漫画「家栽の人」 裁判官・桑田は植物を愛し、罪を犯した少年達へも優しい眼差しで接していましたね。

漫画「家栽の人」 裁判官・桑田は植物を愛し、罪を犯した少年達へも優しい眼差しで接していましたね。

小学館・ビッグコミックオリジナルに連載されていた漫画「家栽の人」。裁判官が主人公ですが、法廷闘争や事件の謎解きが描かれる訳ではありませんでした。人間の本質や尊厳に対して問いかける内容で、多くの感動を生みました。


ドラマ化もされた漫画「家栽の人」

第一巻の表紙

各話に名言があり、考えさせられました。

人間の本質に迫った名作

人間の「生き方」に触れる物語

主人公は植物好きの裁判官

一見、変わり者の裁判官・桑田義雄

※翻訳された画像
原作での台詞は「きっと、いつかわかる。」

この人、お父さんは最高裁判所の長官で、自身は22歳で司法試験合格、司法修習生時代の成績抜群、実務面もその優秀さから既に最高裁からお呼びがかかるというスーパーエリート裁判官ながら、一切の出世を拒否し、自ら地方の家庭裁判所に身を置く道を選び、まわりからは変人と見られています。 さらに、彼は変人と見られる要素がもう一つあります。彼はありとあらゆる草花に精通し、昼休みも寸暇を惜しんで園芸に精を出すくらい、大好きな草花と過ごす時間を何よりも大切にしています(ある意味仕事よりも)。今の時代なら、植物オタクとでも呼ばれていたでしょう。 しかし、彼は、言葉を発しない草花達のはかなく、たくましく生きていく姿に、家族のあるべき姿のヒントを見出しています。 そして、犯罪を犯した少年や、崩壊寸前の夫婦や兄弟に対峙する際、ときにそんな草花の姿をひきあいにだしながら、家族であることの本質を考えさせていくのです(各話のタイトルには植物の名前がついている)。

http://ent.smt.docomo.ne.jp/article/25099

子どもの非行、離婚危機、遺産相続…「平凡なことを忘れたときに人が争う」という言葉の意味。そして、家族の幸せとは『家栽の人』 | エンタメウィーク

職場の花壇や山の中でも植物観察を怠らない。
植物に精通している様子が随所に描かれるている。

珠玉の言葉たち

確固たる信念を持って、罪を犯した少年達に接します。

桑田の贈り物が心温まる物語 「ヒトリシズカ」

少年院の外出行事の最中、係りの隙をみて逃げ出す少年達。

ある少年院で、脱走事件が発生。
大きな問題になり、新聞でも報道される。
主人公・桑田は、そのニュース記事が掲載された新聞を持って電車に乗り、どこかへ向かう。
桑田の傍らには段ボール箱。

寛大な心で接する少年院の院長
「この二人に、何か食べさせてくれないか。話はそれからだ。」

桑田と院長の息子が3年振りの再会。

院長の息子は言う。
「少年院に入ってる人達は、周りから信頼された経験が少ないから、いっぱい信じてもらった思い出を持って、出て行ってもらいたいんだって・・・」
「だからできるだけ、花見とか遠足とかをさせてあげたいんだって・・・」

その考え方に「立派な考えだと思うよ。」と微笑む桑田。
ちなみに院長は桑田の父の後輩。

涙する院長。

院長は何度も全国各地へ「飛ばされている」。
転校の繰り返しに不満を持つ息子。

上司に問題の件で叱責され、晩酌しながら自分の信念が理解されない事を嘆く院長。

その様子を見て「(父親は)進歩がないよ・・・どうして、あんな思いしてまでつっぱるのかな。」と息子。
しかし、桑田は院長が心配しなければ、新しく入所した少年達はどういった気持ちで過ごすのかと諭す。

院長の転勤に全く動じない奥さん。
何事もポジティブに捉える奥さんに支えられている院長。

院長は「来年あたり、どこかへ飛ばされるかもしれん・・・」と奥さんに伝えるが、「どこだってかまいませんよ。慣れてますから。」と奥さん。

段ボール箱の中には「ヒトリシズカ」の鉢植えが入っていた。

「ヒトリシズカ」の特徴
・寒い地方や暖かい地方などに関係なく、どこでも育てることが出来る。
・ヒトリシズカという名前に反して、株はどんどん増えいく。「理解者」が増えていくようにと連想できる。

息子が桑田から預かってきた「ヒトリシズカ」を見て、院長がポツリと一言。
「あいつめ・・・僕が落ち込むたびに、これを持って来る・・・」

「逃走」が起こる度に鉢植えをもらっていて、今回で10鉢目である事に気付く院長。
「まあ!」と拍手する奥さん。

その後、「う~ん」と唸る院長「我ながら、こんなにとは思わなかった。」
「人に歴史あり!」とまたまた奥さん(笑)

そして、息子が「馬鹿じゃないの、この夫婦・・・」と呆れ顔で心で呟き、物語が終わる。

原作者・毛利甚八という人物

「家栽の人」以降も「少年の更生」に関して、意欲的に活動をされていた毛利甚八さん

「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法:Amazon.co.jp

毛利 甚八 (著) 講談社 2015/10/14発売

桑田判事のような性格

2006年頃。
手にしているのは日弁連の裁判員漫画。

「家栽の人」はこれまで三度ドラマ化もされています。片岡鶴太郎や時任三郎が桑田を演じました。
内容は好評で、大貫妙子の主題歌「春の手紙」も非常にマッチしていましたね。

原作の桑田は、非常に優しい人物でしたが、怒っている時が少し怖かったですね。
激高するのではなく、静かに相手の甘えや偏見を諭します。登場人物は一様に己の過ちに気付き、反省します。
そこに社会の「少年犯罪」への無理解といった現状が表出し、物語で伝えたいテーマがより明確になりました。
読者もハッと気付かされる事も多かったのではないでしょうか。

原作者の毛利甚八さんが亡くなり、もう続編は期待できませんが、再度「家栽の人」を読み返すことで「隠れた名言」を発見出来るかも知れませんね。

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