新しい時代の始まり
ローリング・ストーンズの永い歴史の中でも充実した作品を連発した70年代。その素晴らしい作品をひもといてみます。

70年代のミック&キースの雄姿
ローリング・ストーンズを結成し、初代のリーダーでもあったブライアン・ジョーンズの死という暗い出来事で幕を下ろした1969年でしたが、開けて1970年からは新たな展開が始まります。
BIOGRAPHY - THE ROLLING STONES | ザ・ローリング・ストーンズ - UNIVERSAL MUSIC JAPAN

ローリング・ストーンズ・レコードのロゴ
そして、ローリング・ストーンズ・レコードの第一弾として、名盤中の名盤「スティッキー・フィンガーズ」を発表します。
ローリング・ストーンズは、70年代に6枚のスタジオアルバムを残していますが名盤揃いです。
相変わらずスキャンダルには見舞われたものの、音楽的には実りの多い10年間となっています。
スティッキー・フィンガーズ
一般的なイメージとしてのローリング・ストーンズらしいアルバムと言えるのではないでしょうか。
このアルバムからブライアン・ジョーンズの後任としてフルに加入したミック・テイラーの華麗なギターが冴えまくっています。
「スティッキー・フィンガーズ」は、アメリカで8週連続でチャート1位を記録しています。
また、アルバムにも収録されているシングル「ブラウン・シュガー」は3月にリリースされ、アメリカで1位、イギリスで2位と大ヒットしました。
ジャケットには当初本物のジッパーがつけられており、猥褻であるということで物議をかもしました。
因みにアートワークは、アンディ・ウォーホルです。

Sticky Fingers
メイン・ストリートのならず者
このアルバムのレコーディング中にミック・ジャガーはビアンカ・デ・マシアスと結婚し、娘のジェイドを授かりました。
その一方でキース・リチャーズは深刻なヘロイン中毒状態に陥ってしまいます(克服するまで5年ほどかかっています)。
アルバムは、フランスにあったキースの別荘で録音されたということもあってか、いつも以上にルーズなノリとダーティな音になっています。しかし、これこそがローリング・ストーンズ!
レコードでは2枚組全18曲というボリュームもありローリング・ストーンズを聞いた!という満足感でいっぱいになります。
このアルバムをローリング・ストーンズの最高傑作とするファンは多く、発表当初は批判的な評価を受けたものの、一般的にも現在ではロック史上優秀なアルバムの一つと評されています。
アメリカ、イギリス共にアルバム・チャートの1位を記録しています。

Exile on Main St.
山羊の頭のスープ
本作品はジャマイカでレコーディングされ、ファンクやニュー・ソウルの要素を取り込んだものになっています。
ゲストには、キーボードのビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンス、イアン・スチュアートが参加しています。
アメリカ、イギリスをはじめ各国でチャートの1位となりましたが、ジミー・ミラーがプロデュースした最後の作品となっています。
このアルバムの目玉は何と言ってもアルバムからシングル・カットされた「悲しみのアンジー」でしょう。アメリカでのチャート1位をはじめ、世界的に大ヒットしています。

Goats Head Soup
ストーンズ来日ザ・ローリング・ストーンズ 14 ON FIRE ジャパンツアー
イッツ・オンリー・ロックン・ロール
ギタリストのミック・テイラーが参加した最後のアルバムであり、後に正式なメンバーとなるロン・ウッドがアルバム・タイトル・ナンバーである「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」を共作しています。
また、このアルバムからミック・ジャガーとキース・リチャードの匿名である「グリマー・ツインズ」名義でプロデュースされることになります。
アルバム・チャートでアメリカ1位、イギリス2位を記録しています。

It's Only Rock'n Roll
ブラック・アンド・ブルー
このアルバムからギターのミック・テイラーに変わり、ロン・ウッドが迎え入れられています。
アルバムは、ファンク、レゲエ、ジャズなどのブラック・ミュージックの強い影響を受けていますが、キーボードのビリー・プレストンの貢献が大きいようです。
アルバムは、イギリスで2位、アメリカでは1位を4週間キープし、プラチナ・アルバムを獲得しました。
また、第一弾シングル「愚か者の涙」は世界的なトップ10ヒット曲となっています。

Black And Blue
女たち
本作には、イアン・マクレガン(ピアノ)、メル・コリンズ(サックス)、シュガー・ブルー(ハーモニカ)、サイモン・カーク(パーカッション)が参加していますが、ほとんどのレコーディングをメンバーのみで行っています。
ミック・ジャガーがギターを多く演奏し、準メンバーであるイアン・スチュアートがほとんど参加していないアルバムでもあります。
アート・ワークは、ピーター・コリストンが担当しています。パーマのカタログの顔部分が切り抜かれたカバーの中に、ストーンズのメンバーと各界の有名人の写真が印刷されていましたが、モデルになっていた女性たちから法的手段に訴えるとされ、メンバーの写真のみに差し替わっています。
アルバム・チャートは、アメリカで1位、イギリスで2位を記録しています。

Some Girls
ローリング・ストーンズの永い歴史の中でも、収録されている楽曲が後に全てライヴで一度以上取り上げられているアルバムは、「スティッキー・フィンガーズ」「ブラック・アンド・ブルー」「女たち」の3枚しかありません。
本人たちの思い入れなどもあるのでしょうが、70年代に制作されたアルバムが如何に素晴らしかったかが伺えます。