日本の音楽シーンに数々の金字塔を打ち立ててきた日本クラウン内の名門レーベル「PANAM(パナム)」。その設立55周年を記念したカバー企画「PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS」より、音楽ファンを唸らせる驚きのコラボレーションが届けられた。
企画の第5弾として発表されたのは、シンガーソングライター槇原敬之と、オリジナルアーティストである大貫妙子本人による「都会」のリメイクカバーだ。1月14日(水)より配信リリースされた本作は、単なるカバーの枠を超え、日本のポップス史を繋ぐ重要なセッションとなっている。
色褪せないシティポップの金字塔とレーベルの歴史
「都会」槇原敬之 feat. 大貫妙子
今回取り上げられた楽曲「都会」は、1977年7月25日にリリースされた大貫妙子の2ndアルバム『SUNSHOWER』に収録されている楽曲だ。
当時の「都会」および『SUNSHOWER』といえば、坂本龍一がアレンジャーを務め、ティン・パン・アレー周辺のトップミュージシャンたちが参加したことで知られる傑作である。その洗練されたサウンドと、大貫妙子のクールで透き通るようなボーカルは、発売から40年以上が経過した現在でも全く色褪せることがない。むしろ、近年の世界的なシティポップ・ブームにおいて、その評価は海外を含めて再燃・高騰しており、ジャパニーズ・メロウグルーヴの象徴的な一曲として愛され続けている。
そんな名曲を送り出してきたPANAMレーベルが、設立55周年という節目に企画したのが「PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS」だ。これまでに様々なアーティストがレーベルの名曲を歌い継いできたが、第5弾となる今回は、槇原敬之をメインボーカルに迎え、さらにフィーチャリングとして大貫妙子本人が参加するという、まさにアニバーサリーに相応しい豪華な布陣が敷かれた。
槇原敬之と大貫妙子が共鳴する新たなサウンド
大貫妙子
今回のリメイクカバーにおいて特筆すべきは、その制作陣の豪華さと音楽的なアプローチだ。
プロデュースとアレンジ、そしてギターを担当したのは、日本を代表するギタリストでありプロデューサーの佐橋佳幸。さらに、キーボード等には齋藤有太、プログラミングに石川鉄男といった熟練のミュージシャンが脇を固め、エンジニアには数々の名盤を手掛けてきた飯尾芳史が参加している。
オリジナルバージョンが持つ、スティーリー・ダンにも通じるようなクールで複雑なグルーヴ感をリスペクトしつつ、槇原敬之の持つ温かみのあるポップネスが見事に融合。槇原のボーカルに大貫妙子のコーラスが重なることで、楽曲に新たな奥行きと色彩が生まれている。
オリジナルが持つ、都市生活の孤独や虚無感を含んだクールな質感に対し、今回のバージョンはどこか包容力を感じさせる仕上がりとなっているのが印象的だ。それは、時代を超えて歌い継がれるスタンダード・ナンバーだけが持つ、解釈の許容量の広さを証明しているとも言えるだろう。
互いへの敬意が溢れるコメント
槇原敬之
今回のリリースに際し、槇原敬之と大貫妙子の両名からコメントが寄せられている。二人の言葉からは、互いへの深いリスペクトと、この楽曲に対する真摯な向き合い方が伝わってくる。
槇原敬之は、オファーを受けた当初の心境を「このような貴重な依頼を僕が受けていいのだろうか?という気持ちしかありませんでした」と謙虚に語る一方で、制作が進むにつれて「素敵なトラックの上に、大好きな大貫さんと僕のヴォーカルを並べていただけることの嬉しさの方が、結局勝ちました」と、喜びを露わにしている。
また、改めて楽曲に向き合う中で、「少女の様な声で複雑なグルーヴを刻む大貫さんの歌声と、坂本龍一さんの洗練されたコードアレンジのバランスの妙、そしてティン・パン・アレーの卓越した演奏の3つが相まって、ここ何年か日本のシティポップが世界的に流行したきっかけのうちの一曲だということも納得の作品」と、オリジナル版の凄みを再確認したという。その上で、今回の仕上がりについて「大貫さんと僕が主人公に『一緒に帰ろう』とにっこり笑って手を差し伸べているような、素敵な仕上がりになった」と表現しており、この言葉が今回のカバーの持つ空気感を端的に表している。
一方、大貫妙子も「都会をカバーして下さりありがとう!!」と感謝を述べ、「私の都会も良いけれど^^;オリジナルより、爽やか軽やかで素敵です」と、槇原バージョンを絶賛。「また、いつかご一緒できる日を楽しみにしています」と、今後の共演にも期待を寄せている。
映像で楽しむリメイク版の世界観
楽曲の配信と同時に、YouTubeではリリックビデオも公開された。
楽曲の世界観を視覚的に補完するこの映像は、歌詞の持つ意味深さや、都市の風景、そして二人の歌声の重なりをより深く味わうための手助けとなるだろう。槇原敬之が「レコーディングは思い入れが強すぎて逆に難しかった」と語りながらも、「歌詞の主人公の気持ちを考えながら楽しく歌いました」というそのボーカルワークを、映像と共にじっくりと堪能してほしい。
2025年9月から5ヵ月連続でリリースされてきた「PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS」企画だが、今年もリリースは継続される予定だという。55年という長い歴史の中で、フォーク、ニューミュージック、シティポップと、日本の音楽シーンを彩ってきたPANAMレーベル。今後、どのような名曲が、どのようなアーティストによって現代に蘇るのか。アニバーサリーイヤーを駆け抜ける同レーベルの動きから、まだまだ目が離せない。
■リリース情報 「都会」 槇原敬之 feat. 大貫妙子 (オリジナル:大貫妙子 1977年)
「都会」槇原敬之 feat. 大貫妙子
配信日: 2026年1月14日(水)
配信リンク: https://lnk.to/tokai_panam55
[Credit]
作詞・作曲:大貫妙子
Produced and Arranged by 佐橋佳幸
Vocal & BGV : 槇原敬之
Vocal : 大貫妙子
Guitars & E.Sitar : 佐橋佳幸 Rhodes,
Synth Bass & Synth : 齋藤有太
Programing : 石川鉄男
Edited & Mixed by 飯尾芳史
Recorded by 飯尾芳史, 澤田知久