【スター選手の引退試合・ジャイアンツ編】(江川・西本・中畑・原)

【スター選手の引退試合・ジャイアンツ編】(江川・西本・中畑・原)

スター選手の引退試合、現役最後の試合をまとめています。ここでは読売ジャイアンツで活躍した選手の引退試合を紹介します。毎年何百人というプロ野球選手が入団し、そして引退していきます。「私、引退します」と言ってプロ野球生活に別れを告げられる選手はほんの一握り、更に言えばこの様な「引退試合」「引退セレモニー」を行える選手などはごく一部。そんな特別な選手の特別な試合をどうぞご覧ください。


【江川卓】怪物の引退は突然に

学生時代から「怪物」と呼ばれた江川卓選手は、プロ野球史に残る「空白の一日」の末に1979年に巨人に入団。その入団の経緯からダーティなイメージが付きまといましたが、最多勝:2回 (1980年、1981年)最優秀防御率:1回 (1981年)最多奪三振:3回 (1980年、1981年、1982年) 最高勝率:2回 (1981年、1984年) MVP:1回 (1981年)、ベストナイン:2回 (1980年、1981年)日本シリーズ優秀選手賞:1回 (1981年)…と※沢村賞以外の投手タイトルを総なめにし1980年代の日本プロ野球、セ・リーグを代表するエースとして活躍します。

※1981年には最多勝(20勝6敗)、最優秀防御率(2.29)、最多奪三振(221)、最高勝率(.769)、最多完封(7完封)という投手五冠王に輝きながら「沢村賞」は受賞出来なかった。沢村賞は当時新聞記者の投票によって決定されており、投票権を持つ新聞記者たちが、江川選手の「人格・品格」を問題にして投票しなかったためと言われています。この年沢村賞を受賞したのは、同僚の西本聖投手でした。

上記の様に、プロ野球入団後も怪物ぶりを発揮した江川卓選手が、1987年のシーズンオフに突然引退を発表します。この年の成績は13勝(5敗)と勝ち星は伸びなかったものの、8つの貯金を作り、リーグ優勝に貢献。この年の日本シリーズ第3戦で石毛宏典選手、ジョージ・ブコビッチ選手にソロ本塁打を打たれ、敗戦投手になったものの、8回2失点という好投を見せていた事(結局、この日本シリーズでの登板が、現役の最終登板となった)もあり、この引退会見には多くの人が衝撃を受けました。

江川選手の引退に関して、1987年9月20日の対広島戦。広島の4番・小早川毅彦選手に2打席連続で本塁打を打たれる(シングルヒット含めて猛打賞)。2本目は逆転サヨナラツーランホームランとなり、3失点(小早川の2本の本塁打によるもの)で完投しながら敗戦投手となった事が引退のきっかけと言われているのですが、実はこの年のかなり早い時期に引退を決意していたとも言われています。

【西本聖】多摩川グランドで行われた引退試合

1977年に巨人に入団した西本聖(にしもとたかし)選手は、1980年から1985年まで6年連続2桁勝利を記録するなど巨人の中心投手として活躍します。当時、チームメイトだった江川卓選手に対し、強烈なライバル意識を持っていた事はよく知られています。「空白の一日」を経て巨人に入団した江川卓選手よりも、「ドラフト外」から巨人に入団し、活躍した西本聖選手を応援するファンも多かったのです。ですが、上記にある様に、1987年に江川卓選手が突然の引退を表明すると、チーム内に競い合う相手を失ったことが影響したのか、1988年シーズンは4勝に終わり、中日にトレードされます。

中日に移籍した1年目に、西本選手は20勝で最多勝を獲得し、見事に復活。翌年も11勝を上げたのですが、1991年に椎間板ヘルニアの手術を受けて以降成績は低迷。1992年シーズンは1勝(11敗)で中日を戦力外。1993年に、巨人時代の先輩だった土井正三が監督をしていたオリックス・ブルーウェーブに移籍するものの、契約交渉が決裂して再び自由契約になります。

西本聖選手の野球カード(中日時代)

1994年シーズンに西本聖選手は電撃的に巨人に復帰。往年の西本選手の活躍を知るファンはもう一度、巨人のユニフォームを着て一軍のマウンドに立つ姿を見てみたいと願ったものの、全盛期とはほど遠く、一軍昇格は果たせませんでした。更に、首位を快走していたチームも、夏場以降に急失速。結局最終戦まで中日と優勝争いを繰り広げる展開(10・8決戦)になった為に、シーズン中に行う計画もあった西本選手の引退試合が見送られました。西本選手の引退試合が行われたのは、シーズン終了後の多摩川グランド。この引退試合は巨人の元チームメイトで親友でもある定岡正二さんによって企画されました。

この引退試合には、西本選手を慕う後輩たち、桑田真澄(当時巨人)、山本昌広、中村武志、立浪和義(以上当時中日)、平井正史(当時オリックス)選手らが駆けつけ、更に当時の監督の長嶋茂雄も始球式のために参加。最終回に急遽代打として登場し、西本聖選手の最後の「対戦相手」となったのです。

【中畑清】有終の美を飾る、代打ホームラン

1975年に巨人に入団した中畑清選手。入団当時は選手層の厚い巨人の内野手争いによって出場機会が限られていたものの、3年目オフの1978年に開催された日米野球第1戦のシンシナティ・レッズ対巨人戦で、2ランホームランを放つなど活躍。これをきっかけに、以降、中心選手として活躍していきます。「絶好調」を代名詞にハッスルプレーを連発。1980年代の巨人を支えるチームリーダーでした。

※代名詞の「絶好調」は、ある日「調子はどうだ?」と長嶋監督に聞かれた際「まぁまぁです」と中畑選手が答えた所、それを聞いていたコーチに「まぁまぁ」なんて言う選手を監督が使いたいと思うか?「絶好調です」と答えろ。と叱責されたことが由来だと言われています。

そんな「絶好調男」中畑清選手が引退したのは1989年。この年のシーズンの序盤に中畑選手は長期戦線を離脱。その間に三塁は岡崎郁選手が、また一塁も駒田徳広選手が定着したこともあり、ポジションを失った中畑選手はこの年終盤に早々と引退を表明します。現役引退を表明した後も度々試合に出場。リーグ優勝を決めた試合(大洋戦・横浜スタジアム)で二塁打。 シーズン最終戦にも途中出場し本塁打を打つ。さらに現役最後の試合となった同年に行われた近鉄との日本シリーズ第7戦(藤井寺球場)の6回表に、吉井理人選手から代打本塁打を放ち、3連敗からの4連勝・逆転日本一に貢献。有終の美を飾りました。

【原辰徳】引退する時もカッコよかった「若大将」

1980年オフに開かれたプロ野球ドラフト会議において、4球団競合の末、巨人に入団した原辰徳選手は入団当初から甘いマスクで人気を集め、ついたあだ名が「若大将」。度重なる怪我に見舞われ、晩年には定位置のサードから外野へコンバートを強いられながら、入団以来14年連続で二桁本塁打を達成。巨人の四番打者を長く務め、リーグ優勝・日本一に貢献しました。

原選手が1995年シーズン限りで現役引退すると発表された後、原選手が出場する度、敵味方の区別なく熱烈な声援が上がります。ペナントレースの状況などにより、開催が危ぶまれた原選手の引退試合は、8月に開催された広島戦の延長引き分け再試合が10月8日に組み込まれたことにより実現します。この試合で原選手は4番・三塁手として出場。「4番・サード、原」とコールされた時、割れんばかりの大歓声が上がります。この試合で、原選手は紀藤投手から左中間スタンドへ通算382本目の本塁打を放ち、スタジアムの興奮は最高潮に達します。現役最終打席では、長年のライバルである大野豊投手がワンポイントで登板する「粋な計らい」により、最後のライバル対決が行われました(結果はレフトフライ)。

試合後の引退セレモニーでは「今日、私の夢は終わります。しかし私の夢には続きがあります」との名スピーチを残しました。その夢の続きを、原辰徳監督という形で実現。7度のセントラルリーグ優勝(2002年、2007年 - 2009年、2012年 - 2014年)、3度の日本一(2002年、2009年、2012年)。更に日本代表監督としてチームをWBC世界一(2009年)に導きます。

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