岸部シロー  不死鳥は自分の身を焼いた灰の中から蘇る!!

岸部シロー 不死鳥は自分の身を焼いた灰の中から蘇る!!

ザ・レジェンド元金持ち! 伝説的バンド「ザ・タイガース」のギタリスト!! 「西遊記」の沙悟!!! 「ルックルックこんにちは」の司会者!!! 巨額の借金と暴かれた真の顔!!!!




岸部シローは印刷会社をやめ、東京に出てザ・タイガースの活動をサポートするようになった。
「僕がタイガースと行動を共にするようになったのは17歳の頃です。
それまで働いていたところをやめて、バンドの付き人というか、バンドボーイをするようになったんです。
留守番とか個人の荷物を運ぶことも多かったんですね。
とにかくファンからの贈り物や手紙がもの凄い量にのぼり、これ1つを管理する係が必要なくらいでした。
今も昔も変わらないこととはいえ、自分の兄弟や子供がスターになるというのは大変なことだと思います。
みんな、ある意味おかしくなってしまう。
平常心ではいられなくなってしまう。
僕や僕の家族も実際そうでした。
僕や僕の姉さん、他のメンバーの兄弟なんかも、すべて投げうって東京に出てきた。
一緒にくっついていれば何かいいことがある。
そういう期待をもって、タイガースの周りに集まってくる。
芸能ファミリーっていうのは こんなところから始まるんじゃないでしょうか。
当時、タイガースのメンバーは世田谷にいたんですけど、僕、姉さん、それにタローの姉さんなんかも上京してきて、小さな家がすべてタイガースの関係者ばかりになってしまった。
変な結婚をするよりもその方が良いって感じで、それぞれの親から兄たちの身の廻りの世話をするようなおおせつかったというようなわけです。
タイガースの人気は日を追うごとに上昇していくし、僕自身大好きな音楽の中にいることができるということで今振り返れば1番楽しい時期でした」


そして18歳のとき、アメリカ行きを決意。
ザ・タイガースの世話をしながら、
「確かにタイガースは日本のポップス・シーンの頂点にいるけど、僕が本当に好きなポピュラーミュージックとは違う音楽をやっている」
とギャップを感じ始め、
「アメリカに行って、本当の音楽に触れたい」
と思い出し、バンドボーイをやりながら渡米の方法を探し始めた。
「アメリカは、自由の国。
そして自由だからこそいろいろなジャンルの音楽が出てくるし、またその影響も大きいと漠然と思っていました。
アメリカの音楽のイメージは、抽象的ないい方ですが、とにかく手を伸ばしても中々つかまえることのできない、日本人には実践しにくいものという感じでした。
こう考えていくと、これは絶対に、とにかく何がなんでも1度は行ってみないことには僕の人生が開けていかないような気がしました」
アメリカに行くことを熱望する岸部シローだが、もともと飛行機で行くという発想はなく、船、それも貨物船で太平洋を渡ろうと何軒も船会社を探し、何度も断わられながら、やっとアメリカまで乗せてくれる船を見つけた。

次の問題は、渡航費用だった。
「タイガースのメンバーの世話をしていましたからカンパでお金を集めてとか、ナベプロの仕事としてアメリカに渡ることができないかとか、いろいろと構想を練ったんです。
結局はナベプロの好意で渡辺音楽出版のアメリカ出向社員という名目で渡米させてもらうことができました。
まあ、いろんな意味で 大らかな時代"ではありました」
また渡米には「音楽」以外に「女性」という目的もあった。
「あんなに行動的になれたのは下心があったからで、実は最初の奥さんを追ってアメリカに行ったんだよね。
あの頃は情熱的だったなあ」

こうしてザ・タイガースのメンバー、渡辺プロダクションの援助を受け、アメリカへ。
ロサンゼルスに滞在しながら毎週、10バンドくらいのコンサートを観て、テープに録って日本に送った。
「名目は出向社員ですから、アメリカの本場の音楽情報を日本に送ることや、当時日本の音楽雑誌だった「ヤングミュージック」などに、サリーの弟が贈る「岸部シローのポップス便り」といった原稿を送って、その収入をアメリカでの生活費の一部に充ててたんです。
日本を出る前は、とにかく週末にロックコンサートを観られさえすれば、あとは食べてアパートで日がな1日ラジオを聞いて寝てるだけで良いと考えていました。
音楽少年の夢といってしまえばそれまでですが、アメリカの音楽に生活そのものが包まれているということが、それ自体価値を持っていたんです。
事実、ロサンゼルスに着いてからも、本場のミュージック・シーンにふれることが生活のすべてでした。
それは何の束縛もない、本当に自由な、ユートピア、パラダイス、もう言葉では表現できないような夢の時間でした。
こうしたアメリカでの生活をエンジョイして、本場の音楽に接するにつれ、僕の気持ちの中に芽ばえ、そしてハッキリとした形となっていったのは、日本のミュージック・シーンの稚拙さでした。
とにかくアメリカと日本の落差を感じることナシにはいられない。
日本ではタイガースがミュージックシーンを引っ張ってはいるが、兄たちのやっている音楽が本当の音楽、つまり兄たちがやりたい音楽なのかということも含めて、ずいぶんと考えさせられたことを覚えています」

「最初は1年くらいと思っていましたが、日が経つにつれて3年、いやそれ以上と思うようになり、アメリカの持つ魅力にとりつかれた」
という岸部シローだが、渡米数ヵ月後、ザ・タイガースに異変発生。
アイドル性を前面にしたプロモーションに不満を募らせていた加橋かつみが、
「渡辺プロを辞めてもやっていけるんじゃないか」
「独立して好きなことをしようよ」
といい始める。
それは次第にエスカレートして、最終的には、
「みんなで辞めよう」
といい、岸部一徳、森本太郎、瞳みのる、沢田研二に、
「辞めたくない」
と拒否されると
「じゃあ、オレは辞める」
と宣言。

ある日、渋谷でのレッスン中、加藤かつみはスタジオを離れ、その後、戻らなかった。
渡辺プロダクションは
「失踪」
と発表し、2日後には
「除名処分」
とした。
事務所とメンバーの総意により、リーダーの岸部一徳の弟、岸部シローが加入することが決定。
「ボンヤリと音楽評論家や音楽プロデューサーを目指していた」
という岸部シローは、突然、兄、一徳から電話で呼び戻され、新メンバーとして羽田空港で記者会見を行った。
加橋かつみの脱退は、まるで事件のように大きなニュースとなったが、岸部シローの加入も同じくらいインパクトがあった。
それまでザ・タイガースといえば、美形男子が王子様風の衣装で歌っていたのに、いきなりアイドルではタブーのメガネをかけ、ポーッとした、しかも京都弁の人間が現れたのである。
羽田空港で記者会見には、マスコミだけでなく、たくさんのファンもかけつけていたが、
「こんなのが入っちゃイヤ~」
といわれ、岸部シローは、
(なんやねん!)
と思った。

「ザ・タイガース」のメンバーには、ニックネームがあった。
岸部一徳は、前述したように「サリー」
辞めた加橋かつみは、前歯の出具合がイタリア人形劇のキャラクター「トッポ・ジージョ」に似ていたので「トッポ」
森本太郎は、そのまま「タロー」
瞳みのるは、ピーピーピーピーよくしゃべるので「ピー」
沢田研二は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」などで知られる世界的な女性ミュージカルスター、ジュリー・アンドリュースから「ジュリー」
そして岸部シローは、「シロー」となった。
それまで誰も岸部シローの歌声を聞いたことがなく、低温が得意なサリーの弟なので、きっと低い声かと思いきや、歌ってみると抜けた加藤かつみと同じく声が高く、メンバーは、
「歌えるやん!」
「ラッキー!」
と喜んだ。

こうして楽器が弾けないのに音楽バンドに加入した岸部シローは、ザ・タイガースの9枚目のシングル「美しき愛の掟」で高音パートとタンバリンを担当。
ギターがまったく弾けないので、兄の一徳に、
「ギターを弾けることにしろ」
といわれ、人前では弾くマネ。
楽器がダメならばとステージで曲紹介や、他のメンバーが休憩する5分ほどの間、しゃべるようになり、
「よろしゅー」
「往生こいてます」
などとボソッとつぶやく毒のある京都弁がウケて、5分、10分、15分と次第に長くなっていき、最終的に30分くらいのトークコーナーとなった。

岸部シローが加入して1年11ヵ月後、瞳みのる(ドラムス)が脱退を申し出て、ザ・タイガースは解散を表明。
日本武道館で行った解散コンサート「ザ・タイガース ビューティフル・コンサート」は、ラジオとテレビで放送された。
そのとき客席に加橋かつみがいることを知った岸部一徳は、楽屋で
「彼にもステージに上がってもらったらどうだろう」
と提案。
しかし瞳みのるが、
「勝手に辞めた奴を呼ぶなら俺は降りる」
と猛反対したため、実現しなかった。
ザ・タイガース解散後、岸部一徳、沢田研二、森本太郎、岸部シローは、芸能活動を継続。
瞳みのるは、トラックに家財道具を積み込み、実家のある京都へ戻り、24歳で高校に復学し、慶應義塾大学へ進学し、高校教師となった。
そして37年もの間、メンバーとの交流を完全に絶った。
一方、必死にギターを練習したが、あまり上達しなかった岸部シローは、ザ・タイガース解散を、
「新曲とか覚えなきゃなんないのが多いでしょ。
譜面が読めるわけでもないからコードなんか書いとかなきゃいけないわけ。
だから正直うれしかった」
と喜んだ。

兄、一徳は、「太陽にほえろ!」のメインテーマのベースを弾くなど音楽活動を続けた。
岸部シローは、兄、一徳と「サリー&シロー」というアルバムを出したり、岩沢幸矢と二弓による兄弟フォークデュオ「ブレッド&バター」と「シローとブレッド&バター」を組んだり、ビージーズの来日ライブや天地真理や布施明のショーで司会をしたりしたが、最終的にテレビで活躍。
CMやドラマに出演して、つかみどころのない独特の存在感でタレント、俳優として売れっ子に。
役者デビューして間もない頃、森本レオ、小倉一郎、下条アトム、大和田獏らと「脇役とかでいいとこいくんだけど、もういっちょって人の会」をつくった。
岡田裕介も誘ったが1回しか来ず、三浦洋一には
「俺はもういっちょじゃない」
といわれ、断られた。
「脇役とかでいいとこいくんだけど、もういっちょって人の会」は、六本木に集まって食事をしながら演技論、役者論を闘わせたが、いつの間にか自然消滅。
「レオちゃんは、よく難解なことをいって、なにいってるのかわからなかったなあ」
21歳の岸部シローは、アメリカまで追いかけていき、交際を続けていた1歳上のハーフ(アメリカと日本)女性と結婚した。

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