、1試合でも引き分ければ西武の4連覇が決まるという大一番(二番?)を迎えます。第1戦を4対3で制した近鉄でしたが、第2試合は2度リードを奪いながら連投となったエース阿波野投手が、8回裏にロッテの高沢選手に同点ホームランを浴び4対4で延長戦へ。当時のパリーグには4時間を超えたところで新しいイニングには入らないという規定があり、10回裏を終えた時点でタイムアップ。近鉄は惜しくも優勝を逃しました。

1988年10・19の真実 近鉄-ロッテダブルヘッダー涙の川崎伝説(主婦の友社)
佐野正幸/著

近鉄選手・関係者が前年の雪辱を晴らそうと強い気持ちで臨んだ1989年シーズンは西武、オリックス、近鉄の3つどもえの日本プロ野球史上に残る壮絶なペナントレースが展開されます。10月12日の西武球場での近鉄-西武のダブルヘッダーは、両チームにとっての大一番。ダブルヘッダーの第1試合、0-4とリードされた4回表に郭泰源選手から、ブライアント選手がこの年の46号ソロホームラン。6回表にも郭泰源から47号同点満塁ホームランを放つ。8回表に西武は、ブライアントから1本のホームランも打たれていない渡辺久信選手をスクランブル登板。ところが、苦手・渡辺久信選手からも48号勝ち越しソロホームランを放ち、近鉄が6-5で勝利します。

ダブルヘッダー第2試合。ブライアント選手の第1打席は敬遠のファーボールでしたが、3回表に迎えた第2打席では高山郁夫選手から2-2の均衡を破る49号ソロ本塁打を放ち、4打数連続本塁打を達成。その後も近鉄打線が爆発し、14-4の大差で近鉄が2戦目も勝利。この2連勝で近鉄にマジック2が点灯。そして10月14日、藤井寺球場での対福岡ダイエーホークス戦に勝利した近鉄は129試合目で9年ぶり3度目のリーグ優勝を達成。仰木彬監督の次に胴上げされたのはブライアント選手でした。

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