「シューティングゲーム(STG)」というゲームジャンル

主に80年代、ゲームの花形ジャンルだったシューティングゲーム
シューティングゲームの歴史「黎明期」

シューティング最初の作品とされている「スペースウォー!」(1962年)
1978年に発売されたスペースインベーダーは、当時の日本において社会現象となった最初のテレビゲームとなる。
これに追随したギャラクシアンや、それに続く1980年代初頭のバルーンボンバー、ムーンクレスタ、ギャラガといったコンスタントなヒットにより、パックマン、ドンキーコングなどに代表されるアクションゲームとともに、当時のテレビゲーム界における主要ゲームジャンルへの地歩を固めることとなった。

「スペースインベーダー」(1978年)
ゲームメーカー「タイトー」の歴史!全てはインベーダーから始まった。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

「ギャラクシアン」(1979年)

「ムーンクレスタ」(1980年)

ギャラガ(1981年)
当時の主流は「固定画面シューティング」
世界初のシューティングゲームとされる『スペースウォー!』や『スペースインベーダー』、『バルーンボンバー』、『アステロイド』、『ロボトロン2084』、『グロブダー』など、当時のシューティングは画面がスクロールしない「固定画面シューティング」に位置付けられる。
敵を全て破壊すると面クリアとなり、次の面に進むものが多い。なお、自機が全方位に移動・射撃できるものを、日本国外ではこれを闘技場になぞらえて「アリーナ・シューター」と呼んでいる(戦闘エリアが局所的な多方向スクロールシューティングもこれに含まれる)。
シューティングゲームの歴史「繁栄期」
1980年代を迎えると、ビデオゲーム界の進歩の牽引役としてシューティングゲームは発展の一途をたどる。ゲームシステム、グラフィック、サウンド、難易度といった、ビデオゲームのあらゆる構成要素において、ハードウェアの技術革新に合わせ確実に進歩を加速させていくこととなった。
ユーザーとしてのプレイヤーもそれにあわせて技能を磨き、ワンコインクリアやハイスコアを目指すスタイルが定着。「敵を撃ち落とし、敵の弾を避ける」というシンプルでわかりやすいルール、パターンを解析し覚えた分だけ先の面へ進める・高い得点を取れるといった特質により、1980年代中頃にはアーケードゲーム、コンシューマーゲームの別を問わず、シューティングゲームはビデオゲームの中心ジャンルとして活況を呈するに至った。
ゲーム会社はこぞってシューティングゲームを開発し、東亜プランなどのようにほぼシューティングゲーム開発専業のゲームメーカーも存在した。
この時代には「縦スクロールシューティング」「横スクロールシューティング」が登場。
この時代のシューティングは「連射」ブームでした
より連射をするために!別売りのファミコンコントローラー - Middle Edge(ミドルエッジ)
1980年代末期までの2Dシューティング作品においては、プレイヤー自機の攻撃力はショットボタンの押下回数、すなわち連打(連射)回数に依存している作品が多かった。しかしプレイヤーにとってはショットボタンの連打には体力やテクニックが要求され、長時間続けると筋肉痛などの症状を起こす恐れがあり、またゲーム機自体への負荷も大きくなった。
さらにハイスコアを競う局面では、ゲーム機外部に取り付ける自動連射装置の利用の有無により結果に差異が生じた。そのため『ゲーメスト』などではハイスコア集計を連射装置の有無別に分けて行うこともあった。2012年現在ではほぼ全ての2Dシューティングゲームのプログラム上に自動連射機能が組み込まれている。
「縦スクロールシューティング」
基本的に画面が主に上から下へ縦方向にスクロールするトップビューの画面構成を持つシューティングゲーム。通称「縦シュー」。
『ゼビウス』、『スターフォース』、『テラクレスタ』、『ツインビー』、『究極タイガー』、『雷電』、『バトルガレッガ』、『怒首領蜂』、『東方Project』など。『シルフィード』、『レイストーム』の様に3D処理をして手前を大きく、奥を小さく表示する(パース処理)ようにしたハーフトップビューの縦スクロールシューティングもある(この手法は、横スクロールシューティングでも稀に見られる)。
1990年代後半からは障害物の類はあまり出現しない代わりに「敵弾を避ける(避け)を主体とする」というものが多く、大量の弾幕を小さな当たり判定を持つ自機で潜り抜ける弾幕系シューティングというムーブメントが発生した。ただし、それ以前のものには、『スターソルジャー』、『イメージファイト』など地形の概念などのギミックが存在するタイトルも少なくない。
業務用の縦スクロールシューティングは筐体のモニターを縦置き(3:4)にして使用するものがほとんどであり、テレビを立てることのできない家庭用ゲーム機へ移植した際、画面が小さくなり解像度が低くなり見にくくなるなどの弊害が出る場合があるが、一部のタイトルでは縦置き画面に対応したもの(縦置き可能モニタ必須)や、携帯ゲーム機本体を縦に持ってプレイできるものもある(『カプコン クラシックス コレクション』『ナムコミュージアム』収録作品の一部など)。
一方、最初から家庭用またはパソコン用として作成されたタイトルでは、その特性上ほとんどがモニタを横置きした画面構成となっている。従って、縦画面構成のタイトルの大多数が業務用として作成されたものであり、横画面構成のタイトル大多数が家庭用ないしパソコン用として作成されたものである。

「ゼビウス」(1983年)
ナムコから発表されたファミコン初のキラーソフト「ゼビウス」には、当時のシューティングゲームになかった「世界観」があった。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

「スターフォース」(1984年)
【スターフォース】アーケードからパソコン、ファミコンまで。「連射」を生み出し、ゼビウスと共にシューティングゲームブームの一角を担った「スターフォース」について。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

「テラクレスタ」(1985年)

「ツインビー」(1985年)
ツンツンしませんでしたか?2人同時プレイが楽しかった【ツインビー】 - Middle Edge(ミドルエッジ)

「スターソルジャー」(1986年)
【スターソルジャー】「スターフォース」の続編とされ、映画『GAME KING 高橋名人VS毛利名人』の題材となった本作はファミコンやPCエンジンで大人気! - Middle Edge(ミドルエッジ)

「究極タイガー」(1987年)

「イメージファイト」(1988年)

「雷電」(1990年)

「バトルガレッガ」(1996年)
「横スクロールシューティング」
基本的に画面が主に右から左横方向にスクロールするサイドビューの画面構成のシューティングゲーム。通称「横シュー」。『グラディウス』、『R-TYPE』、『ダライアス』、後期の『サンダーフォース』シリーズ、『超兄貴』など。
画面構成がサイドビューになることにより、必然的に上下と地形の概念が発生する。そのため爽快感を追求する方向性に行きやすい縦スクロールシューティングとは対照的に、戦略性を追求するタイトルが多い。ただしごくまれに、『プロギアの嵐』のように(自機が衝突する意味においての)地形が無いゲームも存在する。
横スクロールシューティングはモニターを横置きにして使用するものがほとんどであるが、かつては『スクランブル』、『ジャンプバグ』、『スティンガー』、『バスター』、『フォーメーションZ』などのモニター縦置きの横スクロールシューティングが主流であった。『スカイキッド』は常に左から右へスクロールする。『ディフェンダー』、『チョップリフター』は任意で左右方向にスクロール可能。
1990年代後期より弾幕系縦スクロールSTGに圧される形でタイトルを減少させていったが、アーケード・家庭用共にディスプレイ標準が横に長い16:9比率になった2000年代後期からは再び増加傾向を見せている。

「グラディウス」(1985年)
【圧倒的世界観と美麗なグラフィック】シューティングゲーム不朽の名作「グラディウス」年表(25作) - Middle Edge(ミドルエッジ)

「ダライアス」(1986年)
【ダライアス】ド迫力の3画面筐体【ニンジャウォーリアーズ】凄まじいインパクトでした - Middle Edge(ミドルエッジ)

「R-TYPE」(1987年)
実は深い!R-TYPEのスゴイ設定 ただのシューティングゲームじゃないぞ - Middle Edge(ミドルエッジ)

「超兄貴」(1992年)
縦横両スクロールシューティング
ごく少数の例外として、『ヴァンガード』、『沙羅曼蛇』、『テラフォース』、『アクスレイ』、『フィロソマ』、『ヘクター'87』のように、横スクロールシューティングと縦スクロールシューティングが交互に行われる構成のゲームも存在する。
ゲーム進行上の演出として、ステージの途中などでゲームの通常方向のスクロールとは異なる方向への強制的、あるいは選択的なスクロール処理が行われる場合もあり、局所的に縦横両スクロールに見える場合もある。(『グラディウス』『スペースマンボウ』など)

「沙羅曼蛇」(1986年)

「テラフォース」(1987年)

「アクスレイ」(1992年)
その他のスクロール形式
【クォータービューシューティング】
画面が主に斜め方向にスクロールするシューティングゲーム。背景が3D的になっている。
『ザクソン』、『ブレイザー』、『メルヘンメイズ』、『ビューポイント』、『マッドクラッシャー』など極めて少数。
斜め視点なのでスプライトでも敵などが立体的に見えるというメリットはあったが、位置関係が把握しづらく、高度の概念を入れると敵と同高度なのかどうかが解らなかったり、敵弾の機動予測がしづらいなどのデメリットがあり、ゲーム性に幅を持たせにくい。結局、縦スクロールシューティングに統合されるような形で作成されなくなった。
【多方向スクロールシューティング】
画面がプレイヤーの「任意の方向にスクロール」し、「任意の方向への攻撃」を行うシューティング。別称、任意スクロールシューティング。
代表的なタイトルは『ボスコニアン』、『タイムパイロット』、『バンゲリングベイ』、『エイリアンシンドローム』、『奇々怪界』、『アサルト』、『ワルキューレの伝説』、初期の『サンダーフォース』シリーズ、『グラナダ』、『Geometry Wars』など多岐にわたる。前述のアリーナシューティングや、初期のFPSなども多方向スクロールシューティングの要素を備え、同様の内部処理を行っている場合がある。
スクロール表現に関して分類すると「方向入力を行い続けるとスクロールするタイプ」(グラナダやアサルトなど)と、「方向入力を行わなくても常にスクロールするタイプ」(ボスコニアンなど)に分かれる。前者は、多方向スクロールシューティングの要素が濃厚であってもアクションゲームに分類されることも多い。
【トンネル・シューティング】
戦闘空間が円筒状の曲面であるシューティングゲーム。画面は3次元的表現で描画されるが、戦闘は円筒状の形状の表面に沿うような空間上で行われる。この戦闘空間は、変則的ではあるものの一種の2次元である。『Tempest』、『ジャイラス』、『Space Giraffe』など極めて少数。また、『アーガス』などは通常の縦スクロールシューティングであるが、マップの左右が接続・ループしており、事実上、トンネル・シューティング同様の空間構成であると見なす事もできる。
シューティングゲームの歴史「衰退期」
1980年代終盤になると、シューティングゲームの隆盛にもかげりが見え始めてくる。ゲームアイデアの出尽くし感やマンネリ化、回転率の悪さからくるオペレータの不満などにより、シューティングは次第にゲーム市場から歓迎されなくなっていった。
それ以外にも、ロールプレイングゲームや対戦型格闘ゲーム、パズルゲームなど、他の比較的新興のゲームジャンルに次々にヒット作が生まれ、そちらの方へユーザーが流れていったこと、難化の一途をたどる難易度や一部メーカー(アイレム)の情報統制による攻略情報の不足などから「シューティングは難しい・とっつきにくい」というイメージが一般に定着してしまったことなど、複数の衰退要因があげられる。
特にストリートファイターII・バーチャファイターを開祖とする対戦格闘ゲームは、回転率、時間あたりの満足度、初心者の入り易さ、キャラクター性でシューティングゲームより圧倒的に上であり、アーケードゲームの主流を一気に奪い去った。
シューティングゲームは上級者が1コインで長時間プレイするため回転率が悪く、メーカー側が回転率を上げるために難易度を上げたゲームを発表すると今度は初心者が寄り付かなくなり、結果としてプレイヤー全体数の減少を招いた。
そのため、対戦格闘の驚異的な回転率の高さもあって次第にオペレータに敬遠され、設置台数が減少した。そしてマニア化したプレイヤーは前例に倣わない革新作を歓迎しなくなり、大差のないマニア向けゲームしか作られず初心者離れが更に加速するという悪循環を生み出した。
それを象徴するのが、1994年の東亜プランの倒産であった。R-TYPEシリーズを売り出したアイレムも同年にアーケードゲーム事業から撤退し、グラディウスシリーズなどを展開していたコナミも1990年代後半にはBEMANIシリーズなどの音楽ゲームに主軸を移した。
シューティングゲームから撤退するメーカーが相次ぐ中で、タイトーなど一部老舗メーカーは製作を継続し、ケイブ、彩京、ライジングのようにシューティングゲームに新たに参入するメーカーも現れた。これらは初心者離れに危機感をもち、キャラクター性の強化、自動難易度調整、ボムの標準装備、1面の低難易度化などの施策を講じた。
これらの対策により、アーケードゲーム界には一時的にシューティングゲームの復権の兆しこそあった。しかし、根本的な解決に至ることはなく、結局は初心者を取り込みつつも上級者が納得できるようなバランス調整に各メーカーは頭を悩ませることとなる。
1990年代、2000年代にかけて少数の意欲作や特にガンシューティングゲームにおけるヒット作は散見されるものの広範なユーザー層の獲得には至っておらず、マイナー化・ニッチ化が進むこととなった。
90年代後半以降のムーブメントとなった「弾幕系シューティング」

「怒首領蜂」(1997年)

「東方Project」
シューティングゲームの現在
2014年現在、2Dシューティングは製作するメーカーは少なくなってきており、積極的に開発に関わってきていたケイブも、2013年5月限りでアーケードゲーム、コンシューマーゲーム市場から撤退している。
だが、フリーゲーム及び同人ゲームなどのインディーズゲームとしての創作は活発に行われ、同人ゲームのアーケードへの移植が行われるようになった。家庭用ではEveryday ShooterやEvery Extend Extra、Blast Worksなどがある。アーケード向けについては、日本ではトラブル☆ウィッチーズがゲームショウなどでロケーションを行い後に稼動、exceptionもAMI、サクセス、スコーネック制作の新システム基板のソフトランナップに記載された。
オンライン配信対応のものについては、アーケードゲームでは2007年、コナミがオンラインに対応したシューティングゲームとしてオトメディウスを販売した。家庭用ゲーム機では他のジャンルと同様の流れでSTGの方も配信サービスに対応しており、ネットワークを通じた2人同時プレイも可能になっているものがある。一方、PCのオンラインゲームの方では、FPSではオンラインに対応したシューティングが多数作られているが、2Dスクロール系のものではValkyrie Skyが日本では2010年からクローズドβテストを開始している。
アーケードから撤退したケイブ、しかし一方でスマホ向けに本格的シューティングの提供を始めてもいます
ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~