【野田浩司】「逃した野田」は大きかった!?トレードで花開いた「お化けフォーク」の使い手

【野田浩司】「逃した野田」は大きかった!?トレードで花開いた「お化けフォーク」の使い手

「暗黒時代」阪神のエースとしてローテーションを守っていた野田浩司投手は、電撃的なトレードによってオリックスに移籍する。このトレードが彼とオリックスの運命を大きく変えていく。その一方、野田投手を放出した阪神は…。


「暗黒時代」のエースとして

1987年のプロ野球ドラフト会議で阪神タイガースから1位指名を受け入団した野田投手は入団1年目から規定投球回に到達するなど先発・リリーフどちらもこなし投手陣を支えます。
※この年の成績は、42試合登板(うち先発17試合)し、3勝13敗。防御率3.98

入団時の野田投手と村山監督

この当時の阪神タイガースはいわゆる「暗黒時代」。負け数が重なっても1年目の野田投手が起用され続けたのは、当時の阪神投手陣がいかに脆弱だったかを示していると言えるでしょう。
例えば、野田投手が2桁勝利(11勝12敗)を達成した1990年シーズンの阪神の成績は52勝78敗。
この数字は野田投手がいかに当時の阪神投手陣を支えていたのかを示しています。

野田投手が阪神に在籍した1988年~1992年までの通算成績は35勝52敗(9セーブ)。
「貯金」を作ったのは、1989年シーズンのわずか1度(5勝4敗)だけですが、打者の助けが無ければ投手の勝利数はなかなか伸びてきません。勝敗数だけで野田投手の能力を測るのは間違いと言えるでしょう。

新庄選手(阪神時代)

そんな「暗黒時代」の阪神に一筋の光明が見えたのは1992年シーズンでした。
この年は「亀・新フィーバー」と言われた亀山努、新庄剛志に加え、和田豊、八木裕、トーマス・オマリー、ジム・パチョレックら打撃陣が活躍。湯舟、中込、仲田、野田ら先発陣と抑えの田村ら投手陣も踏ん張り、ヤクルトと熾烈な優勝争いを展開します。ですが、ペナントの最終盤になってくると、ヤクルトと比べると野手・投手陣のコマ不足が明らかになるにつれて引き離されていき優勝を逃します。
この年のオフ、優勝を逃したのは「長打力のある打者が不足していたためだ」と考えた阪神は、先発ローテの一角の野田投手と、オリックス(前阪急)の強打者・松永選手とのトレードを敢行するのです。

トレード相手の松永選手(阪急時代)

このトレードが発表された時、野田投手の投げるフォークを「お化けフォーク」と名づけるほど脅威に感じていた当時のヤクルトの野村監督は大変喜んだと言われています。
また、このトレードは当時を知る阪神ファンにとっては2度と思いだしたくもない「魔のトレード」になるのですが・・・。とにかくも、野田投手はオリックスに移籍する事となり、野球人生は大きく変わっていくのです。

覚醒した「奪三振王」

野田投手はオリックスに移籍した1993年に17勝を挙げ、最多勝を獲得します。
さらにオリックス移籍後、3年連続で2桁勝利(17勝5敗、12勝11敗、10勝7敗)を達成。
更に3年連続200奪三振を奪うのです。(209、213、208奪三振)
ただ、同時期に、野茂投手、伊良部投手がいた為、これだけの成績をあげながら、野田投手は最多奪三振王のタイトルを獲得する事は出来ませんでした。

1995年4月21日の対ロッテ戦で野田投手は、1試合19奪三振の日本新記録を達成します。ですがこの試合、野田投手は完封勝利真近の9回1死1塁から同点三塁打を打たれ、10回には代わった抑え投手が逆転打を許してオリックスは敗れた為、野田投手に笑顔はありませんでした。

さて、野田投手とトレードされた松永選手の成績はというと…開幕2戦目で左足太ももを痛めて早々とリタイア。復帰後の6月に右肩を痛めてまた登録抹消。その怪我が癒えて再び復帰していた時には阪神のペナントはほぼ終戦状態。1年目は期待はずれ・・・というだけではなく、松永選手が阪神に在籍していたのはこの1年のみ。この年のオフに松永選手は故郷の福岡でプレーを希望してFA宣言。ダイエーホークスに移籍します。(これがFA宣言の第一号)
この当時、松永選手によって阪神ファンの心情を逆撫でする様な発言があったと報道されました。
(この件については多くの誤報が含まれていたとされています)
つまり、阪神は事実上、エースを無償で放出した様なもの・・・。ただ野田投手が阪神に留まっていたとしても同じ様な好成績を挙げられたかどうかは分からないのですが。

ダイエー時代の松永選手

ちなみにダイエーに移籍した1年目に松永選手が打率.314と好成績を残した事が余計に阪神ファンの心を苛立たせました。

95、96年のオリックス優勝に貢献

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