伊丹十三監督「ミンボーの女」。多才にしてマルチな人間、故伊丹監督作品とともに振り返る。

伊丹十三監督「ミンボーの女」。多才にしてマルチな人間、故伊丹監督作品とともに振り返る。

あるホテルを舞台に、暴力団とホテル側と民暴(ミンボー)の専門弁護士との対決を描いた、コミカルにして痛快な映画。そして、現実社会で様々な事件に巻き込まれていく伊丹監督を振り返ってみましょう。


伊東四朗  ヤクザの大親分;入内島

小林総支配人を賭けゴルフの罠に落とし込む大親分。
元々こわもてだけに、結構決まってます。

コメディアン時代、「てんぷくトリオ」のメンバーとして一世を風靡する。その後、バラエティー、司会、俳優としてコメディーからシリアスな役まで演じ、何でもこなすマルチタレント。

中尾彬  ヤクザの親分;伊場木

ホテルへの嫌がらせや締め付け等々、このこわもてでやられたらたまりません。
ハマリ役ですね。

独特の雰囲気をかもしだす名俳優。
美術的才能もあり(武蔵野美大中退)、絵画の個展を開くなど多才な面をもつ。

その他にも、津川雅彦・大滝秀治・柳生博・大地康雄・柳葉敏郎・櫻井淳子・ガッツ石松等々、豪華なメンバーが顔を揃えスクリーンを盛り上げてます。

伊丹十三

1933年5月、映画監督・伊丹万作の長男として京都に生まれました。
高校時代に執筆活動をはじめ、大江健三郎氏(ノーベル賞作家)との親交がはじまったのもこの頃です。のちに、大江氏は伊丹氏の妹と結婚されます。
デザイナー・イラストレーターとして活躍した後、俳優・監督等マルチタレントとしても活躍し、妻・宮本信子を起用したコミカルな社会派映画の制作に取り組みます。
1997年12月20日、自宅マンションで自殺(後述)。64歳でした。

映画監督として1984年、
実体験をもとにした「お葬式」でデビュー。
翌1995年に公開した「タンポポ」からコミカル的な作品が主流となります。
そして1987年あの「マルサの女」が公開されます。✖✖の女シリーズの第1作です。この映画は日本アカデミー賞の数々の部門で表彰されました。
翌1988年に「マルサの女2」が公開。
1990年には大流行語になった「あげまん」が公開されます。男子は特にこの「あげまん」という言葉を使ってましたねぇ。
そして1992年「ミンボーの女」が公開されます。
その後、1993年に「大病人」、1995年「静かな生活」、1996年「スーパーの女」と立て続けに制作。
1997年、自身の体験をヒントに描いた「マルタイの女」を発表。
本編が遺作となりました。

女査察官シリーズ第2弾。
宗教法人を隠れ蓑にした脱税行為を暴いていく。

愛した男が次々と運気上昇していく、という芸者と男たちの物語。

末期の癌患者の生き様を描くとともに、医者と患者のあり方にも一石を投じた作品となっています。

幼馴染が経営する売れないスーパーマーケットを一人の主婦が立て直していくサクセスストーリー。
食品偽装にいち早く切り込んだ、社会派映画でもあります。

殺人事件の目撃者、彼女を執拗に狙う宗教団体、目撃者の女性(マルタイ)を守る警察の三つ巴を描いた作品。
伊丹監督の遺作となった映画です。

襲撃事件

「ミンボーの女」公開直後、1992年5月22日夜、自宅近くの駐車場で複数の男達に刃物で襲撃され、全治3か月の重傷を負います。犯人は5人の暴力団員。12月に逮捕され実刑判決を受けています。原因は映画の内容等いろいろ言われておりますが、伊丹監督自身、プロモーションビデオに上半身入れ墨を施して登場したり、ある記者会見では「私は、この映画でヤクザに喧嘩を売ったのです」という発言をしたり、ある種の挑発と取られる行為をしていたことがありました。五社英雄氏(映画監督 鬼龍院花子の生涯・極道の妻たち等)は、「あの男はやられるかもしれない」と関係者に言っていたそうです。

関連する投稿


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

高校時代からモデル活動を始め1986年に「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」として脚光を浴びた広田恵子さん。現在は家族で〇〇を組んで活動している・・・。


「おかあさんといっしょ」の『にこにこ、ぷん』が令和に復活!公式YouTubeチャンネル開設&グッズ展開決定!!

「おかあさんといっしょ」の『にこにこ、ぷん』が令和に復活!公式YouTubeチャンネル開設&グッズ展開決定!!

NHK「おかあさんといっしょ」の人形劇コーナーとして1982年から1992年までの10年間にわたり放送され、累計2,000話以上の物語が制作された人気シリーズ『にこにこ、ぷん』が、令和の時代に新たなかたちで帰ってきます。


「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターも務めた女優『ジュリー・ドレフュス』!!

「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターも務めた女優『ジュリー・ドレフュス』!!

1991年3月にミステリーハンターとして登場されると出演回数8回で、出演回数ランキング33位となるジュリー・ドレフュス さん。2013年出演のドラマ「老舗旅館の女将日記」を最後にメディアで見かけなくなり気になりまとめてみました。


創刊20周年特集は過去20年間の国内ソフト売上ランキング!ゲーム業界のデータ年鑑「ファミ通ゲーム白書 2025」が発売!

創刊20周年特集は過去20年間の国内ソフト売上ランキング!ゲーム業界のデータ年鑑「ファミ通ゲーム白書 2025」が発売!

角川アスキー総合研究所より、国内外ゲーム業界のデータ年鑑『ファミ通ゲーム白書2025』が発売されます。発売予定日は8月7日。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。