「じんべえ」とは?


あだち充先生といえば、「タッチ」「みゆき」「ナイン」など野球をベースにした漫画が多く、私がそれ以外で知っているのが「陽あたり良好」くらいだったので、少年サンデーでの連載が多いあだち充先生が、ビッグコミックでの連載(不定期でしたが)というのも併せて、この「じんべい」という作品はとっても新鮮でした。


主演は誰もが知るベテランにして永遠のイケメン俳優・田村正和と、その娘役には最初こそ賑やかな明るい女の子の役が多い印象だった松たか子が、普通の女子大生役。この作品で一気に大人っぽくなったように感じました。
主題歌はTKプロデュース!未来玲可の「海とあなたの物語」
14歳で小室哲也プロデュースのこの曲でデビュー!30万枚セールしたそう。14歳とは思えない歌唱力に、ただただ圧倒されます。ドラマもこの曲が入ることで盛り上がりました。残念ながら、この曲のあとにアルバムを1枚出して活動はしていないようです。とっても残念。
主要キャスト
高梨陣平 田村正和

美久の父親。だが、血のつながりはない。美久の通う大学に海洋学生物学科の研究室を持つ。美久は妻の連れ子だった。妻とは死別。
高梨 美久 松たか子

陣平の娘。父と血のつながりがないことを知っていた。宮下が実の父親。彼氏候補(?)のデートの誘いを断っても陣平を優先するため、友達からファザコンと噂されている。父を陣平と名前で呼んでいる。
寺西 真 草彅剛

陣平と美久とは違う大学から、陣平の元で勉強しようと助手希望でやってきた。
辻 真理子 高島礼子

陣平の助手として大学の研究室に在籍。陣平への尊敬がだんだん恋心に変化していく。
三田村 学 森本レオ

陣平、美久の大学の人気教授。女子生徒にめちゃくちゃモテます。陣平の悪友的存在。
ストーリー

母が早くに亡くなり父、陣平と2人暮らしの美久。
20歳の誕生日にボーイフレンドから食事に誘われても父親からの食事の誘いを優先する自覚ナシのファザコンです。20歳の誕生日、父娘2人は高級レストランで食事をするが、父陣平が実の親子でないことを美久に告げる。
もう大人なんだから、好きなことをやりなさい、自分と一緒にいなくてもいいんだよ?というニュアンスの温かい会話が続きます。が、美久は自分が陣平の実の娘でないことを知っていました。

ある日、美久と陣平が喧嘩し、美久は家を出ていきます。
もう、大人なんだから、1人でやってみます!自分で自分のことは責任を持ちます!と。(割りとすぐ仲直りしますが・・・)そして日々が過ぎ、美久は自分が陣平を男性として好きだという気持ちに気が付きます。
しかし、彼女のライバルは他ならぬ自分の母親。亡くなった母を今でも愛している陣平。美久の気持ちに、そして自分の気持ちにうっすらながらも気づき始める陣平。

しかし、自分の想いに素直になれるはずもない関係。
美久は寺西、陣平は辻と恋人のようになっていきます。お互いが自分の気持ちを偽ったまま・・・。
寺西はそんな美久の陣平への気持ちに気が付いてしまいます。もちろん、辻も。直接、陣平に美久への気持ちを聞きに行く寺西でしたが・・・。その頃、美久が実の父親と暮らすという話が持ち上がります。悩む美久。陣平も辻と仕事でニューヨークで暮らす決断をします。

実父の宮下(超セレブ)と暮らし始めた美久。ニューヨークで暮らす準備をすすめる陣平。
陣平と3人で、ニューヨークへ行く前に食事をしないかと、何もしらない呑気な宮下。3人で食事を兼ねた陣平のお別れ会。「少しずつ、親子になっていけばいいですよ。本当の親子なんですから」と陣平。
微笑む宮下と複雑な表情の美久。そして、陣平のニューヨーク出発前夜、寺西からの告白を「ごめんなさい」と断る美久。
同じ頃、辻からも「一緒にニューヨークへは行けない。だって本当は先生は(美久がすきなんでしょ!とは口には出さないが)」。辻が帰ったあと、美久との電話。「娘としてなら、一緒にいけないかな?」と泣きながら聞く美久に、「それはできないよ」。2人の別離がやってきます。
女子のキュン死♡率高し!な、ラストシーン
そして1年後・・・。美久は宮下の仕事についてニューヨークへ行き、陣平と再会する。街を案内し、たわいもない話をするだけの2人。見送りにはさびしくなるから来ないでいい、と明日日本へ帰る美久と握手で別れる。翌朝、陣平は美久のホテルに走る。

「見送り、いいって言ったじゃない!」
「送りにきたんじゃない、迎えに来たんだ」(キューーーン!)
「帰るなよ、一緒に暮らそっ」(たいていの女子はここでキュン死♡)
2人が抱き合ったまま終わります。


もう、最後の最後で自分の気持ちに正直になった陣平に、最初から観ていた私は、遅いっ、遅すぎる!と怒るよりも、ニューヨークという土地だったからこそ、陣平は素直になれたのかな?と思いました。
あのまま日本に居たら、たぶんこのラストはあり得なかったんじゃないでしょうか。
「陣平!」といって抱きつく美久に、「良かったね、良かったね!」と感涙のラストシーンでした。
田村正和のファンでもないし、カッコイイとすら思ったことのなかった(失礼)私ですが、このラストシーンで一気にメロメロ♡になってしまいました。田村正和恐るべし!です。DVD化していただき、じっくり観直したいドラマです。